お父さんの「ここが凄い!」を教えて! | PARAISO

PARAISO

リアルとバーチャルの交錯する覚え書きです

みんなの回答を見る

コロナ自粛でおこもり生活をしていて、昔観た映画の諸評を見たりDVDを取り寄せたりしている

 


スタインベックの「赤い仔馬」の映画の評を見ていて、
父の机に古いリーダースダイジェストを見つけた時のことを思い出した


>鉄条網で回った!あの子は馬鹿じゃなかったんだ!!

と少年が叫ぶシーンが忘れられない

 

何をやっても兄と比較されて馬鹿だといわれる少年は、牧場の慣習通り10歳で自分の馬をもらえることを喜ぶが
彼が選んだ馬は父親を失望させる
>選ぶ馬まで馬鹿だ
と父親に言わしめた仔馬は人を乗せることを受け付けない真っ赤な暴れ馬で鞍をつけることを拒んだ

 

学校から帰って、牧場の大男たちが大勢で囲んで赤い仔馬に鞍をつけようとするのを見た子供は泣いて「止めて」と頼むが聞いてもらえるはずもなく
仔馬は高々と柵を跳び越えて逃げてしまう
二度目は柵の上に鉄条網を巡らせさらに高くした柵に沿って走る仔馬を見て少年は叫ぶ
>鉄条網で回った!あの子は馬鹿じゃなかったんだ!

 

愛する者が手に余る闇の面を持っているかもしれないと知った時、人はどうするのだろう?

 

 

 

この年になって思うのだが、この小説は志賀直哉の「清兵衛とひょうたん」に似ている
ただ日本人とアメリカ人の違いというか、ダイナミックさが違い過ぎて子供の時は連想さえしなかった
ひたすらスタインベックは泣けたし、白樺派は薄味だった

 

 

 


父が若い頃これを愛読していたと思うと、

それまで納得できなかった父の言動が少しだけ氷解したような気がした