12月7日(金)、すなわちミーク・ミル(Meek Mill)のリリック紹介5日目です!
Meek Mill, Championships
Image via @MeekMill on Twitter
本日扱いたいのは、タイトル・トラックの「Championships」です。
Meek Mill - Championships
月曜の記事でも簡単に触れましたが、ミークは昨年11月から本年4月までの約5ヶ月間、収監されていました。彼が収監されることとなった理由は保護観察違反で、当初は2年から4年の懲役を言い渡されていました。ちなみに、最初に逮捕された理由は、銃やドラッグに関わる7つの罪だったそうです。
保護観察期間中、ミークはいくつかの違反を犯しました。具体的には、オピエイトの薬物検査で陽性反応が出たこと、薬物検査をすっぽかしたこと、許可なくフィラデルフィア郡を出たこと、薬物検査に水を提出したこと、マンハッタンでのバイクの危険運転(ウィリーだと聞きます)、セントルイス空港での口論などで、それらが昨年11月からの収監につながったようです。
正直、これだけ見ると(実刑判決が妥当かどうかは別にして)ミークにもまあ非があるようにも思えますが、実は彼の保護観察期間中、彼を罰するか否かの判断は、すべてジェニス・ブリンクリーという一人の判事に委ねられていたのだそうです。このブリンクリーという人の判決には不可解な点がいくつかあります。いくつか例を挙げると、
- 2009年にミークが保護観察に付されてから最初の2年間、オピエイトやマリファナの陽性反応が出ても違反を問わなかったにもかかわらず、2011年にいきなり違反とした
- 2015年、ドバイへの渡航を許可したにもかかわらず、その後、アトランタ、ニューヨーク、LA、マイアミへの渡航許可を突如として撤回した
- セントルイスでの告発は取り下げられ、ニューヨークでのそれも取り下げられようとしていたにもかかわらず、2-4年の実刑判決を下した
といったところです。特に、2-4年の実刑判決にあたっては、検察官も保護観察官も懲役の必要性が無いと判断していたなかでの「暴走」でした。
その背景には、ブリンクリー判事の個人的な恨みがあったと言われています。なんでも、彼女はミークに対し、Roc Nationを離れて友人のレーベルと契約するよう働きかけたり、ボーイズIIメン(Boyz II Men)の「On Bended Knee」をカヴァーし、そこに彼女へのシャウトアウトを入れるよう求めたりしたのだとか(ごめんなさい、笑うべきところじゃないんだけど、ちょっと面白い…笑)。さらに、保護観察中も、SNSや法廷での汚い言葉遣いを理由にマナー講座を受講させるという異例の指示を出していたそうです。
最終的に、フィラデルフィア地区判事長のラリー・クラズナーが州に働きかけたことで、ミークは保釈されることとなりました。
僕はこの記事で「ミークの判決は不当だった。フリー・ミーク・ミル万歳!」などと結論づけたいわけではありません。ただ、こういうニュースも表面的に読んでいるだけでは分からないことがたくさんあるなと感じた次第です。
前置きが長くなりましたが、上述の背景を踏まえ、本記事で取り上げたいのは以下の4行です。
Tryna smoke the pain away, they lock us up for smoking
Put 'em on probation, lock 'em up if you ain't perfect
Victim to the system like a rain drop in the ocean
They closin' all the schools and all the prisons gettin' open痛みを吸って忘れようとすると、それでぶち込まれる
保護観察になり、完璧じゃないと出戻り
海原に吸い込まれる雨粒のように、システムの犠牲に
学校は閉ざされ、刑務所が開かれる
長い保護観察と収監を経験した彼だからこその言葉ですね。警察の黒人への嫌がらせや暴力が日々ニュースになっていますが、「完璧じゃないと出戻り」というのも根っこの部分は同じなのだろうなと思います。だって、10年も保護観察が付いていたら、そりゃ1つや2つのヘマはしますよね。。
とにかくミーク、改めておかえり!
《参考》
Why Did Meek Mill Go to Prison? | Pitchfork
Philly DA's Office: Meek Mill should get a new trial
〜告知〜
2年前にリリースされたJ・コールのアルバム『4 Your Eyez Only』について、12/8(土)17:45から、Instagramライブで語ります。アカウントは @vegashokuda です。お時間のある方はぜひ!