こんにちは、こんばんは。おじさんです。
2024年5月24日、何の前触れもなく日本製サイクロンが発表&リリースされました。
2024年限定生産新モデル【Made in Japan Limited Cyclone】本日発売!
— Fender (フェンダー) (@Fender_Official) May 24, 2024
Butterscotch Blondeカラーは #FenderFlagshipTokyo、FENDER SHOP in MIKI GAKKI AMERICAMURA @mikiame、Fender 公式オンラインショップ限定!https://t.co/TilUjoregm pic.twitter.com/JaKNEHEtVh
予想外の展開に驚きつつも指先は冷静に通販サイトを開くという機材オタクムーブをかまし…
フィエスタレッドを購入しました!サイクロン使いとして買わずにはいられなかった。
ということで今回はこのMIJサイクロンと共にサイクロンシリーズの魅力について語ります。
※記事中にあるMIJ以外のサイクロンは何かしら改造済みです。
Fender CYCLONE
サイクロンは90年代末に登場したフェンダー製エレキギターです。
そのルックスと仕様から「現代版ムスタング」と称されることがありますが、実際にはムスタングとは大きく異なる独自性を有するギターです。というかヘッドとボディのシェイプ以外は別物。
その正体はフェンダーを代表する万能ギター(要出典)
ミディアムスケールはフィンガリングを容易にし、コード弾きもソロ弾きもストレスなくプレイできます。
ショートスケールのようなテンションの低さ、ピッチの甘さもありません。
PU構成はリード・リズムどちらでも運用しやすいHS。特にギターボーカルにとって心強い相棒になります。
ジャキッとした歯切れのよいフロントは「サイクロン固有の音」と言えるほどの個性を持ち、他に代えがたいクリーン・クランチサウンドを生み出します。
さらにシンクロナイズドトレモロまで搭載している。
特化ジャンルこそ無いものの汎用性の高いギターだと評せます。評せますよね?評します。
スタンダードのバリエーション
「スタンダード」な仕様のサイクロンは大きく分けて3つ存在します。
【メキシコ製サイクロン】
最も有名かつ基本となるのがMade in MEXICOのサイクロン。
太めのネック、アルダーボディ、イナタく綺羅びやかなTEX-MEXシングル、フェンダーの中でも上位に位置するパワーを持つアトミックハムバッカーが魅力の一品。
アトミックハムバッカーのHOTが270kΩの抵抗経由でグランドに落とされているのも特徴のひとつ。専用PUを採用した後年のサイクロンでは見られない仕様です。
【スクワイヤー・サイクロン】
日本限定で復刻されたファン待望のリイシューモデル。
レギュラーライン(ブラック、ブルーメタリック)のほかFSRカラーが存在します。どちらもボディはバスウッド、指板はローズウッドです。
全体的な構成はメキシコ準拠ですが、ネックが若干薄くなったことでグリップの感触が大きく変わっています。ここは好みが分かれるところかと思います。
またボディ厚もメキシコより1mm薄い45mmになっています。
ピックアップはそれぞれスクワイヤーオリジナルで、ハムバッカーはゼブラから単色になりました。
どちらも悪いPUではないのですが、おじさんは明瞭さ・パワーともに足りていないと感じたのでSeymour DuncanのSSL-2とSH-4に交換しました(うちのHSギターは大体この組み合わせ)
【SAWAO CYCLONE BW】
the pillows 山中さわおシグネイチャーモデルのサイクロン。
誕生までの経緯をざっくり書くと…
- 山中氏、メキシコ製サイクロンをメインに据える。
- 氏のアイコンとして長きに亘り使用される。
- 2007~2008年頃、マイケル・シェンカーオマージュの白黒カラーにリペイント。
- フェンダーから製品化のオファー。白黒スクワイヤーサイクロン(金ロゴ)を提供される。
- 販売価格などを考慮しながらパーツや塗装の仕様が決定される。
メキシコ製サイクロンに施されていたスライドスイッチ改造を採用したうえネック裏までしっかり2色に塗装されている豪華仕様で製品化となりました。
各部形状とハードウェアはスクワイヤーサイクロン同等です。
