骨粗しょう症って何?という前に…
骨は、たんぱく質でできたコラーゲンなどの繊維にカルシウム、リンなどのミネラルがくっついてできています。
建物でいうとコラーゲンなどの繊維は鉄筋、カルシウムやリンなどのミネラルはセメントで、骨はこの鉄筋とセメントでできた鉄筋コンクリートといった感じです。
骨粗しょう症とは?
骨は骨を作る骨芽細胞と骨を壊す破骨細胞の2種類が作用していて、壊しては作り、壊しては作りを繰り返して、少しずつ新しいものと入れ替わって強度を保っています。
骨粗鬆症は、この働きが乱れ、破骨細胞の働きのほうが強くなる、ということです。
骨粗鬆症がすすむと、骨がすかすかになり軽い衝撃でも骨折する、ということになってしまいます。
骨粗しょう症の症状
症状として、
骨がもろくなり、
背中は圧迫骨折で背中や腰が痛くなったり、曲がったり、背がちちんだりします。
そして、転んで足や手の骨の骨折まで行くと、特に大腿骨のつけね、つまり太もものつけねを骨折すると、
その後も寝たきりになる大きな原因となります。
骨折しやすい部位
例えば、転ぶと思わず地面に手をつきますよね。そうすると手をついただけで手首の骨を骨折したり、
また転んでしりもちをつくと太もものつけ根の骨を骨折したり、
と小さな衝撃で簡単に骨折するのが、骨粗鬆症による骨折の特徴になります。
その他、腕の付け根の骨、また脊椎や腰椎なども骨折しやすく、場合によってはそれによって寝たきりになってしまうというケースもあるので、十分注意が必要です。
骨粗しょう症の危険因子
骨粗鬆症になりやすい危険因子は大きく分けて3つあります
まずは加齢・性別・遺伝に関係するものです。
年を取るほど骨粗しょう症のリスクが高くなります。
また、男性より女性の方が骨粗しょう症になりやすいです。
そして、お母さんやおばあさんが骨粗鬆症の場合、ライフスタイルや環境の影響もありますが、遺伝的な体型や閉経時期が似てきます。
白人やアジア人は黒人より骨が細く骨粗鬆症になりやすい、と言われています。
女性ホルモンは破骨細胞を減らし、骨を作る働きをします。
そのため、女性ホルモンが減少する閉経後は骨粗鬆症になりやすくなり、閉経時期が早いほど骨粗鬆症になる危険性が早く高くなります。
子宮や卵巣の摘出手術などで人工的に閉経になっても同じです。
月経不順で女性ホルモンが正常に働かなくても骨によくないです。
偏った食事やダイエットで体脂肪が減り、月経がなくなるなどホルモン異常が起こったり、
骨に大切なCa、ビタミンD、ビタミンK、Mgなどが不足したりする事は骨粗鬆症の危険因子です。
たんぱく質は必要ですが、取りすぎは逆にCaの排出を促進します。
運動は骨に体重をかけることで、Caが骨に沈着し骨量を増やします。
骨と同時に筋肉も鍛えられるので、骨を保護する力も強くなります。
また、平衡感覚や反射能力を鍛えて転倒を予防します。
さらに、運動をする人はしない人よりも日光にあたる機会が多くなります。
日光浴によってビタミンDが作られるので、適度に日光にあたることは必要です。
アルコールの摂取量が多いほど、骨粗鬆症による骨折の危険が増えるという調査結果があります。
食生活のバランスが悪いという他、肝臓を悪くするとCaの吸収を良くするVDの代謝障害がおき、Caの吸収に影響します。
次にカフェインですが、肝臓に負担をかけ、Caの吸収を悪くし、カフェインの利尿作用によってCaが尿中に排泄されやすくする、と考えられています。
たばこは女性ホルモンの骨形成にかかわる作用を阻害し、Caが尿中に排泄されるのを促進します。
また、胃腸の働きや消化液の分泌を悪くするので、Caの吸収を妨げます。
その結果、生涯で骨量が最も高くなる時期を最大骨量、と言いますが、この最大骨量が低くなったり、閉経が早まったりします。
次に骨粗鬆症の危険因子で病気に関係するものですが、
甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンが増加するとCaが骨から流出します。
糖尿病では、骨を作る骨芽細胞を増やすインスリンの分泌量が少なく、また尿の量が増えることで骨に大切なCa、Mg、Pが尿として排出されやすく不足がちになります。
また、ステロイド剤は骨を作る細胞の働きを抑制し、Caの吸収を抑制するため、骨がみるみる弱くなっていきます。
次に消化器系の大きな病気をして手術などをすると、骨に大切なCaやVDなどの吸収が悪くなります。
このように骨粗鬆症になりやすい人には遺伝、生活習慣、病気の3つの要因が関係しているのです。
骨粗しょう症予防
予防は、
食事では
カルシウム、
ビタミンD
Ca、VD、VKに加え、マグネシウムもまた骨が作られる時に作用する大切な栄養素です。
がんもどき、豆腐などの大豆製品、アーモンド、カシューナッツなどのナッツ類、ほうれん草などの濃い緑の葉野菜、ひじきや昆布などの海藻類に多く含まれます。
ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸は、多くなると骨折の危険性が高くなるホモシステインの代謝に関係するビタミンです。
骨密度が高くても骨の質が悪いと骨折しやすくなりますが、これらのビタミンは骨の質が悪くなるのを防ぎます。
ビタミンB6は肉や魚など動物性食品に多く含まれますが、さつまいも、バナナ、ピスタチオ、緑黄色野菜に多く含まれます。
ビタミンB12は肉や魚など動物性食品に多く含まれ、植物性食品には供給源となる食品がない、とかんがえられている栄養素で牛乳・乳製品、卵、あるいはビタミンB12強化食品、サプリメントなどを利用しても良いでしょう。
葉酸はアスパラガス、ほうれん草、モロヘイヤなどの緑黄色野菜の他、いちごやマンゴーにも比較的多く含まれています。
このように色々な栄養素が骨の健康に関係していますので、栄養バランス良い食事が大切なのです。
一方、過剰摂取を避けた方が良い食品は
まず、リンを多く含む加工食品、一部の清涼飲料水です。
リンは骨に必要ですが、多すぎるとカルシウムの吸収を邪魔します。
次に、食塩も多すぎるとカルシウムを体から出してしまいます。
カフェインを多く含むコーヒーや紅茶、アルコールは、利尿作用があるので、飲み過ぎると尿と一緒にCaが出されてしまいます。
運動
食事だけでなく 骨に負荷をかける荷重運動+筋トレが大切です。
ここでいう荷重運動というのは
軽いもので、ウォーキングや太極拳、
強い荷重運動ではジョギング、ダンス、ジャンプなどのことを言っています。
高齢者や骨粗鬆症の心配のある方では、軽い動的荷重運動がおすすめです。
具体的にどのような運動がされているか、というと
1日に8,000歩のウオーキングを週に3日以上し、これを1年継続する、と言ったような運動です。
この運動を骨量が減少しているか、骨粗鬆症の49~75歳の閉経後女性を対象に実施した所、腰椎骨密度 1.71%あがった事が報告されています。
そして、転ばないように気を付けましょう。