リックのヴィンテージPIG | Viva '60s SurfStyle!!!

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1960年代のカリフォルニアサーフスタイルに心を奪われた男の独り言。

「なぁ、リック、ベルジーはもう駄目だ!」

「ファクトリーもショップも差し押さえされるらしい」
「みんな独立して自分のレーベルで始めるらしいよ」
「お前はどうするんだ?」
「なぁ、俺と一緒にやらないか?」
 
 
時は1959年。
伝説のレーベル、「ビング&リック」の誕生の瞬間に、二人の若きシェイパーの間にはこんなやり取りが行われていたのだろうか?
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誕生当初のビング&リックは癖の無いスタンダードなボードと、サーフマガジンへの大々的な宣伝の効果もあり、爆発的な売れ行きを誇ったそうで、ベルジーツリーから巣立った若きシェイパー達の中ではスタートダッシュに成功した数少ないメーカーであった。

 
 
創業から3年後、相棒であるリック・ストーナーは更なる自身の理想のサーフボードを誕生させる為にビングと袂を分ける事になる。
時は1962年、「リック・サーフボード」の誕生である。
 
 
今日は、そんなリックサーフボードの「希少」なPIGを紹介したいと思う。
 
 
敢えて「希少」と称したのは、俺自身が後にも先にもリックのPIGを他所で見た事が無かった事から少々大袈裟とは思うが、云い回しとして使った次第である。
 
 
そして、こちらがリックのヴィンテージPIGである。
如何であろうか?
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まず、驚かされるのがアウトラインである。

ボリュームを帯びたノーズ、略センター寄りに採り込まれたテールボリュームは現代の主流となるモダンPIGへの布石なのだろうか?
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ビングがベルジーから受け継いだボードを創り続ける一方で、リックは次世代を見据えたボード創りに励んでいた事が想像出来る。
 
 
そして、ハーフムーンに至っても、リックらしさが垣間見えて来るから事から、最早、ビングの鳥籠の中に納まる事の出来ない想像力を自身のレーベルで爆発させたのではないだろうか?
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マニューバリティーの為に考案されたPIGを更に画期的な物にする為に、やや前方にフィンを装着しているのだが、レイクが掛かっている為、しっかりとテールから食み出している所等はPIG好きの俺としては垂涎要素の一つである。
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そして、圧巻なのが、このテールコンケーブである!
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如何であろうか?
ハーフムーンの周辺にコンケーブが施されている事が判るだろうか?
別な角度からの方が判り易いだろうか?
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これらの創り込みは後のシェイパーに多大な影響与え、昨今のモダンクラシックボードを手掛ける多くのシェイパー達が採用しているディテールでもある。
 
 
そして、これらの数々の試みが後に大ヒットとなるドゥリュー・ハリソンのインプロバイザー、バリー・カナイアウブニのシグネチャー、そして、UFOの誕生をさせる事になるのだ。
 
 
リック・サーフボードは、1990年代に息子であるジェフ・ストーナーよって数々の名品が蘇えさせられ、そして、そのイズムはマット・カルヴァーニに継承されている。
 
 
リックのボードは少々マニアック過ぎる為か?中々、マーケットでは見掛ける事が出来ない。
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しかし、この伝説のディケールには、現代のモダンクラッシクボードに欠かす事の出来ない要素が多分に含まれているのだから、もっと注目されるべきなのではと思うこの頃である。
 
 
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