スクワイヤーサイクロン、さわおサイクロンは2010年代におけるサイクロン文化維持の立役者。彼らが存在感を保ち続けたからこそパラノーマルサイクロンやMIJサイクロンの製品化に繋がったのではと思います。
MIJ CYCLONE
そんな歴史の末に生まれたMIJサイクロンのスペックは下記の通り。
Body Material:Alder
Body Finish:Gloss Polyester
Body Shape:Cyclone™
Neck Material:Maple
Neck Finish:Satin Urethane
Neck Shape:Modern "C"
Scale Length:24.75" (629 mm)
Fingerboard Material:Rosewood
Fingerboard Radius:9.5" (241 mm)
Number of Frets:22
Fret Size:Medium Jumbo
Nut Material:Bone
Nut Width:1.650" (42 mm)
Position Inlays:White Dot
Bridge Pickup:Made in Japan Cyclone Humbucking
Neck Pickup:Made in Japan Cyclone Single-Coil
Controls:Master Volume, Master Tone
Switching:3-Position Toggle: Position 1. Bridge Pickup, Position 2. Bridge and Neck Pickups, Position 3. Neck Pickup
Configuration:HS
Bridge:6-Saddle Vintage-Style Synchronized Tremolo
Hardware Finish:Nickel/Chrome
Tuning Machines:Vintage-Style
Pickguard:3-Ply Parchment
Control Knobs:Black Plastic
Switch Tip:Black
Neck Plate:4-Bolt
Strings:Nickel Plated Steel (.009-.042 Gauges)
ゼブラハムバッカー、アルダーボディのサイクロンが帰ってきたぞー!!!!スペック・マテリアル的にはほぼ隙がないですね。
注目ポイントはネック周り。メイプル指板のバリエーションが追加されたほか、塗装はサテンフィニッシュに、太さはメキシコに近いものとなりました。
しっかりとした塗膜と色味。無垢に近い薄さを好む人には合わないかもしれませんが個人的には素晴らしい仕上がりだと思います。
ボディの変更点も見逃せません。
光の反射から分かる通りMIJサイクロンのボディはメキシコよりも少し丸めに加工されています。45mmのボディ厚も相まって小ぶりな印象を受けます。
ピックアップはどちらも日本製の専用品。軽く鳴らした限りではTraditional Stratocasterなどに搭載されているものよりも明るく芯のあるサウンドだと感じました(実は同じPUだったらどうしよう)
少なくともスクワイヤーサイクロンのようにすぐ交換したいとは思いません。サイクロンらしさを十分に演出できているPUです。
各部のビルドクオリティはMIJ準拠。日本人目線だと「そこそこ」程度の評価に留まることが多いようですが、各国のミドルクラスギターを何十本と使ってきた身からすれば高水準と言えるレベルです。
手に入れて損はない逸品
演奏性と汎用性を兼ね備えたMIJサイクロンは初心者からベテランまで幅広く受け入れられる素質を持っています。
HS構成のギターが欲しいと思っている人はもちろん、複数のバンドで活動している人にもおすすめ。色んな音が出せる、弾きやすい、造りが良い、かわいい、かわいい。「持っておいて損はないギター」ですよ、ホントに。
これを2024年限定品にしてしまうのはあまりにもったいない…
マジメな話、サイクロンはレギュラー品として継続生産すべきギターですよ。
サイクロンコピーモデルが市場から消えないのが何よりの証拠。時代を問わず求められているギターなんです。
いっそハードテイルのSonicサイクロンなんかが出ても面白いですね。
ムスタング→サイクロン→サイクロンHH→ムスタングHHという血統の末っ子。リリースの際は太めのネックでおなしゃす。