淀川長治っていう眉毛がとても長いおじいさんがやってる日曜洋画劇場っていう番組が、週末の唯一の楽しみだった。エンディングのさよならさよならさよならは、明日への活力を与えてくれた。顎のしゃくれ具合が、ちょっと婆ちゃんに似ていたのも可愛さに拍車をかけていた。
当時、テレビで流れる輸入映画は、すべて日本語吹き替えの為、アーノルドシュワルツェネッガーやジルベスタースタローンや、マイケルJフォックスも、日本語を話してた。
英語に興味を持ち始めた小3の頃、英語をちゃんと理解できれば、外人の言葉が、耳に入ってくる段階で、自動的に日本語に変換されると思ってた。
けど、小4くらいのときに、地元の小学校にニュージーランドからの留学生が訪れて、本気英語を使っていて、焦った。映画と違って、現実の外人の英語は日本語に吹き変わりそうもなかった。ぎゅって目を瞑ってみても、英語は英語のままだった。
名前はジムだったかな。彼は、容赦なしに俺に英語を語りかけてくる。まったく何言ってんのか分からなかったけど、とりあえずヘラヘラしながら、yeahとか、カモーンとか、言っておいたけど、情けなさ半端なかったし、世界の広さを知った。
街には唯一の英会話教室があった。英会話チェーンのECC。テレビCMでも良くやってたし、間違いないと思った。そして、俺と兄貴はそこに通い始めた。ただ、なぜか、教室はプレハブだった。
入会後、俺の名前はビルになった。兄貴の名前はウィリーになった。俺は、マイケルJフォックス主演の『バックトゥーザフューチャー』の悪役のビフが好きだった。
でも、さすがに、ビフをそのまま使うのもあれかなって思って、ビルにしてもらった。兄貴は『グーニーズ』の海賊のウィリーが好きだったので、ウィリーにしてもらった。
ECCでの英語学習は色んな意味で楽しかった。ある秋、岡山に合宿に行ったことがあった。岡山合宿のランチはフレンチだった。俺らにとってそれは初めてのフレンチだった。
ただ、なぜかそのフレンチのメインディッシュはうな重だった。「英会話教室の合宿のフレンチがなんでうな重なんや?なんで和なんや?おかしくないか?」って、兄貴は俺の耳元でコソコソとささやく。ただ、うな重自体はめっちゃ美味かった。
そろそろ眠いんでガリガリ君食べて寝ます。
※このブログはあなたにとって脳卒中の危険性を高めない。写真はオムライス。
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