
名古屋地方裁判所
平成27年2月20日(金)
2号法廷
強盗、強盗殺人、強盗殺人未遂、窃盗
事件の内容は→愛知県蟹江町母子3人殺傷事件
被告人 男性 林振華(りん・しんか)31歳
裁判長 松田俊哉裁判長
右陪審(女性50代)
左陪審(男性30代)
検察官1(男性40代)
検察官2(男性30代)
弁護人1(男性50代)
弁護人2(女性40代)
弁護人3(男性30代)
裁判員
A(男性30代)
B(男性60代)
C(男性40代)
D(男性?代)
E(女性40代)
F(男性?代)
刑事裁判傍聴ノンフィクションライターのacceleです。
タイトルでお察しの通り、蟹江町母子3人殺傷事件の判決公判傍聴へ名古屋地裁へ約2年ぶりに訪れました。
これまで傍聴した公判とは、比較にならない程マスコミでも報道されている事件です。
(実名報道されており、ブログでも差支えないと判断して全て実名です。)
当然のように、傍聴券は抽選になります。
私自身、抽選の傍聴券へ並ぶのも初めての経験でした。
何人くらい集まるか分からない、この判決公判を傍聴へ行くかどうかは前日まで迷っていました。
2月20日この日、狙っていた訳ではないのですが有給休暇を入れていましたから、後は名古屋地裁まで行くか、行かないかです。
東海3県初裁判員裁判で死刑の求刑を出され、死刑判決濃厚な公判の傍聴券抽選に並んで外れても当たり前と思い向かいました。
そして結果を先に言いますと、
『当たり引きました』
いつもは、くじ運の悪い私ですが、この日は何かが降りてきたようです。
豊橋から来た私に、ご褒美をいただいた気がしました。
引きましたと書きましたが、文字道理自分でくじを引くからです。
東京地裁では、パソコンで抽選すると聞いた事あるのですが名古屋地裁の抽選初体験ですから、どのように抽選するか全くわからず列に並んでいたのです。
そして、抽選方法は菜箸?(料理に使用する長い箸)その物を、係の方が両手で輪っかを作り30本くらいの束を持っており、その中から1本引きます。
箸の先っぽに赤色が付いていたら、当たりという仕組みでした。(今時、意外とアナログですね)
そうなんです!私が引いた箸の先っぽには赤色の印が付いていたのです!
係の方から、「当たりです」と告げられて傍聴券をいただき、反射的にガッツポーズしたと思います。
この日、一般傍聴券交付枚数は66枚程度と裁判所のHPに記載されていましたが、おそらく200人以上は並んでいましたから、倍率3倍以上と思われます。
それから抽選場所は裁判所西側スロープ付近にあるのですが、そこから直接2号法廷に入る入口があり、傍聴券を握りしめ法廷に入りました。
入口では、「傍聴券がないと入れません」と係員が声をかける、先に傍聴席に入った方数名が出てきたり交差するバタバタした中、傍聴券を印籠のように係員へ見せつけて入りました。
法廷は今まで入った中でも断トツで広く、そしてゴージャスです。
裁判官の後ろの壁は、大理石造り(本当に大理石かは不明)と、天井も高くお~凄いな~が第一印象です。
傍聴席には、記者席や関係者の席が設けられています。
最前列には法廷画家さんや記者の腕章付けた方が座っており、緊張する公判を感じられました。
おそらく半数以上が、報道関係の方だと思われます。(私のような偽物ライターではなく、本物のライターさんに囲まれていました)
本題に入ります。
被告人が入廷します、服装は赤いスエットに黒いジャンパー姿です。
身長は高く180㎝くらい、あるように見えました。
長髪で顔が隠れており、法廷も広い事もあり遠く被告人の表情は全く分かりませんでした。
イラストで描いたように、後ろから見た被告人は右に頭を傾けほとんど動かずのままでした。
そして、判決が言い渡されます。
裁判長「主文を言い渡す前に、量刑に至った理由を先に述べます」
これを聴いた記者さん数人が、ダッシュで法廷から出て行きます。(私の隣に座った記者さんも飛び出し、3分後にはまた戻ってきました)
そうです、主文を後回しするという事は、死刑判決を意味するからです。
