ビタミンB12は、一般的に植物性食品に含まれないので、ヴィーガンでは不足することが知られています。
米国栄養士会の最新のベジタリアン食の見解書には、
『ビタミンB-12は植物性食品の成分ではありません 。発酵食品(テンペなど)、海苔、スピルリナ、クロレラ藻類、およびB-12強化されてない栄養酵母(nutritional yeast)は、B-12の適切または実用的な供給源として信頼することはできません。ベジタリアンは、B-12強化食品またはB-12含有サプリメントを定期的に摂取する必要があり、そうしないと、ベジタリアンの幼児、子供、成人の症例研究で示されたように、不足になる可能性があります。
ほとんどのベジタリアンは、これらの信頼できるB-12供給源を摂るべきです。なぜなら、1日1カップの牛乳と1個の卵は、 推奨栄養所要量 (RDA)の約3分の2しか摂取できないからです。』J Acad Nutr Diet. 2016;116:1970-1980.
1日に必要なビタミンB12の推奨量は、日本人の食事摂取基準2020年版を見ると
12歳以上の男女で2.4μgです。
日本食品標準成分表2020年版を見ると、
普通に、1日に牛乳コップ1杯、卵を1個食べるくらいでは、推奨量に足りず、
1日に牛乳コップ2杯、うずらの卵を3個食べると推奨量くらい摂れます。
納豆、みそなどの発酵食品には含まれませんが、海藻類の中でものりにはビタミンB12は含まれる、とのことのようです。
ところが、のりを食べた研究によると、
魚やサプリを摂ったグループでは、MCVが正常値になりましたが、のり、スピルリナ、発酵食品を摂ったグループでは、血清ビタミンB12値は増加(改善)されましたが、MCVは改善されませんでした。
*ビタミンB12欠乏症による巨赤芽球性貧血でMCV(平均赤血球容積;赤血球1個の平均的大きさ)が上昇します。
その他、
4グループに分け、①のヴィーガンでVB12のサプリメントを摂らなかったグループでは、
8カ月後に、
ホロトランスコバラミン、ホモシステイン値はVB12不足気味を示していましたが許容範囲内、
メチルマロン酸(MMA)は上昇したことからビタミンB12不足を示す、ということでした。
一方、VB12のサプリを摂っていたヴィーガン群、卵や乳製品を摂っていたベジタリアンはいずれのVB12の指標も正常値、という結果でした。
今度は、生のりと乾燥したのりをたくさん食べた、という研究です。
320gもの生のりを食べた群では、MMAの変化はありませんでしたが、
乾燥したのり40g食べた群では、MMAが増加、つまりビタミンB12の不足を示す、ということでした。
結論として、
日本食品成分表のVB12の測定は微生物法でVB12類似体の量も測定している可能性があり、つまり”のり”に真のビタミンB12が含まれているかどうか疑問視されている、とのこと。
今のところ、のりにはVB12の不活性型や類似体が含まれ、VB12の供給源として推奨する、と断言できないということでした。
その他、学会では、ビタミンB12供給源として、
「のりも様々、クロレラも様々なクロレラがあり、VB12含有する物、しない物がある。」
「サプリを摂りたくないヴィーガンに好まれるのは、VB12含有かいわれ大根、VB12ニュートリショナルイーストなど。
ベジタリアンは、信頼できる商品の栄養成分表をチェックしてVB12が含有される強化食品やサプリを摂ると良いですね。」
といった話がありました。
しっかりした介入研究で、のりはVB12の供給源だ、と言える日が早く来ますように