時は1956年・・・
この時代、ジーンズは「XX」と謳われるLEVISの501がアメリカ庶民の生活衣料品として大きなシェアを握っていた。
また、ハーレー・ダビッドソンにおいては1948年に発表した新型エンジン、通称「パンヘッド」が大陸を唸らせていた。
アメリカが青春時代だったと称された1950年代の半ば、サーフィン業界にも大きな「BIG WAVE」が訪れた。
バルサで賑わうビーチに一人の男が抱えていたサーフボードに多くの者達が釘付けとなった。
彼は1954年から開発を続け、かのゴードン・クラークよりも一足先に、あのボブ・シモンズが成し遂げなかったウレタンフォームのサーフボードを完成させたのだ。
彼の名は、デーブ・スウィート。
云わずと知れたサーフィン業界に革命を齎した伝説の男である。
今日は、そんな伝説の男と称されるデーブ・スウィートが自身のレーベルでリリースしたヴィンテージPIGを紹介したいと思う。
アメリカでは、そのディケールを見掛ける度にサーファーが集まって来る伝説のレーベルでも、残念ながら我が国ではマイナーなレーベル扱いとなっているデーブ・スウィート。
しかし、このレーベルには、後のサーフボード業界を牽引する若きクラフトマン達が集い、日々シェイプに励んでいた屈指のサーフボードメーカーである。
そして、このボードこそが、デーブ・スウィートのヴィンテージPIGである!

デーブ・スウィート故に、フォームでありながらバリバリの’50年代のボードと云いたい所だが、ご覧のデッキラインやこちらの装飾を施されたフィンを見ると`60年代初頭のボードではないかと思われる。

しかしながら、最初期のみに使用されていたご覧のディケールを見ると、ギリギリ’50年代物なのかも知れない。

フィンに至っては、この時代のボードを象徴する様に最後尾に装着されており、そして、テール部分に沿う様に垂直に取り付けられた創り込みが成されている。

60年前のボードにしては非常に状態が良く、所々にリペアが成されているが、これまでに大きなレストアをされた形跡の無いピュアな状態である事が確認出来た。
また、圧巻なのが、このボードに使用されているクロスである。
クラックの補修後から確認出来るクロスは目の粗さが、この時代のクロスを象徴する20オンスである事が確認出来る。

そして、ストリンガーに至っても、この時代の象徴するかの様に、バルサをレッドウッドでTバンドさせた贅沢な創り込みとなっている。

因みに、このPIGの長さだが、デイル・ベルジーがマニューバリティーをイメージして考案したかの様な、PIGの黎明期のみに存在すると云われている8フィート台の短さを誇っている。
このボードを入手したのが今から10年以上前。
当時は、唯々、サーフボードが欲しかっただけで、乗る事等二の次で買い漁ていた。
この8フィート台のPIGも、日頃長めのボードを乗り継いでいる俺自身では到底乗りこなす事の出来ない長さである。
以前、読者の方から「随分とボードを整理していますね?」とコメントを頂いたが、正に今は「整理真っ只中」の状態である。
サーフボードをコレクションし始めて20年以上が経つが、現在、新しいボードの入手資金は、略、これまでのコレクションを放出して賄えている。
このPIGが9.4フィート以上であれば棺桶まで連れて行きたい所だが、俺の下に居るよりは待望する知人の下へ旅立たせてあげた方が良いのかも知れないと思うこの頃である。
KEEP SURFING!‼