私もこの裁判長のセリフを聴いた時には、唾をのみ込みました。
事件の概要をザックリ説明します。(判決しか傍聴していませんから、報道機関からの情報が主な内容です。)
中華人民共和国出身の林振華被告人は、2003年に私費留学のため来日した。
埼玉県内の専門学校へ行き、2006年4月三重大学人文学部へ入学した。
被告人は別の窃盗事件で、検察官から20万円の罰金刑を受ける事になると言われ、金がない被告人はこのままでは罰金が払えず、収監されると大学も辞めさせられる。両親の期待を裏切り全てが台無しになる考えます。
2009年5月1日、被告人は路上強盗を計画し、モンキーレンチやクラフトナイフを準備して住んでいた津市内から、名古屋市内へ電車で行きます。
しかし、都会の雑路では犯行は難しいと判断して近鉄電車で三重方向へ向かい、最初に停車した蟹江駅に降り立ちます。
蟹江町内で路上強盗のため周りを物色中に、1人の女性をターゲットにしたが通行人などがいて、襲う機会を逃した。
さらに町内を物色中に、山田喜保子さん(当時57才)宅に猫が入って行くのが見えて、入口ドアの隙間から家に入るのが分かり侵入しょうと考えた。
そして、午後9時過ぎに家の中に入り、明かりが点いているリビング横の和室で金目のものを物色中に喜保子さんに見つかり、部屋から出て行くように喜保子さんから言われているが、金を手に入れるためには殺しても構わないと考えて、持ってきたモンキーレンチで喜保子さんの頭を複数回殴りつけて死亡させた。
午後9時45分ごろ、この家の次男雅樹さん(当時26才)が勤め先の洋菓子店から帰宅してくる、被告人は家にあった包丁を使い、雅樹さんの背中を包丁の刃が反り曲がるほど強く数回刺し殺した。
司法解剖でわかった事は、死因は左肺動脈切断による出血ショック。
他にも顔を殴打された跡や、首には爪が食い込むほど強く絞められた跡があり、激しく争った事が分かっています。
2人を殺害後も、金品を手に入れていない被告人は家の中を物色していたが2日午前2時半ごろ名古屋地内で友人たちと飲食していた3男、勲さん(当時24才)がタクシーを使って帰宅してきました。
被告人は玄関で勲さんへ襲いかかり、着ていた上着をまくり上げて別の衣服を頭から被せて首の周りを粘着テープで固定した。
襲う際には、クラフトナイフを使い、勲さんの首の後ろに深さ5㎝の刺し傷や肩にも4か所ほど刺し傷を受けています。
被告人から金を要求されるが、勲さんは「うちに金はない」と答えるなどした。
(他にも、被告人から二人を殺した事やいくつか会話しておりイントネーションが外国人のようだったと後で話している)
勲さんの両手首に電気コードで縛り、雅樹さんを殺害した和室に勲さんを寝かせて、被告人は血が付いた自分のパーカーを洗濯したり、喜保子さんを殺害した時の血をふき取ったりしていた。
その後も、被告人は居座り続けて、喜保子さんが息子たちに用意した夕ご飯をすべて食べたり、飼い猫を殺している事が分かっています。
5月2日朝、無届で出勤してこない雅樹さんの勤め先の方が家を訪れますが、誰も応答しない事を不審に思い、地域課の警察官をつれて午後0時20分ごろ家に行きます
そして勲さんが自力で玄関から出てきて、「強盗に襲われました。2人殺されています。犯人は逃げました」と警察官に伝えた。
警察官が玄関から入ると、廊下の奥で上下黒ずくめの若い男が座っていたので、「大丈夫ですか?出てきなさい」と声をかけています。
警察官は、救急車の手配や署に連絡している2分間の間に、被告人は裏の勝手口から逃走します。
警察官は、現場で犯人を目撃していたにも関わらず、その後3年以上被告人が捕まる事はなく、警察の初動捜査が問題になった事件でもあります。
勲さんから「犯人は逃げました」と聞いたから、まさか犯人ではないと思い込んだのかもしれませんが、まぬけ過ぎます。
他にも、喜保子さんの遺体は和室の押し入れに入れられていたのですが、2日に発見されず翌3日にようやく発見したり、事件発生8日後に報道へ発表するなど警察へのバッシングがきつかった事件です。
