「今年はどうですかね?開催されますかね?」・・・
「ふん、今年もどうせダメだろう?」
「波なんて来やしないよ!」
「こんな、ポスターなんて、作っちゃってさぁ」
「良かったら持って行きなよ」
「良いんですか?」
「良いよ。どうせ、俺の所に貼ったって誰も見やしないよ」
「ありがとうございます。有難く頂きます」
こんな会話が成されたのは今から6年前・・・
2013年の夏だった。
会話の主は、この年まで稲村ケ崎で活躍していたシェイパーの雪岡豪さん。
そして、その頂き物とは、ご覧の「稲村クラシック」開催ポスターである。
豪さんから頂いた「稲村クラシック」のポスター・・・
ご存知の方も多いかと思うが、この年は24年振りに大会が開催された年であって、サーフィンメディアを飛び越えて、ニュースやワイドショーでも大きく採り上げられた一大イベントなった。
また、この「稲村クラシック」の開催を終えた後に「伊豆は波が良くて、静かでさぁ。余生はそこでのんびりと暮らす事にしたんだよ」と、豪さんは稲村の地を離れた。
24年振りの開催・・・
そのイベントに相応しい波がやって来るまで決して開催される事の無い伝説の大波を求めて・・・
そんな伝説の波の到来を待ち続けるサーファーは日本の各地におり、彼らの間では、それらの日を「The Day」と呼ぶらしい。
本日紹介するボードは、そんな、The Dayを待ち続けるボードなのかも知れない。
それがこちらである。
長さは11ft・・・
一見、それはグライダーにも見えなくもないが、各所の目を向けると明らかに異なる点が随所に確認出来、それがGunである事が判る。
このボードを手掛けたのは「サーフィン界のゴーギャン」、「シェイパーの父」とも称されるデイル・ベルジーである。
日本屈指のビッグウェーバーである四国の櫛本さんの話しでは、「ビッグウェーブは波質が兎に角、ぶ厚い!」・・・
故に、「ボード自体に浮力が必要」になる事を酒の席で聞いた事を思い出した。
ボードのレールに触れてみると、このボードがビッグウェーブ用のGunである事を決めつける様な極太の感触が手から伝わって来るのが解る。
そして、俺が所有するボードの中でも、これほどまでのロッカーの利いたボードは後にも先にもこの1本だけである事を印象付ける猛烈な反り具合も兼ね備えている。
また、11ftの巨漢を支え、更にビッグウェーブの衝撃にも充分対応出来るかの様な極太のストリンガーも、このボードの魅力の一つである。
しかしながら、俺の中では「これはGunではなく、Semi Gunなのだ。
その由縁は、Gunにしてはノーズ&テールがマイルドであり、それらがボード全体の創り込みをSemi Gunに見立てされるのかも知れない。
また、そのマイルドな容姿が、一見、グライダーにも見えてしまうのかも知れない。
故に、俺の勝手の解釈として、このボードはSemi Gunと称している次第である。
さて、冒頭のThe Dayだが・・・
俺に取ってのThe Dayとは一体どんなものなのだろうか?
少なともビッグウェーブが訪れる日で無い事は間違いはない。
結果、このボードの用途は必然と決まってくる。
Gunとしてではなくグライダーとして楽しむのが俺らしいのではないだろうか?
近々、その辺りを海仲間にもジャッジしてもらいたいものである。
Keep Surfing!!!!!