Q. 隣家敷地内に立ち入らないと工事ができません。

隣家にお願いをしたところ、立ち入ることの承諾料の支払いを求められました。

この承諾料は支払わなければならないのでしょうか?




A. 民法209条1項は、土地の所有者は境界で障壁を築造するために必要な範囲内で

隣地の使用を請求することが出来ると規定しています。

 この「使用」には、隣地への立ち入りだけでなく、足場を組んだり材料を一時的に置いたりすることも含まれます。

また、一時的な隣地の掘削といった形状を変更する行為についても、認められると考えられています。

 この隣地使用請求権は、土地所有者が隣人に対し、隣地の使用を請求することができるという

請求権であって、隣人の承諾を得ることができない場合には、裁判所に訴えて、

承諾に代わる判決(民法415条2項但書)を求めなければならないとするのが判例・通説です。

 したがって、実際には、まず隣地所有者等に対して隣地を使用する旨の事前の通知を行い、

隣地所有者が使用を拒んだ場合は、承諾を求め訴訟を提起することとなります。

 法律上は承諾料の支払い義務はありませんが、早期に工事を進めるため、

少額の金額を支払い、承諾をしてもらうことは実務上は存在します。

Q. 築10年以上経過した建物に重大な構造欠陥が発見されました。

建物を建築した住宅会社に対して瑕疵の補修費用を請求できますか?



A. 民法724条は「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者またはその法定代理人が

損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。

不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする」と規定しています。

 この規定により、当該瑕疵が不法行為に該当すれば、最長20年間、責任追及が可能となります。

 最高裁平成19年7月6日判決は、不法行為責任が認められる場合について、

「建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり、

それにより居住者等の生命、身体又は財産が侵害された場合には、設計・施工者等は、

不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として

当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り、

これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負うというべきである。」

と判示していますので、建物の基本的安全性を損なう瑕疵については、

瑕疵担保責任期間が経過していても、不法行為の時効到来までは

補修費用を住宅会社に負担することを求めていくことが可能です。


Q. 契約を締結した住宅会社が、契約後、全く打合せをしようとせず、放置されています。

このような住宅会社とは契約を解除したいのですが、解除した場合、

違約金を支払わなければならないのでしょうか?




A. 施主が建築業者との間で自宅建物の新築の工事請負契約を締結したが、

建築業者が施主との打合せや面会の要求に応じなかったため、契約を解除し支払い済みの請負代金について

不当利得として返還請求をしたという事案にて、東京高裁平成11年6月16日判決は、

「確かに、建物の建築請負契約においては、建物を建築するという目的を達成するため、注文者と請負人が、

建築確認、工事内容、工事の着工、工事の施工等に関し、工事の着工前に十分に意見を交換し合うことが

必要であることは明らかであるから、右の目的を達成するのに必要不可欠な打合せを

行わなければならないにもかかわらず、請負人が正当な理由なくして、

注文者からの打合せ又は面会の要求に応じようとせず、それによって信頼関係が破壊されたと認められる場合には、

注文者において請負契約を解除することができると解するのが相当である。」と判示しています。

従って、施主からの要望にもかかわらず、打合せを拒絶し、信頼関係が破壊されたというべき事態に至った場合には、

施主は債務不履行に基づく契約解除ができますので、この場合には住宅会社に違約金を支払う必要はありません。

但し、住宅会社に債務不履行が認められない場合には、注文者による解除は、

施主都合解除(民法641条)となり、施主は住宅会社に生じた損害を賠償しなければなりません。