数年前にシリコンバレーに住んで、現地のベンチャー企業にも
投資した経験がある。

昨年、お客さんと一緒に久しぶりにシリコンバレーに行く機会が
あった。
本音ではカリフォルニアに永住したいけど、少なくとも現地の
生の情報収集とプライベートでの気分転換に1年に一度は行きたい
と思っている。何よりも気候や環境がすばらしい!

そんな中、投資して数年前にIPOした社長から連絡があり、一緒に
視察に行ってみたいとのこと。今年もシリコンバレーに訪問でき
そう。

日本の若いベンチャー企業、新興の上場会社も米国にドンドン進出
している。

日本だけをマーケットに商売するのも良いが、当たり前だがインタ
ーネットには国境はない。日本の昔のメーカーも海外にチャレンジ
して成功したが、今はもっと挑戦し易い環境だと思う。

もちろん、軌道に乗せたり、成功させるのは簡単ではないが、若い
起業家の人にはどしどしチャレンジして貰いたいと思う。

最新のシリコンバレーの息吹を堪能したい。今年滞在していた時に
投資したベンチャー企業の1社がIPOする予定だ。
今年は仕込みの年ということで、4月~6月にかけて3社の投資を
実行した。

種類株は以前から日本でも使うことは可能だったけど、資金需要が
高い技術系ベンチャーやバイオベンチャー以外はなかなか浸透して
いなかったと思う。

ところが、最近では種類株もベンチャー企業や中小企業側でも受け
入れるようになってきた。

恐らく、ベンチャー企業にとっては、この数年VC自体がとても厳し
いので資金調達に苦労していたことも反映してか、発行会社つまり
ベンチャー企業側も受け入れているのだと思う。

ちなみに、投資した2社は優先株、1社は新株予約権付社債(CB)
だった。

当方は運用しているファンドの性質上やこれまでの失敗経験から
極力、種類株かCBで投資するようにしているし、最初に投資候補先
に会った時からその条件で交渉している。

米国や海外では優先株やCBでの投資は当たり前で、日本の普通株で
のVC投資がグローバルスタンダードと乖離していたのだ。

それは、日本は間接金融社会つまり銀行が創業時から融資(昔の
国民金融公庫で今の日本政策金融公庫)し、事業がある程度軌道
に乗ると(事業開始3年程度)今度は信金、地銀、都銀(メガバンク)
が次々と融資するので、VCの出番はなかったのだ。

日本のベンチャー企業は創業しても資金調達が銀行から可能なので
上場する必要性も感じないし、株主からのプレッシャーもない世界
だったのだ。

優先株が普通に使えるとVCもリスクヘッジが普通株よりもし易くな
るので、どんどん広がって欲しいところ。ただ、投資のリスクは普通
株と何ら変わらないのは言うまでもないが。。。

取締役会や社長で叱り続けるのは、それはそれでとても
疲れる。でも、良い会社、利益の出る会社、IPOできる
会社になって貰いたいから日々そうしている。

社外取締役に就いている投資先で、それなりの業歴で
オーナー気質の会社の場合は、過去オーナーのやりたい
放題で運営していたので、企業の取締役の役割やガンバ
ナンス体制構築まで教えていくのは大変だ。

取締役会で審議事項を決議する時、それまではオーナー
がやると言ったら、それに反対をする取締役はほぼ皆無
である。

もしオーナーの独断に反対する役員がいる会社であれば、
たぶんその会社は健全な体質で外部資本を入れる必要性
は低い会社であろう。

VCの主な仕事はIPOまでのプロデューサーという認識が
強いが、最近ではその中でもしっかりとした会社を作る
もしくは再構築するための教育係という側面も強いと感
じている。

先日、7年前から取締役会に参加というか、社長と二人で
取締役会をスタートした企業がいよいよIPOも近くなり
外部のオブザーバー参加はご遠慮頂きたいという段階に
なった。

寂しさもあるが、卒業ということで嬉しい限り。

この会社は、投資して直ぐに社長の戦略修正を迫り何とか
資金繰りが回り、資金に余裕が出てきた半年後にとある投
資の件で大喧嘩、、、でも、今では毎年順調に業績拡大し、
投資したものもしっかりと有効活用している。

投資先の社長とは一度は強く言い合うことはあるが、全てが
こちらの主張が正しいということではないが、社内外で一番
厳しいことを言える立場のVCの責任は思い。

でも、IPOした時にそれが報われるのだ。