ヴァルシュトレイの世界って!!!? | スタッフブログ

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ヴァルシュトレイの開発日記

 数か月の多忙による沈黙を破り、再びこのブログにて拙筆を走らせている今日この頃、次はどんな話題が良いか、なんのゲームについて語ってみようか、などと思うたび、平坦ならざるわが人生の往日を振り返ってみたりするのですけども、いやあ、難しいものですね、体験や記憶をさらっと面白く書くのって。自分、これまでゲームプレイと制作一筋ですからね、決してネタがないわけじゃないのです。ネタがないとかではないのですけども、なんか書いてると、一から十まで説明しないといけない気になってやたらに長くなる。前回は自分のタイトルだから短めでいいやと思いつつ4000文字オーバー。さらにその前は8000文字以上と、実に原稿用紙20枚以上! にもなっちゃってます。自分、クドいんちゃう? これ、構想何日かで書くのにだって何時間かくらいはかかるし、なによりこう長くちゃ読むのだって疲れますよね。言いたいことはわかるが節度を持て! ……と最近、同僚からも怒られちゃいまして、まあそれもそうだよな……などと反省しているのはもちろん、今後はもっと気軽に書いてみようなどと思っている次第です。拙文などと謙遜してみても当ブログだって一応、広報の一環ですからね、ちゃんとしたいワケです。ちゃんとしたいワケなのだけども、こうして早速、冗長になって
ごめんなさい!
いやーホント、ブログって難しいもんですね!
 
 なんてことはどうでもいい…………
……マジでどうでもいいんだ!
というわけで表題の件。今回はヴァルシュトレイの世界について少し
お話ししてみようかと思うのです。
 
 もうご存知の通り、ヴァルシュトレイはSFです。舞台は遥か未来の地球。西暦2903年、人類は謎の敵軍勢である「機械構造体」による侵略の危機に瀕している……といった冒頭からお話は始まります。彼らは宇宙の果てにある巨大なからやってくる。地球にとって災厄の元凶でしかないこの渦のある宙域の名前が
「ヴァルシュトレイ」であると、そういうわけなのです。ちなみに「狂ひょう」とは荒れ狂う嵐の意で、この渦のことを指しますね。
 もちろん人間だってやられてばかりじゃありません。未来の地球は科学力もずっと進歩しており、敵軍勢に対抗しうる武力だってちゃーんと持ち合わせている。戦いにおいてはむしろいつだって攻勢ですし、ちょっとやそっとじゃやられないほどには精強です。かつてない宇宙戦争の脅威に瀕していながら、その戦火の届かぬ平和な地上がいつでも戦争ムードで高揚しているのも無理からぬことでしょう。でもですよ?この戦争、いつまで続くの? やっつけてもやっつけても機械構造体の勢いは留まることなく、人類はかれこれ400年もの間、ずっと戦っているのです。きりがないとはかくやあらん、このままでいいはずがありません。だからこそ人類は、この戦争の元であるヴァルシュトレイの大渦へ行かねばならない。機械構造体とは何なのか、なぜ地球を攻撃するのか、そしてこの渦の正体とはなにか。行ってそれらすべてを確かめねばなりません。そのために選ばれたのが宇宙軍の精鋭である四人の戦闘機乗り。彼女たちが最新鋭の戦闘機に乗り込んで宇宙に飛び立つところから、ヴァルシュトレイの物語は始まります。

 とまあ、わりとオーソドックスなバックボーンのもと、世界設定SF考証などについてはけっこうかっちりやっていたりします。ざっくりと言うと、このころの世界は「連邦制」による統治が進んでおり、地球全体が「エイレーネ連邦」という最上位連邦政府の庇護下にあります。地球圏外からの敵と戦うために人類の全員が手を取り合っていると、そういった状況ですね。かといって国の概念がないわけではなく、各国家にもそれぞれ中央政府が存在し、各々の制定する実定法規範などの法律によって統治されています。そしてその類型はさまざまであり、主には社会経済や宗教的な観点においては多くの政治的イデオロギーとて包含されていることでしょう。連邦共和制国家のような概念でありながら、各国の間には現在同様、様々な権謀術数が飛び交っているのかもしれません。
 さりとて脅威の本質が敵の機械構造体による侵略であるのはすべての国家に共通する認識であり、各々庶幾するところがこの戦争の勝利と人類の輝かしい未来であることに変わりがないため、連邦制が形骸化してしまうような事態にはならないのです。グローバルコモンズ、大事ですよね。この先僕らも宇宙基本法の一つや二つは知っとかないといけないかもしれませんよ! などと言っては余計にわかりづらいですけどね、イメージ的にはアラクニドと戦う、ハインラインの宇宙の戦士的な世界が地球全体規模に蔓延している雰囲気で、テキストには戦争国家批判へのアイロニーというかけだるさというか、そんなようなやるせなさも組み込んでみたつもりなんですけど、まあ、そのへんは本編とその続きで確認してもらえたらなあと……。
 
