先日、このブログを読んで下さっている方から「貴方のPIG論を読んでみたい・・・」と、リクエストをもらった。
仲間内からも「是非、読んでみたい」と背中を押されたが、断片的にはPIG論を語っているものの、いざ、それが一つのテーマともなると聊か気が引けて来ると云ものだ。
実際に自分がいつから「本格的」にPIGを意識する様になったのかは定かではないが、間違いなく云えるのはメディアやショップ、サーファー等の影響では無い。
PIGが好きになった理由をあげれば切りがないが、あの強大なハーフムーンを纏った出で立ちや、古き良き時代に存在していたサーフボードである事が切っ掛けだった事は間違いないと思う。
そんな想いから、いつしか様々なメーカーのPIGが欲しくなり、特にベルジーツリーと呼ばれ、あの時代に存在していたメーカーのボードを熱望する様になって行った。
今回紹介するボードは、先週にも触れたがベルジーツリーの一角を担うデューイ・ウェーバーのPIGである。
しかし、日本にて総代理店を務めるシーコングのラインナップにはPIGは存在しておらず、そればかりか本国でも存在していない事が解り、その想いが一層に膨らんで行ったのが今でも鮮明に覚えている。
無いなら創ってもらうしかない!
という事で、当時、シーコングで店長を務めていた藤屋さんとヴィンテージ・ウェーバーBOOKを汲まなくチェックして創ってもらったのが、このボードである。

如何であろうか?
前回でも綴った様に数年前にも拘わらず「PIGを覚えている」と云う程、ジェリー・オキーフにとっても印象深かったは、恐らくジェリー自体が本格的にPIGと向き合ったのは初めてだっからではないかと思える要素が多分に含まれている事が判る。
このボードを撮影する為に手伝ってくれた後輩が「これ、PIGですか?」と問いかけて来た様にPIGの「顔」でもあるノーズがナローではなく、少々ワイド気味になっているのだ。
この創り込み、実は同じタイミングでブルース・グラントや川南活さんにオーダーしたPIGにも同様の傾向があり、「アウトラインの完全復刻よりも乗り易さ」を優先させた結果の表れでは思えてならない。
しかしながら、このアウトライン以外は古き良き時代のウェーバーPIGの面影が垣間見えて来る事からジェリーが「楽しみながら創ったのでは?」と思えてならなかった。
例えば、このフィン・・・
ウェーバーとして、どんなハーフムーンを創って来るのかが非常に楽しみであったが、このフィンの創り込み関してはほぼ満足である。

同じラミネート工場でありながらハーバーのハーフムーンが前方に着けられる事が多い中で、しっかりと後方に着けられ、しかも、1960年代初頭のPIGで多く採用されていたデザインのウッドフィンを採用している事から、その意気込みが大きかった事が伺える。
また、当時の資料に基づいてストリンガーも2インチのバルサをTバンドしている所にも拘りを感じさせてくれる。

勿論、ボードの中央部には時代を創って来た伝説のディケールが燦然と輝く様に収められており、昨今のモダンメーカーには無いオーラを放っている様に思えた。

テールブロックに至っても、ベルジーツリーを彷彿させる「濃い木材」と「白木」のコンストラクトを再現してくれた。

そして、その完成度に満足したかの様な力強いサインがストリンガーには刻まれたいた。

同じハーフムーンを纏ったウェーバーの代表作であるアーリー・パフォーマーはPIGと勘違いされがちだが、アーリーパフォーマーはボードの略中心部にワイドボリュームがあるので、PIGとは全く異なった性質のボードである。
今回、このPIGを久しぶりに目の当たりにして思ったのは、ノーズにボリュームがあるものの、テールにボリュームがある造形から、これは正しくPIGであると再認識した。
しかしながら、先に述べた様にブルース・グラントを始めとするPIGをラインナップしていないメーカーにPIGをオーダーするのは、「餅は餅屋から」の諺通り、これを機に最後とした。
こうして改めてウェーバーのPIGと向き合ってみて感じたのは、思った以上に自分がアウトラインを気にする方なのだと思った。
そう考えると俺のPIGへの拘りが、より一層強くなっていったのは、この辺りからだったのかも知れない。
やはり、PIGは奥が深い・・・
「己のPIG論」を綴るのはまだまだ先な様な気がしてならない。
Keep Sufing!!!!