「何故、声を掛けてくれなかったのか?」、「次回は必ず参加したい!」とのメッセが沢山書き綴られており、予想以上に変態ボード、PIGに興味を持っている方が多い事を知った。
さて、そんなPIGであるが、本日は2008年からスタートしたブログによって、世界中にPIGの素晴らしさを再認識させた一人の数学者、マイク・ブラックとPIGの事を少しばかり書いてみようと思う。
1988年に初めてPIG に乗ったマイクは様々ボードを乗り継いだ後にタイラーのノーズライダーを乗っていた時の事だった。
彼は「どの様にノーズライダーを楽しんだら良いか?」とタイラーからレクチャーを受けていた時期に、ある知人の乗るPIGに出会った・・・
マイクがPIGにどっぷりと浸かる様になったのは、ここが始まりだったそうである。
友人から借りたPIGは、これまでのマイクのサーフィンへの価値観が180度変わる程衝撃だったそうである。
アクションの一つ一つに全て理由があり、それを身をもって追求したいと思ったそうだ。
丁度、その頃、マイクは友人であるジーン・クーパーが手掛けるクーパーフィッシュのホームページの作成をしており、そのギャランティーとして、「PIGを作って欲しい!」と相談したそうだ。
既にその時期、ジーンさんはモダンクラシックの第一人者としてCAでは一目置かれたシェイパーであった為、マイクはジーンさんが手掛けるPIGに期待を膨らませていたが、ジーンさんから「PIGは使えないから作らない!」と一蹴されてしまう。
正直、この話を聞いた俺は驚きを隠せなかった。
俺自身がこれまで乗って来たPIGの中で最も乗り易く、そして、日本においても多くのPIGファンを魅了したブラックボードはこの時点では構想にすら至らなかったのである。
自分のサーフィンを一番解ってくれているジーンさんだからこそ、理想のPIGと向き合えると思っていたマイクは愕然としたそうだが、マイクのPIG熱は冷める事無く、自らPIGを模索する様になった。
マイクが手にしたPIGはミッシェル・ジュノーのピグナーを始め、ダノーのHOG、ランス・カーソンのPIG、アンドレイニのPIGと、いずれもPIG道を極めた猛者達(シェイパー)のボードばかりであった。

(アンドレイニPIG)

(ダノーPIG)

(ランス・カーソンPIG)
それらPIGの中には、後に親交を深めたマット・カルヴァーニが削るビングPIGも含まれていた。
マットと意気投合したマイクは、ジーンさんと果たす事の出来なかった理想のPIGをマットに委ねたのだが、既にCAではトップシェイパーとして名を馳せていたマットは付け焼刃の様なPIGを作る事を拒み、マイクから開発の猶予を貰う事になった。
マイクのPIGには一つの理想形があった。
彼は最愛の妻からプレゼントして貰ったベルジー&ジェイコブスのバルサPIGこそがPIGの最たる在りき姿だと確信していた様で、歴史を紐解くかの様にバルサPIGと向き合った。

(ベルジー&ジェイコブスのPIG)
また、数学者であるマイクはバルサPIGのレール形状、アウトライン、ボトム、デッキ等、様々なディティールを数学的解釈を用いて自身の理想のPIGのテーマを見付けた。
○ナローノーズでワイドポイントがテール寄りある事
○フルレールである事
○フラットロッカーである事
○ベリーボトムである事
○テール最後尾にハーフムーンが付いている事
因みに、そのバルサPIGはジーンさんが入手した物をマイクの奥さんが譲り受けマイクにプレゼントしたそうで、スペックは9.7ftであり、クーパーフィッシュのブラックボードのベースになったボードでもある。
そう言えば、以前、ジーンさんにフレックスPIGの10ftをオーダーしたいと俺が持ちかけた時に、「フレックスは9.7ftのバルサから誕生したボードだから、9.7ftがベスト!」「10ftは必要ない!」と言っていたが、マイク自身のフレックスも9.7ftとなっている事を思うと、フレックスがストリンガーを用いていないバルサPIGを細部まで意識して作られたのが解る。
そんな折に、遂に完成したのがマットがマイクの為に作り上げたフェラールPIGであった。

(フェラールPIG)
ジーンさんのブラックボードで自身のPIGの理想形を確信したマイクの新しい相棒である。
マット渾身のフェラールPIGにすっかり魅了されたマイクは、クーパーフィッシュのPIG同様に2本所有する事になるだが、その内の1本はBOXフィンにした。
このBOXフィンに至っては、予てから構想していたオリジナルフィンを装着する為であった。


ドーナツ形状のフィンは1960年代に実在した物をアンドレイニPIGで採用した経験を踏まえ製品化。
もう一方は、BOXフィンのデメリットである装着ポジションを改善する為の形状にした。
これらは住宅事情及び車事情でオンフィンを所有出来ない日本のPIG乗りには最適なフィンなのかも知れない。
数々のPIGと向き会って来たマイクは、現在、オーストラリアのピーター・ストッカートのPIGを愛用している。

この共通点を辿って行くと、今後マイクがどの様なPIGをチョイスして行くのかが想像出来る。
その共通点はとは・・・
それは、ここブログ上では無く、海でお会いした時にお話しさせて頂ければと思っています。
今回は恐らく過去最高の長文になったかと思いますが、最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。
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