 SF考証についても、ちょっとは考えてあります。なにしろシンギュラリティなどとっくのとうにケツの後ろへ追いやった遥か未来ですからね、このころの人はきっと、知性モラリティ今よりもずっと高いでしょう。地上が連邦政府によって統一されている以上、グローバルコモンズを構成する宇宙では各国家戦略よりも公共政策のほうが優先されるハズです。だから協力体制も完璧で科学の進歩も早い! きっと。
資源の分野はとっくに火星軌道の向こうにあるアステロイドベルトが本土場になっているし、地球圏のエネルギーはダイソンソーラーシステムによってほぼすべてが賄われている。なにひとつ不自由などないでしょう。ところでダイソンソーラーというのは、太陽エネルギーを効率よく
使うために太陽そのものをソーラーシステムで囲んじゃおう! という、SFではおなじみ、もしくはちょい古典的なネタですけども、この世界ではそこまで大規模でなくとも、地球直径ほどに展開する無数の鏡の集合体を太陽周囲にたくさん配置してネットワークを形成し、そうして集光した太陽光レーザーを励起して莫大なエネルギーを製造している、ということになっています。その名も太陽光レーザー励起システムというやつですが、この超高エネルギー光線の向きを変えるだけで、地球だろうが海王星だろうが準惑星イクシオンだろうが、どこにでも効率よくエネルギー供給ができてしまうワケですね。そのうえ源泉が太陽ですからもう、ほぼ無限なんです。実現したらすごいでしょうね。
 しかも、この太陽光レーザー励起システムは、行きたい方向に向ければ航路にもなります。実質、光のエネルギーラインですので、それに沿って飛ぶ限り、宇宙船への断続的なエネルギー供給が可能なわけです。宇宙には本当に物質がないですから、乱反射もなければ光線の減衰もないはず。(ほんとか?)光の届く限り、きっとどこまでも行けることでしょう。ところでこいつをどっかの低温中性雲に照射し続けたら、星が生まれるかも
 でも宇宙における推進は問題ですね。無限の広さ=速くないといけない、ですから。こういう問題に直面したとき、しばしば原子力推進であるとか、バサード・ラムジェットとか出てきたりしますけども、それって必要速度へのソリューションにはあんまり関係ないような気がしてます。あるいは対消滅エンジンがどうとか縮退物質がどうのとかも一緒で、どっちかっつったらエネルギー供給問題へのアプローチなんじゃないかなー……とか思いつつ、さりとてこの世界の推進技術も、そんな原理が礎となっています。恒星間における超高速航行を実現するための超高出力には厖大なエネルギーが必要であろうからして、連関性はもちろんあるのです! しかしながら宇宙的な距離を人間的な時間で移動するためには、もはや速度的な問題ではないところも多々出てきます。というか、ほぼ速度的な問題ではありません。だってヴァルシュトレイ宙域の付近にあるリギル・ケンタウリに行くのでさえ、仮に光速で臨んでも4.3年はかかるわけで現場に到着するころには美穂さん23歳になっちゃいますからね、そこはワープでしょう! それしかありません! 原理はまあ、アルクビエレ・ドライブのような感じでしょう。自機周辺に、あらゆる物理法則や定数の通用しない「サブスペース」を展開し、後方(推進方向に対して)空間において微小のビッグバンを起こして自機を光速以上の速度でぶっ飛ばすという。なのでたぶん、できても一回のワープでは1~10光年くらいが限界なのではないでしょうか。ワームホール的解釈であるヤマト的ワープというよりも、スタートレックのワープドライブよりですね! まあ、SFですので、あんま細かく言及するのもヤボってことで。

 さてさて相変わらず長くなってきましたね。これ以上はまたヤツらに怒られそうなのでこのへんにしておきたいと思いますが、決してゲームの表に出てこないこれら設定も、いつかどこかでなんらかの形でまとめられたらなあとも思っています。ゲームシナリオに深味と真実味をあたえる大事な骨子ですからね、さらにはこの続きだってあるのです。そんなクソ長い退屈な話なんざ聞きたかねえよ! なぁんておっしゃらず、またいつかお話しさせてくださいよ~。