東京音大付属民族音楽研究所が開催する、公開講座として開催された、リトヴィク・サニャル氏のインド古典音楽ドルパド(ドゥルパド)声楽のレクチャーコンサートに行ってきました。
ドゥルパドは、インド最古の古典音楽です。そのドゥルパドの歴史的背景やその哲学、音楽的手法などのわかりやすいレクチャーとともに実際の声楽の素晴らしいパフォーマンスも聞くことができました。
インドでの評判を聞くと、氏はどちらかといえば学者としてインドでは有名であり、パフォーマーでは、グンデーチャ・ブラザーズが有名ということでした。
ドゥルパドともドルパダとも表記されますが、ヒンディーでは、dhrupadで、どちらかといえばドゥルパドの方が原音に近いと思います。サンスクリットではドゥルヴァ・パーダ(dhruva-paada)となります。
ドゥルヴァはリフレイン(reflain)、つまり繰り返すこと、パーダは詩節(hymn)を意味します。ドゥルヴァにはほかにも、「北極星、永続、不動」などの意味もあります。エンターテインメントではなく、平和や瞑想のフィーリングを生み出すもので、精神性の高い声楽です。
実際、以前に夏の東京音楽祭で行われたグンデーチャ・ブラザーズの公演では、静寂とともに永遠性や宇宙的な無限の広がりと躍動を体感することができ、それドゥルパドの以来とりこになりました。2008年にはラーマカント・グンデーチャ師より数週間にわたり個人指導を受けることができました。
ドゥルパドの起源は紀元前900年ごろ成立したサーマヴェーダにあります。サーマヴェーダは自然を讃えるリグヴェーダに由来する聖句(マントラ)を音楽的に詠唱するものです。
サニャル氏によると、ドゥルパドは、特定のラーガ(音階旋法)にしたがって、即興で歌われます。また、アーラープ、ジョール、ジャーラーという3つのパートから構成されています。中でも、私は特に瞑想的なアーラープが好きです。
ドゥルパドは音のヨーガともいえます。音(発声)にフォーカスした継続的練習は精神的な高揚やチャクラ全体を活性化します。音楽に関心のあるかたは、機会があれば是非コンサートを聞き、またトレーニングを受けてみてください。