高校時代からのともだち!よしだたくろうファン!一緒に唄っていた・・・。
 1.貴方のいない部屋
 2.別涙(わかれ)
 3.夏
 4.サンデー・モーニング
 5.おぼえていますか
 6. S . Yさん
 7.わかって下さい
 8.一年前の雨
 9.夏にありがとう
10.アパートの鍵
11.つかまえててよ
12.秋田長持唄u>
 
忘れもしない、昭和51年秋、弘前市民会館で『因幡晃』コンサートを観ました。当時、大学病院に入院していて、外出して観に行きました。本当は、大好きだった看護婦さんと観たかったのですが、願いは叶いませんでした。彼女は「因幡晃」の大ファンだったのです。集中して観たかったのでしょう。その時に、僕の二十歳の恋は終わっていたのです。因幡さんは、ジョークなど一言も話さずにただ淡々と唄っていたのを覚えています。それが余計、彼女を忘れられない存在にしたかも知れません。

彼女は壁のポスターに指を指しながら、被っていた帽子とメガネを外しました。すると彼女の長い髪がスルッと背中まで垂れ下がり、振り向いた顔は紛れも無くポスターの女の子、つまり彼女は僕の憧れのスーパースター、『銀河ヒカル』だったのです。

良  「ほっ、本物だ!何でヒカルちゃんが?」

ヒカル  「ビックリした?ごめんね。」

良  「とっ、とんでもないです。」

ヒカル  「疲れちゃったね。」

良 「そっ、そうですね!コッ、コーヒーでも入れますね。」

(pipipi)テレビのスイッチ音

ヒカル  「ありがとう。アレッ?テレビ壊れているの?どのチャンネルも砂嵐だよ!」

(pipi、pipi)

良    「本当だ。」

ヒカル  「あのさあ、良君は私のファンなの?」

良    「はっ、はい!がっ、学生の頃からの・・・」

ヒカル  「へー!」

良    「じゃっ、じゃっ、ヒカルちゃんを追いかけていた人は?」

ヒカル  「マネージャー。悪い人と言ったけど・・・」

良    「どうして、逃げたりなんか?」

ヒカル  「・・・良君は神様を信じてる?」

良    「ええ。僕はいつもお願いしていますから。」

ヒカル  「お願い?何を?」

良    「そ、それはちょっと・・・。」

ヒカル  「私ね、仕事をやめたいと思っているの。」

良    「エーッ!」

ヒカル  「良君にこんな事、話していいのか分からないけれど・・・」

良    「話してください!」

ヒカル  「・・・好きな人がいるの。」

僕は少しショックだったのですけれど、彼女の透き通った瞳に見つめられ黙って話を聞いていました。

ヒカルちゃんの好きだった人は彼女の幼馴染なのだそうです。

ヒカル   「私がデビューした時、きっと邪魔になると思ったのね。彼は突然私の前から姿を消したの。」

良    「突然ですか。」

ヒカル  「それから毎日彼を探し回っているのだけれど、見つからなくて・・・」

良    「そうだったんですか。」

ヒカル  「私ね、毎日神様にお願いしているの。偶然でも何でも、彼に遭わせてくださいって!」

良    「・・・遭えたらいいですね。」

ヒカル  「最近見かけたよって、芳江と言う友達から連絡が入ったのよね。それでテレビの番組を抜け出し      

       ちゃった。」

良    「・・・これからどうするの?」

ヒカル  「・・・とにかく友達のところに行くつもり。」

良    「神様・・・」

ヒカル  「エッ?」

良    「きっと神様いますよ。僕の神様はルーズだけれど、いつかきっと夢を叶えてくれる。僕はそう信じ

      ているんです。だから、ヒカルちゃんも自分の神様を信じて。あきらめないで!」

ヒカル  「ありがとう。」

良 「いえ。」

ヒカル  「君と話したら、何かスッキリしちゃったなあ。」

良    「ヒカルちゃんに思われているなんて、その彼は幸せですね。」

ヒカル  「・・・彼に逢いたい。」

ヒカルちゃんはそう言うと、僕の胸に顔を埋めて来ました。泣いている彼女をそっと抱きしめ、このまま朝にならないでと僕は思いました。それと、全国の『銀河ヒカル』ファンには申し訳ないけれど、幸せのピースサインを送りたい気分でした。

