実は、彼と交流が出来るまでに、間接的ではあるが何らかの形で会話に何度も登場していたのだから今思えば不思議な縁を感じる。
最初に彼を意識したのはシースワローの毛塚君から譲り受けたサーフボードがニックのパーソナルだった所から始まる。
ニックはダベンポートのライダーだけで無く、その長けたサーフライディングからアダムが作り上げるボードのテストライダーとしての一面も持ち合わせていた。
そんな、ニックがアダムと初めて会ったのは、まだ、ニックもアダムも学生の頃だったらしい。
2007年・・・
当時、大学院生だったアダムは既にタイラー・ハジキアンの下でシェイプとラミネートに励んでいたと云う。
そんな下済み時代のアダムとニックは友人を介して親しくなり、今に至っている。
ニックは年上のアダムを兄貴分として親い、「今自分がサーフィン業界に居られるのは全てアダムのお蔭だ」と自負する程、アダムを尊敬している様だ。
14歳からサーフィンを始めたニックは、その身体能力を生かし、メキメキとサーフライディングを向上させて行った。
そして、サンタバーバラの近郊のあるポイントで真冬にも拘らずロングジョンでPIGに乗る男と遭遇する。
その男こそ、マイク・ブラックである。
ニックは真冬にも拘らずロングジョンでサーフィンを楽しむマイクの姿に心を奪われ、いつしかマイクが主催する「PIG LUAU」の顔馴染みとなって行き、そして、その結果として誕生したのがミスクリーントである事は以前綴った通りである。


マイクも、また数学博士である。
サーフィンだけでなく、互いに学者であった事が二人の親交を深めて行った様である。
ニックはオーシャンサイドの住みながらも、現在、アダムが拠点としているベンチュラまで通いながらシェイプ活動に励んでいる。
アダムはシェイプ・ルームをジーン・クーパーとシェアしている事もあって、自然とジーンさんのシェイプを目の当たりに出来る環境にいる。
また、そこにはジーンさんの親友であり、俺が尊敬するランス・カーソンも頻繁に訪れているので、ランス直々にシェイプの指導を受ける事が出来たのだ。
そして、ニックはラミネートに至ってもアダムからレクチャーを受け、現在製作中の俺のボードも彼がラミネートをする事になった。
ランス・カーソン、ジーン・クーパー、そして、アダム・ダベンポートから指導受け、シェイプに励むニックのディケールにはご覧のスカルが採用されているのだが、この手のディケールが苦手な俺は「何故スカルを採用したの?」と尋ねてみた。

すると彼は・・・
「最初はディケール無しでボードをリリースして行こうと思ったんだ」
「一般的には自分の名前をボードレーベルに使う事が多いけど、僕はそうはしたくなかった」
「しかし、ノンディケールでは僕のボードだと認識されないのでスカルを採用したんだ」
そして・・・
「スカルを採用したのは、伝統ある米海軍の兵士達がスカルのタトゥーを入れている事を知って、海を守ってくれている彼等へのリスペクトを込めて採用したんだ」
と、教えてくれた。
成る程、如何にもニックらしい。
俺もミリタリーウェアには興味があるし、その部分には共感出来たので俺の中では異端児的なディケールではあるが、これはこれで受け入れたいと思う。
さて、そんなニックへPIGをオーダーした訳でが、実は彼からPIGではなく、「マリブチップを削らせて欲しい!」と、要望があったのだ。
何故にマリブチップ?
しかし、直ぐにピーンと来た!
彼の周りにはランスが居る、そして、かつてマリブチップをオーダーしたにも拘らず願いが叶わなかったジーンさんが居る・・・
ニックの話を聞いていると彼がマリブチップを削る経緯が理解出来た。
その経緯に至っては、ボードが完成した時に紹介と共に綴って行きたいと思いますので、楽しみして頂けたら幸いです。
Keep Surfing!