ハーバーの66バナナ | Viva '60s SurfStyle!!!

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1960年代のカリフォルニアサーフスタイルに心を奪われた男の独り言。

1960年代にカリフォルニアで脚光を浴びた数々のサーフボードメーカー・・・

 
 
残念ながら様々な諸事情により現在存命しないメーカーも多々ある中、日本では比較的手頃な価格で購入出来てい「た」。。。
 
 
「た」と、あえて過去形にしたのは、その手頃なプライスに一石投じようとの動きがある様である。
 
 
仕掛けているのはシーコングの田中さんである。
 
 
これまで、シーコングでは老舗ボードメーカーの2枚看板であったウェーバーとハーバーは「エントリーブランド」として提案し来たそうである。
 
 
あの時代のボードが好きな俺にとっては、少々、解せない話だが、そのお陰で多くのロングボーダー達が伝説のCAブランドを気軽に手にする事が出ていた訳だから、ある意味これはこれで良かったのだと納得する様にしている。
 
 
さて、田中さんが一石投じようとしているのは、過去の名作、名品を妥協なく、「出来る限り同じスペック」で提供するという試みである。
 
 
ご存知の通り、1966年頃までのサーフボードは、その殆どがグラスオンフィンであったり、高密度フォームが使われていたり、ボランクロスが惜しげも無く使用されいた。
 
 
これらの仕様を現代のサーフボードに適用すると、自ずと価格の上昇に繋がって行く事からボックスフィンに変更したり、フォームを軽くしたり、ボランを省いたりと、ユーザーが求めやすい価格を設定する為に本来の「あるべき姿」から掛け離れたボードを提供しなければならなくなる訳だ。
 
 
実際に、これまで俺がリスク(オーダーした通りならない)を加味しながらも殆どオーダーにして来た要因もここにある。
 
 
現在、シーコングにおいては、ハーバーのバナナやトラッセルを始めとする往年の名作以外に多くのニュートラディッショナルボードが増えて来ている事と、ロビン・キーガルのクリーム等がエントリーモデルとして育って来ている事から今回の事に繋がって来たのかも知れない。
 
 
さて、かなり前置きが長くなってしまったが、本日紹介するボードが田中さんの「行動の切っ掛け」になったのであれば嬉しい限りだが、紹介させて頂きます。
 
 
サーフボードが、いや、ロングボードが燦然と輝いていた時代に生まれた名品、ハーバーのバナナ・1966年モデルである!
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我がバイブルとして、今も愛年続ける「サーフ'60sスタイル」にてオリジナルが大々的に紹介されたモデルである。

 
 
バナナに関しては、以前、ヴィンテージを紹介した時に述べさせてもらったので、ここでの解説は省くが1963年の誕生以来、今もリリースされ続けているハーバーの代表作である。
 
 
イレギュラーなケースもあるだろうが、ハーバーのバナナは1967年辺りからフィン形状がそれまでの物とは大きく様変わりし、よりマニューバーに特化した物に変わって行く。
故に、俺的には、この1966年のモデルまでがバナナの中では「輝かしい」と思い、このボードの入手に至った。
 
 
以前紹介したヴィンテージも同様だが、この時代までのバナナにはPIGと同様のハーフムーンが装着されているのが特徴である。
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(1964年頃制作のバナナのハーフムーン)
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(1966年モデルのレプリカバナナのハーフムーン)
 
レプリカとオリジナルの違いはあれど、こうして双方のハーフムーンを見比べると、やはり、レプリカはフィンの着け位置、形状等々・・・
後のサーフシーンの影響を多分に受けている事が一目瞭然である。
 
 
また、このボードにはオリジナルでは無く、レプリカである為の「証」もしっかりと刻まれている。
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個人的には、「本来はあるべきではない」この様なサインは不要なのだが、リッチ・ハーバーは正直な男故に、レプリカとオリジナルが明確に区別出来る様にとの事からのアクションだったのであろう。
 
 
仕様に至っては、このボードのコンセプトは「完全レプリカ」である事から1966年モデルの代名詞でもあるイエローコートもしっかりとして頂き、更にウッドブロックも取り付けてもらっている。
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更に、画像では伝え切れないが、ボランは8オンスと比較的軽めな仕上がりとなっており、これらの仕様はハーバーの当時からの拘りである。
 
 
バナナは時のニーズに合わせて様々なアウトラインが存在するボードである事から、この1966モデルのバナナがオリジナルに対して全く同様なのかは解り兼ねるが、田中さんの話しでは「ハーバーのレプリカに関しては全く同じと思って結構」との事だった。
 
 
実際に田中さんが所有されているオリジナルのトラッセルを見せてもらったが、現在リリースされているTSスペシャルとはディケールのみの違い程度の完成度の高いレプリである事から、このボードに至っても同等のなのだと納得してしまった訳だ。
 
 
話しを冒頭に戻すが、現在のロングボードシーンは「1990年年代のロングボード復活」時とは大きく異なり、モダン系の様々なメーカー誕生した。
故に、老舗のボードメーカーに至っては「過去の産物」をより輝かしい状態でリリースした方が良いのでないかと個人的には思っている。
 
 
勿論、老舗のメーカーもモダン系のボードをリリースしている事から、それらは今の時代の目線で発信し続ければ良いと思う。
 
 
足し算、引き算の掛け合わせのタラレバのモダン系のボードも、それはそれで楽しく素晴らしいが、当時あったヴィンテージを限りなく忠実に再現する事、そして、それらを発信して行く事もクラシック・ロングボードならではなの魅力なのではないだろうか?
 
 
あの時代を愛する者としては、現存するメーカーが「本気」で完成度の高いレプリカをリリースする事を願うばかりである。
 
 
Keep sufing!