ヨーガは単に肉体の運動、肉体に効果を生み出すためだけのものではなく、全人格的な開発方法と実践体系 | トウドウ (ヴェーダプラカーシャ)オフィシャル

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ヴェーダセンター代表、瞑想教師/ヨーガ哲学&アーユルヴェーダ講師、インド政府公認プロフェッショナルヨーガ・インストラクター、同プロフェッショナルヨガ検定試験官、産業カウンセラー、ヴェーダ詠唱家

 

今日は、ハタ・ヨーガやヨーガを専門とするニランジャン先生の貴重なお話を聞くことができました。

 

一般的には、ヨーガは肉体的な実践であり、肉体と関連したフィットネスであると考えられています。また実際に単なる肉体のアーサナ(ポーズ)の奇麗さや肉体美のための実践方法のみが突出して普及していることは事実です。

 

ただ、先生は、「単に肉体の運動、肉体に関係した効果を生み出すだけのものではない」ということを強調されていました。

 

ヨーガが一般的には、「肉体的なものに関連していると考えられていますが、それは大きな誤解です。ヨーガは全人格に関係しています。人格を構成するものは、チッタ(精神)です。チッタは人間の精神であり、感覚、思考、感情、精神性が含まれています」とおっしゃっていました。

 

 

 

サーンキャ哲学では、人間存在を24の原理で区分していますが、肉体の内面の原理(要素)は、そのうちの3つです。ブッディ(知性)またはマハト(偉大なるもの)、アマムカーラ(自我)、マナス(心または思考器官)です。

 

心には知覚という側面もあります。五感の情報を認識するのです。この三つの原理はアヴャクタ(非具象)の具象化した原理です。

 

アヴャクタが種だとすると、そこから芽が出て茎が伸び、枝が伸び、葉っぱや花が咲き、実がなるという具合に、知性や自我や心さらには肉体へと展開していきます。

 

ヨーガにはアーサナというポーズだけではなく、ヤマ(社会行動)やニヤマ(自己修練)、プラーナーヤーマ(呼吸)、心を扱うデャーナ(瞑想)など、トータルに人の能力を高める実践が含まれています。

 

ヤマの中心はアヒムサー(非暴力)です。ニヤマの最初はシャウチャ(清浄)です。それぞれ5つずつ実践項目がありますが、ヴィャーサはそれらすべてはアヒムサーのためにあると説かれています。

 

ですから、ヨーガというとき、実際には、肉体的実践だけではなく、感覚、思考、感情、知性、精神性というようにトータルに全人格を開発していくための知識と実践体系なのです。

 

実際的には、非暴力、自己精進、ポーズ、呼吸法、感覚の制御、注意の集中、瞑想、心の完全な静寂といった実践項目を含むのがヨーガなのです。

 

アーサナ(ポーズ)だけとってみても、古典的なヨーガ体系においては、単なる肉体運動ではありません。動作と呼吸を合わせる、意識を動作や特定の部位や呼吸に向けます。呼吸、動作、意識が一致してあるようにゆっくりと行います。ポーズをとっている際でさえも、ポーズや体や呼吸とともにあります。

 

テレビを見たりラジオを聴いたりしながらポーズをとっているならそれはヨーガのアーサナではありません。体を単に伸ばしたり動かしたりするだけなら単に肉体運動です。

 

アーサナは、呼吸と意識と動きが合わさったものです。ですから呼吸や意識や動きが相互に密接に関係せず、アーサナを実践していいたとしたらそれはアーサナ本来の結果は生まれないでしょう。

 

ゆっくりと、丁寧にアーサナを行うのが本来のアーサナです。それにより肉体だけではなく、神経系や精神にまで影響を生み出します。

 

同様に呼吸法も正しい実践により神経系や心に良い影響を生み出します。

 

10世紀ごろに確立されたハタ・ヨーガには、アーサナ以外に、呼吸法、クリヤー(浄化法)、バンダ、ムドラー、瞑想なども体系に含まれています。

 

トータルにヨーガを実践すると、瞑想はとても精妙で静かなものとなります。その結果サマーディを体験する機会も増えます。それが身体と心を超えた、より深い精神性の発達につながります。