良   「ピース!」・・・・・

ヒカル   「良くん、良くん!」

良   「んー、ピース・・・・」

ヒカル  「起きて。もう朝よ!」

良   「エッ?いつの間に眠ってしまったんだろう!」

ヒカル  「アッ、雪!」

良   「本当だ!」

ヒカル  「今日、クリスマスだったね。」

良   「フエー、寒い!」

ヒカル 「私、色々考えたけれど、みんなにこれ以上の迷惑はかけられない。」

ヒカル  「・・・もう行くね。」

良    「大丈夫ですか?」

ヒカル  「テレビや新聞に騒がれて落ち込んじゃうかも!・・・。」

ヒカル  「その時はまた来てもいいかな?」

良    「勿論です。」

(ドアを開ける音)

ヒカル  「いろいろありがとう、元気でね。」

良    「ヒカルちゃんも!」

ヒカル  「アッ、そうだ!良くん・・・」

良    「エッ?」

ヒカル  「良くんは、神様に何をお願いしているの?」

良    「・・・ヒカルちゃんみたいな彼女が欲しいって!」

彼女は僕を抱きしめると、綿雪の降る街の中に消えて行きました。

『ザー・・・』テレビが回復する

良   「あれ?テレビが直ってる!」

テレビ  「・・・結局、昨日から今朝にかけて電波はまったく使えず、全国の放送局はお休みになっちゃいま 

      した。だから、昨日のニュースはありません。いやあ、今年のクリスマスは不思議なクリスマスで

      すねえ。」

ニュースでは太陽の黒点活動のせいだなんて言っていますけれど、本当はみんなの願い事が多すぎて神様が混乱したのかも知れませんね。メリークリスマス!

良   「ゲッ、もうこんな時間!会社に遅刻しちゃうよー!」

村崎 良、もうすぐ23歳!今日も神様にお願いしています。「愛しの神様、早く彼女がほしいよおー!」

                終わり

作  vanillacoco(hiro・i)2004/11/15hirosakisi あおもり




 

良   「それじゃお先しまーす。」

多摩子 「良君、娘の事考えてみてよね。」

良   「はあ・・・かっ、考えて見ます。」

(歩く良。)

良   「大変な事になっちゃったなあ!僕は奈々子先輩に憧れていて、だけど何もいえないでいる。」

良   「多摩子さんは娘と付き合えというし、奈々子先輩は『付き合ってみたら?』と言う。複雑だなあ!」

(突然、良の携帯電話に着信)『プルルル・・・』

良   「080・・・誰だろう?」

良   「・・・もしもし!」

ヒカル 「あれっ?君、ダレ?よしえじゃないの?」

良   「よ・し・え?」

ヒカル 「今日、変なのよねエ。さっきはね、防衛庁に繋がっちゃったんだよー!何でエ?」

良  「 えーっ、僕に聞かれても分からないですけど・・・」

ヒカル  「どうでもいいけれどね。ところで君、今何処?」

良  「はあ?神南辺りですけれど・・・」

ヒカル  「えーっ、近いじゃない!少し付き合ってくれない?アッ、新手のキャッチセールスなんかじゃない 

       わよ。心配しないで!」

ヒカル  「悪い奴に追われているの!」

良   「悪い奴?」

ヒカル  「お願い、助けて!」

良    「どっ、どうしたらいいの?」

ヒカル  「近くに青い森公園あるでしょう?一時間後そこの噴水の前で待っていて!私、ヒカル!貴方    は?」

良   「りょう!良い、悪いの・・・」

ヒカル  「良君ね。アッ、やばい!・・・・・・・」

良   「 もしもーし、もしもーし・・・切れちゃった。」

良   「あの声、どこかで聞いたことがあるような・・・・・。でも、誰に追われているのだろう。」   

 

公園のベンチで一人きり、『クリスマスイヴ』を堪能するには充分すぎるほどの冷たい星が煌めいています。都会でこんなに星が見えるなんて不思議なことが有るものです。あれから二時間、もう八時。

