ヨーガの究極のゴールは解脱や悟りを達成することですが、健康やウェルネス(快適な状態)を育むのにも効果的です。
世界保健機関(WHO)憲章では、「健康とはただ疾病や傷害がないだけでなく、肉体的、精神的、ならびに社会的に良好な状態(well-being)であること」と定義されています。
人間関係においては、ヤマの実践、肉体の健康にはアーサナやシャト・カルマ(クリヤー)など、エネルギーレベルではプラーナーヤーマやムドラー、精神レベルでは瞑想というように、ヨーガはトータルに健康を増進するシステムです。心身の効果的なデトックスの方法とも言えます。
人間はただの物理的存在ではなく宇宙の神羅万象と同様に本質的なエネルギーの具現化したものです。様々なパーツにより成り立つジーヴァートマー(人間)ですが、根本にはパラマートマー(至高の存在)があります。あるいはパラマートマーが個別の形をとったものがジーヴァートマーであるとも言えます。
ウパニシャド聖典では、人間の自己はパンチャ・コーシャ(5つの鞘)により覆われていると説きます。サーンキャ哲学では、森羅万象の、生命あるものも生命のないものも、3つのグナ、つまり、サットヴァ、タマス、ラジャス-で構成されているといいます。アーユルヴェーダでは、肉体は3つのドーシャ、ヴァータ、ピッタ、カパにより構成されているといいます。
ヨーガの実践により、粗大から微細なレベルまで、肉体の様々なレベルが浄化され、エネルギーが自由に流れ、活力が増し、健康が増進されます。それにより人は宇宙の流れと調和することができます。
病気がないというだけの健康から体、心、精神のみならず、真我の確立を含む良好な状態であることがより深い健康といえます。ウェルネスという言葉がありますが、これは、「健康な心身ならびに社会生活を得て、より積極的・創造的な健康を目指し、維持・発展させようとする生活行動をいう。病気の予防を前提として、食生活の改善や適度な運動などをも含めた総合的なとらえ方」(ブリタニカ百科事典)です。
ヨーガはまさにウェルネスの考えに合致します。またウェルネスにより、健康からウェルビーングへと、しいては究極的な解脱を得ることがヨーガのゴールといえます。