1990年代のロングボード・・・
この頃のボードは、特に初頭の頃はショートボードがそのまま長く成ったかの様なボードがビーチを埋め尽くしていた。
それらは機能性に長けている一方で、ロングボードが最も輝かしかった往年の時代のモノは大きく掛け離れていた。
しかし、そんな中でも唯一、往年の輝きを持ったボードがあった。
正確には、輝きを持つボードを創っていた人物と云った方が良いだろう。
彼の名はデイル・ベルジー。
語るまでもなく、サーフィン界のゴーギャンと謳われた男である。
輝き満載のベルジーのボードの特徴は、なんと云っても1990年代には稀な重量感だ。
その重さはヴィンテージに負けずとも劣らない程で、タイラー・ハジキアンのボードが知れ渡るまで、その重さは唯一無二の存在だったのではないだろうか?
本日は、そんなベルジーが晩年に創り上げたボードの紹介である。
それがこちらのニュー・トラディショナル。
’90年代のベルジーの代表作と云ったら間違いなく、このニュー・トラディショナルとモダンクラシックであろう。
本日は、そんなニュートラディショナルの一風変わったボードである。
ベルジーの晩年を支えたジム・フィリップスのシェイプには大きな特徴があると云われているのだが、このボード・・・
若しかしたら「ジムのシェイプ?」と思える様な要素が多分に感じられるから不思議でならない。
職人気質溢れるベルジーだが、自身では余りシェイプをしたがらないとカリフォルニアで度々耳にした事があった。
これはリッチ・ハーバーの証言にもある有名な話だが、ジェイコブスと袂を別けた1960年代初頭にベルジーは一時期ハーバーの下請けを担っていた事があるのだが、この時に削られた殆どのPIGがベルジーシェイプではなく、ベルジーの下を訪れていた弟子達がシェイプしていたと云うのだ。
ハーバーの注文に対して余りにもシェイプの上りが早かった事にハーバーが疑問を抱き、問い詰めたところ発覚した話らしい。
今回紹介するボードがジムなのかは証言が無いので不明だが、どことなくこのボードに近いのでは?なんて、思った事に始まる。
まぁ、このボードについては機会があれば、いずれ紹介したいと思っているので話をニュートラディショナルに戻したいと思う。
まず、注目すべき所は、ベルジーのPIGと云ったらコレであろう!
テールブロックだ。
お約束の組み合わせは最高の一言に尽きる。
また、ループの下に見え隠れするストリンガーはレッドシダーが使用されており、そこに添える様にV型ベルジーロゴが入る。
因みに、こちらはボトム面なのだが、デッキ面はお馴染みのご覧のディケールが使用されている。
そして、存在感のあるストリンガーにはベルジーのサインが入る。
さて、そんなニュートラディショナルにはこんなフィンが装着されている。
勿論、オンフィンである。
ニュートラディショナルはモダンクラシックと共に90年代のベルジーの代表作である。
それらの殆どはハーフムーンが装着されている訳だが、晩年に登場したモノには稀にレイクに掛かったフィンが装着されている傾向がある。
まだまだ勉強不足故に、ジム・フィリップスのシェイプの癖は見分けられない俺だが、このフィンを見ていると何処となくジムが削った様に思えてならない。
もし仮に、このボードがベルジーシェイプで無くジムのシェイプであったとしたら、それはそれで素晴らしい事であろう。
しかし、こうして久しぶりに引っ張り出したボード群を見詰めていると、まだまだ乗り足りていないボードが山ほどある事に気付かされる。
今年は少々ボードの入れ替えを本気で考えって行かなければと強く思う次第である。
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