「ヴィンテージレーベルを知っているサーファーって減りましたよね」と、こんな事をあるサーフィン関係者から投げ掛けられた。
ここで云う、ヴィンテージレーベルとは1960年前後に誕生したサーフボードレーベルの事で、現在、ビーチを賑わせている多くのサーファーは、「そこには関心が無く、無知である」と、嘆いていた。
確かに、ビーチでボードの話しが弾むと、妙に俺だけが浮いている事に気付く事がある。
判り易く云うと、笑みを浮かべながら「こいつ、何言ってやがるんだ?」と云った表情を感じ取った事である。
別に、サーフィンを歴史を勉強する必要も無いのだから知らないこと自体全く恥ずかしい事では無い。
寧ろ、知っている方が変態と思われているのではないだろうか?
そんな、歴史の渦に忘れ去られて行くヴィンテージレーベルの中で、今も尚、一際輝き続けているのがシーコングが発信し続けるデューイウェーバーである。
デューイウェーバーはシーコングが代理店を務める前から日本のビーチではお馴染みのレーベルであった。
しかし、そこには「過去にカリフォルニアで最も売れたレーベル」程度の触れ込みで、今の様にメディアに頻繁に登場する事も無く、単なる老舗レーベル程度の扱いでしかなかった。
そんなデューイウェーバーであるが、シーコングが代理店になってからは一貫して「最速のテイクオフ」をキャッチコピーとして発信し続けている。
このキャッチによって、どれだけ多くのロングボーダーが誕生した事だろうか?
どれだけ多くのサーファーに笑顔が生まれただろうか?
そんな事を思うと、日本で燻ぶっていたデューイウェーバーはシーコングによって往年の輝きを取り戻せたのかも知れない。
同様に、カリフォルニアのレーベルが日本で成功する鍵は代理店となったサーフショップの発信力に委ねられている事も事実であろう。
さて、そんなシーコングによって、日本のサーフマーケットに根付いたデューイウェーバーのヴィンテージが本日紹介するボードである。
紹介するのは世界で最も成功した?
いや、売れたボードとして誰もが認めるパフォーマーのアーリーモデルである。
この造形、一見するとPIGと思われがちだが、PIGとは明らかにノーズラインが異なっており、べルジーの意思を引き継ぎ、これまでリリースして来たPIGとは大きく異なる事が判る。
(こちらは1963年製のウェーバーPIG)
パフォーマーはそれまで一部の者だけが楽しめていたサーフィンを万人でも楽しめる様にとの配慮から、それまでのナローノーズが主だったサーフボードの形状から、より安定感のあるワイドノーズを採用した事が大きな特徴でもある。
アーリーパフォーマーが多くのサーファーを受け入いられ爆発的なヒットを飛ばした事は周知の通りである。
そんな、アーリーパフォーマーがPIGと誤解される由縁はご覧のハーフムーンである。
このフィンが装着されている事によってPIGだと誤解されがちだが、先にも述べた様にPIGとは大きくアウトラインが異なる事から全く性質の違うボードである事が判る。
改めて己のアーリーパフォーマーを見返して見ると、以前紹介したご覧のボードは若しかしたらアーリーパフォーマーとして創られたのではないかと思う程である。
実際に、シェイパーのジェリー・オキーフも、若しかしたらPIGは始めての試みで、アーリーパフォーマーのテンプレートを採り入れたのかも知れない。
さて、そんなパフォーマーのレール部分にスポットを当ててみると、決して、パフォーマーが万人受けだけを狙って創られたボードでは無い事が確認出来る。
画像では確認し辛いが・・・
このレール、当時としてはかなり洗練されたいたのではないかと思う程の創り込みで、その出来栄えは以前紹介したハンセンの50/50にも負けずと劣らない代物である。
(1960年代には稀なピンチレールを採用していたハンセンの50/50)
また、ヴィンテージハーフムーンではお馴染みのテールからの食み出しも、当時のサーファー達の操作の力添えとなっていたのではないだろうか?
現在、シーコングのライナップはロビン・キーガルを始め、世界が認めるレーベルが集った構成となっている。
これは日本ならではの特権的な事であり、世界中を見ても稀な現象である。
しかしながら、俺がシーコングを扉を開く時には必ずと云って程、吸い寄せられるのが、このディケールなのである。
「歴史だけは金では買えない」と云う言葉があるが、デューイウェーバーは正にその一角を担うレーベルではないだろうか?
Keep Surfing!!!!!