ミーク・ミル(Meek Mill)が出所後初となるアルバム『Championships』をリリース!

 

 

Meek Mill, Championships

Image via @MeekMill on Twitter

 

 

こういう言い方は語弊があるかもしれないけれど、収監されていた経験が彼をアーティストとして成長させたように感じられる作品でした。

 

※彼が収監されていた経緯について、ここでは触れませんが、いろいろ調べてみてください。「悪いことしたから捕まったんでしょ」と言えばそれまでですが、もっと複雑な事情があります。

 

 

そんな『Championships』で一番話題になっているのが、自由の意味を問う「What's Free」に客演したジェイ・Z(JAY-Z)のリリックでしょうか。

 

これについてはホヴァ本人が久しぶりにツイートし、意味を説明していました。

 

《意訳》そのラインは明らかに、どんな違い(赤い帽子)があるにしても、俺をブラザーたちと敵みたいに扱わないでくれって意味だ。さぁ、ミークのアルバムを聴きな。ドレイクとミークが一緒に出てるよ。

 

ラッパー同士の対立を面白半分で煽るメディアが多いなか、このコメント! やっぱり、さすがジェイ・Zだなと思わされました。

 

 

 

 

ジェイのライン以外にも『Championships』には印象的なリリックがいくつもあったので、今週は平日毎日、1つずつ紹介していきたいと思います。

 

月曜の今日は、先述したジガの人気曲である「Dead Presidents」をサンプルした「Respect The Game」から。

 

 

Meek Mill - Respect The Game

 

 

この曲では、おそらくはミークの体験を基に、ストリートにおいて守らねばならない掟が語られています。同曲のフックでラップされているのは、「自分にはその資格があると思ってホーミーの金に頼るな」「金のためにヤるビッチは信用するな」「あんまり散財しないで貯金しろ」といったアドバイスです。

 

そうしたなかで、2ヴァース目の最後にはこんな4行が。

 

Student of the game, I'm just ahead of my class
I'm that nigga, but I never got my head up my ass
You doin' good, but I'm ready for bad
And you won't never catch me frontin' 'cause I'm used to bein' second to last

俺はゲームの生徒、ただクラスの先を行ってるだけ

俺は一人前だけど、大事なことを忘れたりしないぜ

お前はよくやってるけど、俺は悪い事態にも準備できてる

俺が嘘をつくと思うな、2位からビリになるのは慣れてるからな

 

2行目に出てくる"one's head up one's ass"という表現は、「(周囲の状況に)無頓着な、忘れっぽい」という意味のようです。「ゲーム(=ストリート・ライフ)の生徒」と自称し謙虚な姿勢を見せながら、その掟に忠実であることをアピールしています。

 

そして4行目が面白いんですが、「嘘をつく」という意味のスラング"front"が出てきたかと思えば、同語を「前の」という意味の形容詞として捉えた場合の対義語である"last"が出てきます。"second to last"は普通「最後から2番目の」という意味ですが、ここでは「2位からビリ」と訳しました。どういうことかというと、それだけミークは敗北や失敗を味わってきたということだと思うんですね。もしかしたら「最後から2番目の」という意味かもしれませんが、その場合も、ミークはそれだけ底辺すれすれを経験してきたということになります。

 

だから、その経験を忘れることなく、今も謙虚にゲームの掟を守っている、と。巧みなワードプレイを駆使しながら大事なことを言っている、いいリリックだなと感心しました。

 

 

それにしてもこの曲、「Dead Presidents」のサンプリングが最高に哀愁漂う感じで涙がちょちょぎれますね。。次回は明日、火曜日です。Peace!