恋によって盲目となってしまったのであろうか?
都内で生まれ育ったにも拘わらず、一つの恋を追いかけて横浜の地に移り住んだ事があった。
横浜と云っても、タンカーの音や潮の匂いを感じられる横浜ではない。
緑が生い茂った田園地帯の横浜である。
住めば都と云うが、俺の人生の中でこの地に6年も腰を落ち着かせるとは当時は夢には思わなかったが、若い時分に異の地にそれだけ滞在したのだから、今思うと本当に住み心地の良い土地柄だったのかも知れない。
そんな土地で一軒のサーフショップを目にした事があった。
当時は「へぇ、こんな所にサーフショップがあるのか?」程度、その店には寄る事は勿論、気にする事も無かった。
しかし、それからしばらくの時が時が経った後に、その店は大きな国道沿いに移転していた。
西から東へと車が行き交う交通量の激しい道路から併設されているパーキングに入り、家屋に入ると大きな階段がサーファーを迎え入れるかの様に目に付く。
その階段をゆっくりと登って行くと、そこにはヴィンテージがズラリと立ち並ぶ・・・
そして、シェイパーの父と謳われていたデイル・ベルジーのボードも。
ベルジーのボードはそれ以前にもサーフジローやチャンズでも目にはしていたが、ここでのベルジーはそれらのショップに置かれているモノとは様子が違って見えたのは気のせいだろうか?
いや、違う訳はない。
全く以てデイル・ベルジーの同じボードである。
その答えは直ぐに出た。
圧倒されるボードのボリューム、そして、ゆっくりと笑みを浮かべて近寄って来るこの店のオーナーが持つ独特のオーラーがそうさせているのだ。
そう、ここはデイル・ベルジーの総代理店を務めるエムズの三井さんのショップである。
遥か昔の事なので記憶は定かではないが、この時代、ベルジーのボードはエムズ以外でも購入する事が出来たが、この光景を目の当たりにすると「ベルジーはココで買えばいいや」と思われる程のオーラが店内の至る所に感じた。
結果、このショップで買わせた頂いたベルジーは何本になるだろうか?
モダンクラシック、422、リミテッドファイブストリンガー、バルサ、ニュートラディッショナル、1963リミテッド等々、また、スキップフライも買わせて頂いたりもした。
その数は軽く両手を越へ、更に友人の手も必要に成る程かも知れない・・・
そんな中の1本が今回紹介するボードである。
バンジョー・・・
その造形の凄さに当時は唯々息を呑むだけであった。
次回の更新では、そんなバンジョーを綴ってみたいと思う。
Keep Surfing!!!!!