”のり”に真のビタミンB12は含まれる!? ~ベジタリアン学会2022より~ | 最新科学の栄養学と医学が教える!ヴィーガン・ベジタリアンの健康の秘訣と注目トピック解説

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病院で健康相談を担当するベジタリアン栄養学博士が科学的根拠を基に栄養学と医学的トピックをお知らせします。
みなさまの健康への一歩を応援します。

ビタミンB12は、一般的に植物性食品に含まれないので、ヴィーガンでは不足することが知られています。

 

米国栄養士会の最新のベジタリアン食の見解書には、

 

『ビタミンB-12は植物性食品の成分ではありません 。発酵食品(テンペなど)、海苔、スピルリナ、クロレラ藻類、およびB-12強化されてない栄養酵母(nutritional yeast)は、B-12の適切または実用的な供給源として信頼することはできません。ベジタリアンは、B-12強化食品またはB-12含有サプリメントを定期的に摂取する必要があり、そうしないと、ベジタリアンの幼児、子供、成人の症例研究で示されたように、不足になる可能性があります。

ほとんどのベジタリアンは、これらの信頼できるB-12供給源を摂るべきです。なぜなら、1日1カップの牛乳と1個の卵は、 推奨栄養所要量 (RDA)の約3分の2しか摂取できないからです。』J Acad Nutr Diet.  2016;116:1970-1980.

 

1日に必要なビタミンB12の推奨量は、日本人の食事摂取基準2020年版を見ると

 

 

12歳以上の男女で2.4μgです。

 

日本食品標準成分表2020年版を見ると、

 

 

普通に、1日に牛乳コップ1杯、卵を1個食べるくらいでは、推奨量に足りず、

   1日に牛乳コップ2杯、うずらの卵を3個食べると推奨量くらい摂れます。

 

 

 

納豆、みそなどの発酵食品には含まれませんが、海藻類の中でものりにはビタミンB12は含まれる、とのことのようです。

 

ところが、のりを食べた研究によると、

 

魚やサプリを摂ったグループでは、MCVが正常値になりましたが、のり、スピルリナ、発酵食品を摂ったグループでは、血清ビタミンB12値は増加(改善)されましたが、MCVは改善されませんでした。

 

*ビタミンB12欠乏症による巨赤芽球性貧血でMCV(平均赤血球容積;赤血球1個の平均的大きさ)が上昇します。

 

その他、

 

4グループに分け、①のヴィーガンでVB12のサプリメントを摂らなかったグループでは、

 

 

8カ月後に、

ホロトランスコバラミン、ホモシステイン値はVB12不足気味を示していましたが許容範囲内、

メチルマロン酸(MMA)は上昇したことからビタミンB12不足を示す、ということでした。

 

一方、VB12のサプリを摂っていたヴィーガン群、卵や乳製品を摂っていたベジタリアンはいずれのVB12の指標も正常値、という結果でした。

 

今度は、生のりと乾燥したのりをたくさん食べた、という研究です。

 

 

320gもの生のりを食べた群では、MMAの変化はありませんでしたが、

乾燥したのり40g食べた群では、MMAが増加、つまりビタミンB12の不足を示す、ということでした。

 

結論として、

 

 

日本食品成分表のVB12の測定は微生物法でVB12類似体の量も測定している可能性があり、つまり”のり”に真のビタミンB12が含まれているかどうか疑問視されている、とのこと。

 

今のところ、のりにはVB12の不活性型や類似体が含まれ、VB12の供給源として推奨する、と断言できないということでした。

その他、学会では、ビタミンB12供給源として、

「のりも様々、クロレラも様々なクロレラがあり、VB12含有する物、しない物がある。」
「サプリを摂りたくないヴィーガンに好まれるのは、VB12含有かいわれ大根、VB12ニュートリショナルイーストなど。
ベジタリアンは、信頼できる商品の栄養成分表をチェックしてVB12が含有される強化食品やサプリを摂ると良いですね。」

といった話がありました。

しっかりした介入研究で、のりはVB12の供給源だ、と言える日が早く来ますようにおねがい