被告人は勲さんの腕時計や、現金22,000円他合計20万円を山田さん宅から奪い逃げています。
(罰金はこれを支払い収監を逃れたと思うと、やるせない思いです。。。。)
2009年12月本件が捜査特別報奨金対象事件に(期間:2009年12月10日~2010年12月9日)
2012年12月28日、津市内で自動車窃盗事件で逮捕された中国籍の林振華(当時29才)のDNAが本件の遺留品と一致したため、名古屋地検は強盗殺人および、強盗殺人未遂の容疑で起訴した。
事件の詳細が分かれば分かるほど被告人の身勝手な動機が許せません。
強盗の動機は「金に困っていた」ですが、08年津市内の書店でコスプレ用セーラー服を万引きしたり09年4月に津市内のスーパーでフグ刺しなど9176円分を万引きした窃盗罪で罰金刑になったのですが、フグ刺しやセーラー服は生活に困った人が万引きする品ではありません。
被告人は犯行後も帰国せず、11年三重大学をちゃっかり卒業し三重県内の自動車部品会社に就職しています。
職場での評判は良く、QC検定4級を取得しており上司は中国の工場へ幹部候補で出向させるつもりだったようです。(私も来月QC検定受験します。いやそんな事はどうでもいいのでが。。)
しかし、「給料の高い仕事に就く」と言い残し12年6月会社は辞めています。
そのまま普通に生活していたら、この事件は迷宮入りになるところでしたが12年10月19日津市内で時価160万円の自動車窃盗で逮捕されたのがきっかけでDNAが蟹江町事件と一致して、逮捕されています。
大学生の頃から万引きを常習的に行い、在学中に強盗殺人事件を犯し普通ならバレないうちに帰国すると思うのですが、自分に捜査の目が向けられていない事をいい事に日本にのうのうと住み続けていた被告人の神経が理解できません。
普通の生活をしようと思えば出来たはずなのに、盗みや強盗、必要なら殺人で生活する事を選んでいるのです。
自動車窃盗で逮捕された時にも、6本のナイフを持っていた事も分かり、次の凶悪犯行を行うのも時間の問題だったのかもしれません。
裁判長は、「無期懲役を選択するべきではない」「死刑を回避する特別な理由はない」と述べた。
主文、被告人を死刑に処する。
訴訟費用は負担させない。
控訴を申し立てるには2週間以内に出しなさい。
以上で閉廷します。
最後は本当にサクッと終わりました。
午後3時から始まり、中国籍の被告人に対して中国語の通訳をはさみ1時間で終わりました。
検察官の横には、被害者参加制度を利用して被害者3男、勲さんも座っていました。
判決後の新聞社のインタビューで勲さんは裁判員や裁判官に対して「被害者のための裁判をしてくれた。ありがたく思う」林被告人に対して「何を考えているのか分からない。抜け殻のようだった」と話した。
勲さん自らも被告人から大怪我負わされていますから、被害者が納得できる判決結果でよかったと思いました。
私の感想は、死刑制度を反対する気はありませんが、死刑で罪を償いきれるのか?と疑問に思います。
それよりも一生罪と向き合い、終わる事のない辛い懲役生活を続けさせて、自分が犯した罪の重さを思い知らせる方がよいと考えるからです。
死ぬだけでは許せないと思います。
勲さんに聞かれたら怒られそうですが。。。
判決後、被告人が退廷するのを見ていましたが、刑務官に促されヨロヨロと歩く姿は廃人のようでした。
傍聴席から法廷内に入ろうとした人がいて、係員から「入らないで下さい!」と注意されていましたが、被告人の来日した父親でした。(翌日の新聞で分かったのですが、情状証人として証言台に立ち証人尋問に応じています)
私は被告人の声を聴くことが出来ませんでしたが、公判では裁判員からの質問に沈黙する事が多く真実を探ろうとする裁判員も困っていたようです。
初公判から結審まで10日間を要したこの公判、裁判員の皆さん本当にお疲れ様です。
当てた傍聴券です。

以上です。
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