デューク・カハナモクがワイキキでサーフィンをしていた1910年代・・・
この時代、サーフボードにフィンは付けられておらず、サーフィンは主に直進しながら波をメイクする娯楽であった。
この光景は映画「ザ・ライド」にも描かれており、タイムスリップした主人公がフィンの重要性を再認識する場面がとても印象的である。
サーフボードにとってフィンは掛け替えの無いバディーであり、PIGの晩年期にはハーフムーンが徐々に後方に遮光している事からも、フィンによってサーフィンの方向性が様変わりしてしまう程重要な役割りを担っているツールでもある。
そんな、フィンに一際拘っていたのだが、ヴェンチュラを拠点にシェイプに励んいるアダム・ダベンポートである。
彼はシェイプルームをシェアしているジーン・クーパーの影響を多大に受けており、昨今ではフィン創りにおいても様々な部分でインスパイヤーされているそうだ。
そんな、彼が俺に一枚のフィンを差し出して来た・・・
「これを見てくれないか」
「君のPIG用に作ったんだ。」
「このフィンをチョイスしたのには理由があるんだ」
「ちょっと、こっちへ来てくれないか?」
アダムは、彼がこれまでに参考して来たヴィンテージボードが無数に置かれたストックヤードに俺を連れて行き、フィンを天に掲げた。
「このフィンは、このヴィンテージPIGから採用したんだ」
「どうだい凄いだろう?木目を忠実に再現したくて木材から厳選したんだ」
「アダム、凄いじゃないか!」
「これ、凄いよ!」
と、興奮する俺にアダムは・・・
「どの位置に付けたい?」
「回転性を重視するな多少前が良いと思うけど・・・」のアダムを言葉に俺は・・・
「最後尾に付けてくれ!」
「限りなく最後尾だ」と要求すると彼は・・・
「この位置で良いかな?どうだい?」と、笑みを浮かべながらセッティングし始めた。
「いいね!」
「この位置だよ!」
「ここが最高のポジションだ!」
そんな会話の最中、アダムが・・・
「ブロックはどうする?」
「付けないのか?」
と、尋ねて来た。
それは即答で・・・
「いや、付けるよ!」
「ウッドが良いね」
と、告げると彼は・・・
「そう云うと思って特別なのを用意しておいたよ」
「どうだい?良いだろう?」
「良いね!」
「これ良いよ」!
「これにしよう」!
と、少々興奮気味の俺に向かって彼は・・・
「実は、このウッドはこれを参考にしたんだよ」
「見てくれ!」
「これは僕の親父が乗っていたPIGで、これと同じ様なウッドを付けたいと思っていたんだ」
「良いだろう?」
と、アダムはどこか誇らしげに説明をし始めた。
「うん、最高だね」
「これは素晴らしいPIGになるよ!」
と、こんなやり取りが行われながら、遂に完成したPIGが日本に送られてくる事になった。
次回の更新では、是非、そのPIGをご紹介したいと思います。
楽しみにして頂けらば幸いです。
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