定期的に訪れる湘南界隈・・・
この日は、サーフィンも勿論だが、それ以外にも目的があった。
前回の更新で触れたフロースルーフィン・・・
実は、BOXフィンのボードを持たない後輩が購入した。
「付けるボードが無いのにフィン等買ってどうするんだ?」と、云われ兼ねないが、フィンの美しい様にやられた彼は「ボードの所有等は二の次」と、云わんばかりにそれを手にしていた。
そんな矢先の湘南訪問・・・・
この日の彼の目的は、正にシーコング。
BOXフィンのPIGとして候補に挙がったのは俺のフェラールPIG同様に、ダノーのHOG.。
共に、マイク・ブラックが愛機としていたPIGであったが、彼が選んだのはHOGであった。
そして、そのHOGとフィンの進水式を慣行しにいつものポイントへ・・・
俺も彼に合わせてフェラールPIGを持ち出すが、ピーターのバルサが「俺も連れて行け!」と云わんばかりにボードロッカーを塞いでいた為、この日は2本持参した。

そして、3本のPIGを並べてみた・・・
たった3本だが、これだけインパクトのあるPIGが揃うと中々の迫力なのだから、PIGの存在感は計り知れないものがある様に思えてならなかった。
揃いのフロースルーフィンが装着されたフェラールPIGとHOGは人気も疎らな海へと仲良く連れ添うに沖へと向かって行く。

日頃、ピーターの'50sPIGやクーパーフィッシュのブラックボードを愛機としている彼にとってHOGは、PIGである事を忘れさせてくれるかの様なマジックボードと化していた。
ましてや、フィンはHOGの代名詞でもある巨大なハーフムーンでは無く、フロースルーフィンである。
俺も、ここの所、バルサPIGしか乗っていなかった事もあり、マット・カルバー二渾身のフェラールPIGの反応性高さに唯々驚くばかりであった。
ボードが軽いからか?力む事なくスムーズなテイクオフが成され、ホレ気味の波でもロッカーがある為刺さる事も無い。
そして、キックテールの恩恵により、スムーズなターンが可能と・・・
正に至れり尽くせりのボードであった。
ビーチから上がると後輩が改めてフィンを覗き込む様に、その不思議な形状に見入っていた。

この形状のフィンがオウル・サーフボードによって、どの様な意図でデザインされたのかは知る由も無いが、覗き込む事の出来るフィン等、然う然うあるものでは無い。
子供染みた様にボードを重ねてフィン越しに海を眺めるのも、また、このフィンならではの楽しみなのだろうか?

このフィンに気が行き過ぎて我に返ったかの様にバルサPIGを一瞥すると、どうしても拗ねている様に思えてならなかった。
「わかった、わかった、お前も入れてやるぞ」と、云わんばかりにドーナツの向こうからハーフムーンを覗き込む。

抱え上げたこの日のバルサPIGは必要以上に重く感じた。
きっと、軽い(実際には軽くはない)フェラールPIGを堪能し過ぎたからだろう・・・
そして、ふと思った。
このままフェラールPIGを乗り続ければ、恐らく、俺の技量ではバルサPIGやヴィンテージPIGは乗れなくなってしまう。
初速の遅さ、ボードの加重・・・
その全てが魅力的なバルサ&ヴィンテージ。
しかし、乗り易いボードに乗れば乗る程、その魅力が苦痛となって行く。
海から上がり、3本のPIG達を眺めていたら「暫くはストイックにPIGと向き合うか・・・」と、改めて思った次第である。

色々な事を改めて感じる事が出来たこの日・・・
早々に、HOGの虜になってしまった後輩とは対照に、俺の中では「フェラールPIGはファミリーカーの時のみ」と、決断出来た不思議なひと時であった。
KEEP SURFING