ライアン・ラブレースのPIG | Viva '60s SurfStyle!!!

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1960年代のカリフォルニアサーフスタイルに心を奪われた男の独り言。

冒頭からいきなりだが、基本的にはレジェンドが創るボードが好きだ。

別に次世代を担うシェイパーが嫌いな訳では無い。

 

 

ただ、彼はこれからも更に良いボードを世に送り出すだろうから急いで入手する必要も無い・・・

こんな事を常々思っていた。

 

 

しかし、そんな想いはロビン・キーガルのボードを目の当たりにして消え去った。

 

 

ロビンを筆頭に次世代を担う若きシェイパー達はあらゆる角度からサーフィンを研究し、自らがボードに乗り込み、丹精込めてボードを世に送り出している。

 

 

そんな事を思っている内に気が付くとロビンの多くのボードを所有する様になっていった。

また、それに拍車が掛ったかの様にライン・バーチ、アダム・ダベンポート、タナー・プレイリーそして、いつしかライアン・ラブレースが気になり出した。

 

 

ジョエル・チューダーに「100年に一人の逸材」と云わしめたライン・バーチから多大な信頼を受けるシェイパーこそが、本日紹介するボードの作り手である。

 

 

彼の名はライアン・ラブレース。

 

 

ラブレースの事は今更語る必要も無いだろうが、あのバーチから信頼を得る程のクラフトマンとは一体どんな男なのであろうか?

そんな彼にPIGを創らせたら一体どんなPIGが誕生するのだろうか?

 

 

ボードの入手よりも、その期待の方が大きく、そして、何よりも楽しみであった。

 

 

彼へのコンタクトは時代のツールを駆使してSNSを活用・・・

そして、彼とのコミュニケーションがスタートした。

 

 

「やぁ、ラブレース。実は君に創ってもらいたいボードがあるんだけど・・・」と、切り出すと彼はクイックに対応してくれた。

 

「一体どんなボードだい?」と、気さくな返事が返って来る。

 

「是非とも、君にPIGを創ってもらいたいんだよ」と、単刀直入に告げると・・・

 

「PIGかぁ、君は面白い事を云うね。」、「実は僕は予てからPIGずっと研究していたんだよ!」と、予想外の返事が届いたのだ。

 

「本当かい?じゃぁ、是非、お願いだよ!」

「色々と細かい要望はあるんだけど肝心なのはレプリカでは無く、君の感じたPIGを創って欲しいんだよ!」と、全面的に彼に任せる事を告げると・・・

 

「それは面白い!」

「ボードの色やデザインも僕が勝手にやって良いのかい?」と、彼から確認が入った。

 

「勿論だとも!」

「君の感じたPIGを頼むよ!」と、告げると彼は・・・

 

「OK!じゃぁ、ミスター矢作にオーダーしてくれ!」と、彼がオーダーの受諾してくれたのだ。

 

 

そして、完成したのがこちらのPIGである!

ノーズに多少のボリュームはあるものの、しっかりとお尻にボリュームがあり、正にその様はPIGそのモノであった。

 

 

良いねぇ。

次世代を担うシェイパーだからこそ、こういうPIGが欲しかった。

ヴィンテージレプリカでは無く、時代のトップを走る若きシェイパーが感じるPIGが欲しかった。

ラブレースが創るPIGにはそれらが全て詰まっている様にさえ感じた。

 

 

基本的にPIGにはロッカーは不要な俺だが、ラブレースのボードからこそのロッカー具合が中々良い味を出している。

これだけロッカーがあればホレた波でガンガン突っ込める出来栄えである。

フィンは操作性を考慮してか?最後尾から若干前に着けられているが、テールからしっかりと食み出す様にフィンの角度が調整されている所等は、正に次世代を担うトップシェイパーならでの創り込みである。

また、このボードの一つの特徴でもあるテールの窪みが、PIGでありながら様々なライディングの可能性を秘めた創り込みとなっているのが如何にもラブレースらしい。

同時に、そのテール付近に彼の拘りを見付ける事が出来た。

それが、このリーシュカップである。

オンフィンであなりながらリーシュカップ・・・

レプリカを求めていたのなら、恐らくこの仕様を受け入れ難かっただろうが、ビッグウェーバーでもあるラブレースだからこその計らいと思えば、この仕様にも頷けるものである。

 

 

更に、やってくれたのがボランの指示を出しにも拘らず、「6オンスを4層に巻けばボランと同じだよ」と、見事に期待を裏切る仕様を敢えて採り入れて来たのだ。

しかも、仕上げはサンドフィニッシュ!

俺が所有するボードでは後にも先にもサンドフィニッシュはコレのみであるが、これもボードデザイン同様に彼の「遊び心」と思えば良しとしたい所である。

 

 

このボードが届いてラブレースに「無事に届いたよ!」、「乗るのが楽しみだよ!」と、告げると彼は「僕も自分のPIGを創ろうかなぁ?」と返事が来た・・・

 

 

このやり取りの中で感じたのだが、若しかしたらラブレースは後にも先にも同様のPIGはこの1本しか創っていないのではないだろうか?

しかも、現在彼はロングは殆ど削っていないとの事から、「今だったら、きっと、創ってくれないと思うよ」と云っていた矢作さんの一言が妙に印象に残った。

 

 

若し、仮にこのボード以外に同様のPIGが日本にあるのであれば、是非、拝見してみたいものである。

 

 

Keep Surfing!!!!!