実力行使でございます-アジア流血巡礼紀行- -3ページ目

生きて戻ってジョグジャカルタ。

ここはジョグジャカルタ。つまりは戻ってきたのでございます。

どこへ行っていたか、でございますか?

前回のローマ字更新をご覧になれば多少お分かりかと思いますが、わたくしは日本人バックパッカーが殆ど赴かないバリ・ロンボク以東、ヌサ・トゥンガラ諸島を目指しておりました。

実は今回の旅の目的は、インドネシアで唯一カトリック教徒が大半を占める島・フローレス島へ巡礼に行くことでありました。

しかしジャワ島からフローレス島までの道のりは決して短くはございません。何しろバリ島、ロンボク島、スンバワ島と経由を繰り返さなくてはならないのでございますから。

もっともこうして書くだけなら簡単なのでございますが、いざ行ってみると様々な困難がわたくしの身に襲いました。命の危機にも数度遭ったほどでございます。それらを乗り越えて何とか目的を達成し、しかもこうして生きていることを神に感謝しなければなりません。

ということでございまして、わたくしの歩んだ巡礼の道のりは「フローレス島巡礼」というテーマで順次アップしていきます。


今日のジョグジャカルタの状況をお話致しましょう。

この街はいつもと変わりなく、至って平和でございます。

ムラピ山噴火の影響で普段ならせわしなく飛んでいる旅客機の姿は見当たりませんが、代わりにインドネシア軍のC-130がたまにやって来るので寂しい思いをすることはありません。

そして昨日はイスラムの犠牲祭が行われておりました。これは感謝祭のようなイベントでございまして、広場に牛と山羊を集めて神に感謝しながらそれを肉にするというものでございます。


神々の足跡-アジア宗教研究紀行-

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「なんて残酷な!」と思ってはいけません。

これは神聖な儀式なのでございますから。


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牛もこうしてその場で解体します。日本では絶対に考えられない風習でございます。

しかしこのような儀式を見てわたくしが感じたのは、我が祖国日本の国民は果たしてどのくらいの人が家畜の屠殺を見たことがあるかということでございます。

日本人はたいていの肉を食べます。牛、豚、鶏、鴨、鯨、猪、馬、鹿、山羊…。しかしこれらの肉がどこから来ているのか、ちゃんと知っている人は少ないように思います。

かつて日本人は畜産業者を差別していました。いえ、わたくしに言わせれば今も差別が残っております。「米を作ってくれたお百姓さんに感謝しましょう」とは言いますが、「家畜を潰して肉にしてくれた業者さんに感謝しましょう」とは言わないからです。なぜでしょう?吉野家の牛丼がしばらく食べられなくなった程度で発狂する国民が、こういう屠殺を見たことがないというのは何ともおかしな話でございます。


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儀式の初めにコーランを朗読する女の子。小さな子供も当然、↑のシーンを目の当たりにします。そしてそれを気持ち悪がる子はおりません。それどころか早く精肉ができないかと待ちくたびれていたりもします。

こうした感性を持つ人達が近い未来、労働目的で日本にやって来た時、我々は彼らと上手に付き合っていかなければなりません。

年に一度の犠牲祭を楽しみにしている人と、普段から肉を食べているのに屠殺を気味悪がる人。どちらが整合性のあるアイデンティティーを持ち、しかも国際社会に対してより強い発言力を身に着けているか、一目瞭然でございましょう。

日本人はそろそろ、穢れを忌み嫌うワガママな平安貴族から脱皮しなければなりません。


昨日は祖国の明日を考えさせられた一日でございました。

ro-maji de situreisimasu.

damian de gozaimasu.watakusi ha ima jawa yorimo harukahigasi ni hanareta flores island ni orimasu.doumo bali yori higasiniha nihongo no pasokon ga gozaimasen.hisabisa no kousin ha konoyouna yomizurai bunsyou de oyurusikudasai.
kyoumade no issyukann no dekigoto ha mata blog no hiniti wo awaserukatati de kousinnsiteikimasu.

sikasi konoyouna ro-maji no bunsyou ha marude spain go wo kaiteiruyou de gozaimasuna.kaiteiru hou mo sugoku mendou nanodesu.flores niha nihongo no pasokon ha nainodesyouka?

本日のジョグジャカルタ

わたくしが目覚めると、大変なことになっていました。
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昨夜の再噴火でこのようになってしまいました。自然の力というのは驚くべきものでございます。


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街が灰色に染まってしまいました。そして車道ではユニセフのジープ、空ではインドネシア軍のC-130が慌しくジョグジャを駆け巡っていました。


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地元の人々は清掃に大忙しでございました。ちなみに中央のホウキを持った男性は、わたしがお世話になっている宿の主人でございます。

そういうわけでございますから、ボロブドゥールにも宣言していたムラピの麓にも足を運ぶことはできませんでした。ムラピ山が噴火したら最後、ジョグジャ周辺の観光は不可能になってしまいます。ああ……(泣)。

その代わりと申しては何でございますが、本日は少し遠出をして東の都市ソロへ行き、そこからさらに東へ離れたスクー寺院という所まで出向いてまいりました。


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このような見晴らしのいい山の上に、


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こういう神秘的な石造りのお寺があります。

ここはカテゴリー分けすればヒンドゥー寺院ということになりましょうが、ジャワ中部土着の精霊信仰が融合されている不思議な建造物でございます。


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ジャワでは珍しいピラミッド形の設計。ヒンドゥー寺院でこのような形状のものが、他にあったでしょうか? わたくしの乏しい知識の中には存在しておりません……。
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ユニークな彫刻でございます。東南アジアの石造寺院をいろいろ観察してまいりましたが、こうしたものに巡り合ったのは初めてでございます。
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極めつけはこの像! 首から上はありませんが、その右手に膨張した男の象徴がしっかりと握られております。

いえ、笑ってはいけません。ヒンドゥーや日本神道といった多神教では、しばしば性器や性行為が神聖なものと見なされます。現に日本にも、性器を象った彫刻をイコンとして祭る神社が存在します。


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ソロ周辺にはアミニズム(精霊信仰)の信者が多数おります。彼らの着ている白い服は、寺院参拝のための正装でございます。

ジャワの田舎には、このようなミステリアスな遺跡がまだまだございます。本当は全て巡ってみたいのですが、わたくしに与えられた時間は無限ではございません。

逆に言えば、それだけジャワ島は魅力に満ち溢れているということでございましょうか?