ランス・カーソンから連絡が届いた時の事だった・・・
「今、'60sピンテールを削っているんだが乗ってくれないか?」
「ラミネートはアダム・ダベンポートにさせるつもりだ」
「お前の気に入ったカラーを入れさせるよ」
という内容だった。
ご存知の方も多いと思うが、現在、ランス・カーソンのシグネチャーである「ピンテール」にはスタンダードと'60sの2タイプが存在する。
スタンダードピンテールはボード幅が広く取って在り、万人受けする乗り味が堪能出来るランスの真骨頂的なボードである。
一方の'60sピンテールは、ジェイコブス時代のシグネチャーだった時の完全復刻盤で、ボード幅が狭く、ピーキーなボードである事から長年封印されて来たが、多くのリクエストがあった事から8年年前くらいから少し削ずる様になり、現在はラインプナップの一角を占める様になった。
憧れのランスが精魂込めて削った'60sピンテール、これを拒む理由は何処を探しても俺には無かった。
ましてや、ラミネートはアダムが担当してくれる。
正に夢の様なボードである。
さて、肝心のカラーだが、これは迷う事無くイエローにしてもらった。
このイエローへの選定はヴィンテージで所有しているジェイコブス・ランスカーソンモデルがイエローであった事から、オリジナルとヴィンテージの両刀を実現させたかったからである。
そして、完成したのがこちらの'60sピンテールである!

経変変化をしたせいか?オリジナルのイエローは発色が鮮やかながらも色褪せた感があるのだが、このレプリカに関してはアダムがランスと相談して色味を決めたそうだ。
ランスのシェイプルームを訪ねると無造作にヴィンテージのシグネチャーが置いてあるのだが、実はそのボードもイエローである為、パーフェクト再現が成された色合いとなった様である。
デッキのクリアに対してボトムには一面にイエローが広がっているのだが、色映えもそうなのだが、アダムのラミネートの凄みに釘付けになってしまう程オーラが溢れている様に思えてしまった。

これが、ジェイコブスが、ランスが、タイラーが、そして、ジーン・クーパーが認めたラミネートなのかと鳥肌が立ってしまった程であった。
また、イレギュラーもあるのだが、最近のランスのディケールの選定として、菱形のタイプは'60sピンテールのみに使う傾向がある様だが、こちらはその例に習ってのチョイスとなっている。

ランスカーソンのピンテールには様々なタイプなフィンが装着される事があるのだが、今回は完全レプリカという事もあり、ご覧のフィンをチョイスしてもらっている。

限りなくDフィンに近い造形は、ランスのシグネチャーが誕生した頃の時代背景を物語っている様な気がしてならない。
そして、このボードの最大のポイント言えば、このピンテールである!
スタンダードピンテールが程良くラウンドしているのに対して、マリブを駆け抜ける為にジェイコブスが考案したテール形状は次世代を見据えたかの様な出来栄えとなっていた。

現在、ランスカーソンはプレーナーと決別する為の準備段階に入っており、彼は自身のボードデーターを「全てコンピュータに収めた」と語っていた。
自身の作品を後世に残す為の行いなのだが、実際には中々プレーナーとの決別は出来ない様である。
これは彼が最愛の父の介護に追われて、暫くプレーナーと決別せざる得なかった経験からの事なのか?
こうして、改めて彼のボードを見てみると、ランス・カーソンは健在であり、今も絶好調であると伝わって来る様だ。
ランスさん、素晴らしいボードありがとう!
Keep Surfing!