創られていくことの確かさ | セルロイド保管庫

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柔らかな盾の中で

ぼんやりと、氷室京介さんの「CALLING」という曲を聞いてたら、

自分も含めた周りが破壊されて、切り開かれていくように感じた。

 

でもけっして激しくはなく、なでるように優しくこじ開けられて、

その隙間に入り込んできた光に支えてもらえるような力強さ。

 

それは、昔やってた自傷の感覚にも、少し似ていた。

 

皮膚と肉の裂け目をじっと見つめていると、

そこから、柔らかく熱く溢れてくるいろんなものがあって、

それに絡め取られている間は、自分がブレずにいられた。

 

 

■「MoMA」

 Art and artists > Barnett Newman

 バーネット・ニューマン 「ワンメント I」(1948)

  https://www.moma.org/collection/works/79601

 

 

速水御舟 「炎舞」(1925)

 

 

 

氷室さんの声も、バーネット・ニューマンのジップも、御舟さんの炎も、(自傷も、)

現れる裂け目は一見苛烈であるにも関わらず、

それが生成の途中であるがゆえに、柔らかい。

 

切り裂かれていく世界と、新たに生まれていく世界が、同時に堅硬に築かれていく。

両者を統合しながら展開していく力強さは、蔦が這っていくようにして、そこら中に拡がっていく。

 

その蔦になぞられながら、私は体の輪郭を取り戻していく。

 

出来上がったものに、実体があるんじゃない。

現れては消え、消えては現れる体感を繋げて、在ることを認識できるのだと思う。