1978年に公開された映画、「ビッグウェンズデー」にはマット、ジャック、リロイと云う、3人の主人公がいる。

彼等には、それぞれモデルとなる人物が存在している事は今や有名な話しである。
そんな3人の中で、誰が一番サーフィンを「やり込んでいたのか?」と、以前、仲間内と議論した事がある。
ジャックは自らが志願し、ベトナムの戦場へと向かっている為、サーフィンとは遠ざかっていた事が想像出来る。
マットに至っては、劇中の通り、「気分が乗った時だけ・・・」とある様に、映画の序盤の様な「やり込み」は感じられない。
一方のリロイはと云うと・・・「パイプラインに行った」と語っていた様に、3人の中で一番「やり込んでいた」事が想像出来る。
実際に、エンディングの大波に挑む時にも、3人の中で最初にアタックを仕掛けている程である。
そんな、リロイのモデルとなったのが、かのランス・カーソンも一目置く、元祖マリブキングこと、ミッキー・ドラである。
ミッキー・ドラはランスカーソン達よりも一世代上になり、ランスを始めとする多くのサーファー達の憧れであったと云われている。
そんな彼は、1960年代初頭はジェイコブスのチームに所属していたのだが、後にグレッグ・ノールへと移籍する事になる。
グレッグ・ノールはミッキードラを迎えるに当たって、彼の為に、これまでに存在した事の無い様な画期的なサーフボードをシグネチャーとして授ける事になる。
時は1966年、名品、ダ・キャットの誕生である。

いずれヴィンテージを紹介したいと思うが、ダ・キャットには大きく分けると前期型と後期型が存在するのだが、画像の物は後期型になる。
今回は、そんな、元祖マリブキングの愛機であったダ・キャットのリミテッド・レプリカを紹介したいと思う。
このボードは2,000年に250本限定でリリースされ、当時話題となったのだが、発売当初は業者間での買い占めなどもあり、一般のサーファーがお目に叶う事は中々出来なかったボードでもある。
ダ・キャットの特徴を挙げると3つの要素があるのだが、先ずは一つ目のスプーンデッキから紹介したいと思う。
猫の様なステップでデッキを動き回るミッキー・ドラのサーフィンを確固たるものにする為に採用されたディティールである。

このボードの最大の特徴と云えば、やはり、このダ・キャットディケールの復活ではないだろうか?
ヴィンテージ同様に、グレッグ・ノールの下にオンされたダ・キャットディケールには、当時、誰もが興奮したと云われている。

また、ディケールを挟み込む様にグレッグ・ノールとミッキー・ドラのサインが入った事によって、更ならるプレミアム感が増したとも云われている。
250本発売されたダ・キャットには様々なタイプやバリエーションが存在しており、ヴィンテージ同様に選ぶ楽しみがあったと云われていた様だが、俺の有するダ・キャットはオールファブリックの物となっている。


二つ目の要素である後期型から採用されたチャンネルも、ダ・キャットには欠かす事の出来ない魅力の一つである。
ヴィンテージには存在しないレプリカならではのディティールの一つであるのだが、こういった配慮は現代のロングボーダー達にとっては粋な計らいではなかろうか?

このチャンネルによって、トロいマリブの波でも疾風の様にメイクで来る様にとの配慮から考案されたなのではないだろうか?
そして、3つ目の要素が「ダ・キャットフィン」として認知され、今も多くのサーフボードに採用されている、このフィンである。
ただ、このフィンはヴィンテージの時代の物とは形状が大きく異なっており、当時(2,000年)のサーフシーンを考量して手を加えられた物となっている。

以前、某ショップでオンフィンとして販売されていたヴィンテージ、ダ・キャットを見掛けた事があったが、残念ながらレプリカのフィンがオンされていた。
そのボードは元々ボックスであった物に後からフィンをオンした形跡があり、恐らく、その際にレプリカを使用したのだと推測出来る。
オリジナルのオンフィン物を探している人は参考にして頂ければと思う。
そして、ボトムにはコレクター心を擽るオマケの要素もある。
それが、こちらのシェイパーサインである。

発売当初から魅力に溢れたリミテッド・レプリカであるが、発売から2年後に大きな局面を迎える事になる。
なんと、ミッキー・ドラが他界してしまったのだ!
これによって、世界中のコレクター達の脚光を更に浴びた事により、レプリカでは考えられない程のプレミアムとなってしまったのである。
同時期に発売された他社のリミテッド・レプリカも、勿論、高嶺の花と化してしまったのだが、ダ・キャットだけは頭一つ突き出るプレミアムとなってしまったのだ。
現在、グレッグ・ノールは、略、引退状態となっている事から、程度が良く値ごろ感があるレプリカを見付けた暁には、是非、検討してみは如何であろうか?
Keep Sufing!!!!