ファイトケミカル~どの食品に含まれる?何に効くの?~ | 最新科学の栄養学と医学が教える!ヴィーガン・ベジタリアンの健康の秘訣と注目トピック解説

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ファイトケミカル(またはフィトケミカル)って聞いたことありますか?

 

聞いたことがあるだけで、なんだか体にいいもののような感じがしますが、正直なところあまり分からない、というのが本音ですよね。

 

ファイトケミカルとは

 

野菜・果物、豆類、穀類など植物に含まれる色素や香り、アクなどの成分です。

 

 

ビタミンやミネラルのように身体が正常に機能するのに必須の栄養素ではないですが、健康維持や改善に役立つと期待されている物質です。

 

ファイトケミカルはその化学構造から

 

1.カロテノイド、

2.ポリフェノール、

3.グルコシノレート、

4.植物ステロール

 

などに大きく分けられます。

 

1.カロテノイド

 

ファイトケミカルのうち、カロテノイド系は赤~オレンジ色の色素成分で、オレンジ・黄色・赤の野菜・果物の他、緑の葉野菜などに含まれます。

 

カロテノイドはさらに

 

カロテン類と

キサントフィル類

 

などに分けられます。

 

<カロテン類>

カロテノイド系は細胞膜の酸化を防ぎ、ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化剤と協力して働きます。さまざまなガンの抑制作用が期待されています。カロテン類の代表的なものは人参やかぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれるβ-カロテンや、トマト、あんず、すいかなどに含まれるリコピンなどがあり、β-カロテンは人間の体内でビタミンAに変わります。

 

 

 

<キサントフィル類>

もう一方のキサントフィル類の代表的なものとしては、黄色の色素成分のルテインがあり、加齢黄斑変性や白内障予防に良いようです。ルテインはとうもろこしやほうれん草に含まれます。

 

 

 

2.ポリフェノール

ポリフェノール系はとても種類が多く、大きく分けて、

 

黄色のフラボノイド、

その他フェノール酸、

リグナン

 

などがあります。

 

<フラボノイド>には

 

ブルーベリーに含まれるアントシアニジン、

大豆に含まれるイソフラボンの他、

ケルセチン、

ヘスペリジン

 

などがあります。

 

ブルーベリーに含まれるフラボノイドは網膜症や眼精疲労などの目の病気改善に、

 

 

大豆イソフラボンは更年期障害改善、乳がん予防、骨粗鬆症予防などに、

 

 

ケルセチン・ヘスペリジンは抗炎症作用、抗酸化作用、血液循環改善などの効果が期待されているようです。ケルセチンは玉ねぎに、ヘスペリジンはみかん、はっさくなどに含まれます。

 

<フェノール酸>

 

フェノール酸は全ての野菜・果物に含まれ、食事に含まれる総ポリフェノール量の1/3をも占める、と言われています。

 

フェノール酸には、

 

コーヒー酸、

フェルラ酸、

クルクミン

 

などがあります。

 

これらの成分は、がん、糖尿病、高血圧、肝毒性などに良いのでは、という期待のうちに調査されています。

 

コーヒー酸はりんご、すもも、とまと、ぶどうに、

 

 

フェルラ酸は小麦ふすまや米ぬかに、

 

クルクミンはうこんに含まれます。クルクミンは特にがんへの効果が期待されています。

 

<リグナン>

抗酸化作用、コレステロール低下作用が報告されていて、亜麻仁、ライ麦、ごまの他、ブロッコリー、キャベツなどのアブラナ科野菜にも含まれています。

 

 

 

3.グルコシノレート

 

硫黄を含んでいて、調理、咀嚼、消化中に分解され、インドール、チオシアン酸、イソチオシアン酸といった物質になり、がん、心臓血管の病気などの予防に期待されています。

グルコシノレートはキャベツやカリフラワー、ブロッコリー、大根などのアブラナ科野菜に多く含まれます。

 

4.植物ステロール

 

植物に含まれるステロール類の総称で、総コレステロールやLDLコレステロールの低下作用があります。米国では、FDA(米国食品医薬品局)が植物ステロールを含む食品について心臓病のリスクを低下させる、という健康強調表示することを許可しています。この植物ステロールは植物油、ナッツ類、ごま・ひまわりの種などの種子類、穀類などに含まれます。

 

 ファイトケミカルを効果的に摂取するには

 

ファイトケミカルは種類によってが違う事が多いので、様々な色を摂るようにすれば良いでしょう。

 

カロテノイド系のうちカロテン類は疎水性が強いのでと一緒に摂取すると良いですが、

 

その他のフラボノイド系硫黄化合物系植物ステロールはどっちつかずだったり、わりと水に溶けやすい物が多いようです。

ですので、長く水に浸けたりせずに、汁が出るような料理の場合は汁やスープごと摂るなどなるべくまるごと食べるようにしましょう。

 

 

参考文献

・Sangita Sharma, et al. 75. Phytochemicals. Nutrition at a Glance, 2nd ed. John Wiley & Sons, Ltd. 2016

・厚生労働省. e-ヘルスネット 「カロテノイド」

・蒲原聖可. ベジタリアンの医学 4-6 ファイトケミカル 2005

・蒲原聖可. EBMサプリメント事典. 医学出版社 2008

・wikipedia

・(一社)全国発酵乳乳酸菌飲料協会 http://www.nyusankin.or.jp/health/health1-12.html

・http://lfs.ict.osaka-kyoiku.ac.jp/8abf7406306e79d15b66/5m5lf2

・大塚チルド食品 「植物のパワー」「新・健康生活」http://www.otsuka-chilled.co.jp/power/healthylife/

・植物ステロール含有水溶性組成物、製造方法および用途 https://patents.google.com/patent/JP2002291442A/ja (ステロールは油、水どちらにも難溶解性)