良  「騙されたのかなあー!」

『ガサガサ!』

ヒカル  「・・・良君?」

後ろを振り向くと、暗い電灯に照らされたタイガース帽と黒縁メガネが現れました。

ヒカル  「早く早く!」

良    「そ、そんなに強く引っ張ると手が痛いですって。ちょっと待って・・・」

ヒカル  「シッ、その木の影に隠れて!」

(タタタタッ)走ってくる靴音

男A   「 はーはーはー!」

男A 「ほんまに何処行きよったんやろ!」

(タタタタッ)遠ざかる・・・

ヒカル  「ふう、助かったあ!」

良    「あのー。」

ヒカル  「アッ、手握ったままだったよね。ごめんね!」

良    「一体どうしたと言うんですか?」

ヒカル  「今のが悪い奴!私みたいに可愛い娘をたぶらかして旨い汁を吸っている吸血鬼!」

良    「吸血鬼?」

ヒカル  「フフフッ。」

ヒカル  「アッ、そうだ!君の家に行こう。ここに居るより安全そう!」

良   「エーッ、僕のアパートですか?」

ヒカル  「見た感じ、君は危険なさそうだし。早く行こう!」

良    「えーっ・」

アパートまで30分。僕たちは見えない影に怯えながら無言で歩きました。でも彼女は楽しそうだったんです。何か変だなと思いつつも狭い小路をぬけ、やがて2階建ての安アパートに着きました。

大家さん 「良君!」

良 「わっ!ビックリしたあ。」

大家さん 「びっくりコケタのはこっちじゃわい!」

良    「どっ、どうしたんですか?」

大家さん  「約束の家賃、今日までなんじゃがね。ずっと、待っておったんじゃ。おーうおう、彼女とデートか

         ね。家賃も払わずに。ほほほっ。」

良    「月末、必ずもって行きますから、それまで待ってください。失礼します。」

大家さん 「あらら、行ってしまったワイ。近頃の若いやつは、うらやましいワイ!」

(電気をつける音) 『カチッ』

ヒカル   「ワーッ、汚い部屋ねえ!」

良     「ほっといて下さい。」

ヒカル  「アーッ!」

良    「ワッ、今度は何ですか!」

ヒカル  「壁のポスター、これ私・・・。」

良    「えっ?」 ・・・  話は急展開!第5回お楽しみに!


店長 「ハハハッ髭ちゃん、貴方のギャグは何時聞いても面白いわねえ。」

良  「エーッ?」

店長 「ところで、そこでボーとしているダチョウみたいなの、誰?」

中山 「アチョーこれはこれは!この中山、不徳のいたすところ。」

中山 「おい、あひる!」

良  「エッ?あ、はい。今度新しくこちらを担当することになりました村崎と申します。」

店長 「あらー、まー、新人さん?見た感じパッとしないわねえ。」

良  「ブー!と、とにかく宜しくお願いいたします。」(なんだー?この男は!)

店長 「貴方、モテないでしょう?エッチのやり方知ってるー?」

 

兎にも角にも、こんな調子で営業の第一歩を踏み出しました。しかし、あの中山先輩の変わり身の早さにはビックリです。なんてったって、「アチョー。」だもんね。後から聞いた話ですが、『メガネの熊五郎』の店長と中山さんは『ヒゲと熊』のネーミングで漫才コンビだったのだそうです。まったく売れなっかったみたいですが。何か、平和ですねー。

(会社。良と中山が帰って来た。ラジオから音楽が流れている。)

多摩子「#フンフンフン・・・」

中山 「戻ったぞよー!」

多摩子 「アッ、お帰り!」

良  「フー、ただいまあ!」

奈々子 「お疲れ様!良君、外は寒かったでしょう?熱いお茶、入れてあげるね。」

中山 「おーい、こちらにも。」

奈々子 「はーい!」

多摩子 「奈々子ちゃん、『ヒゲ』にはうーんと苦いやつね。」

奈々子 「ふふふ」

多摩子 「あの汚い髭、何とかならないのかねえまったく。」

*ラジオ『さて、次の話題です。太陽の黒点活動が活発になって来た模様です。このため地上の電波関連は、暫く何らかの影響を受けそうです。それじゃ、次のリクエスト・・・」

(ラジオを消す多摩子)

多摩子 「良君、彼女いるの?」

良  「多摩子さん、いきなり何なんですか?」

多摩子 「実はね、私の娘と付き合ってもらえないかなと思ってさ。女子大生なんだけれど晩生なのよねこれが。クリスマスなのに彼氏もいないし。」

良 「エーッ?」

多摩子 「私に似て美人なんだけれど、はいこれ、写真。」

(『ズズー』お茶を啜る多摩子)

奈々子 「まあー、可愛いじゃない!)

多摩子 「そうでしょう?良君、君なら間違いないわ。真面目だし。」

奈々子  「良君、付き合ってみたら?」

良  「エーッ?奈々子さーん!」

ぼくは奈々子さんに思わず「何を言っているんですか!」と、アヒル顔で言ってしまいました。多摩子さんは45歳。お酒が好きで、相手がたとえ社長でも、ハッキリものを言うベテラン事務員。僕にとっては少し苦手なタイプです。ちょっと大変な事になってきました。僕は確かに彼女が欲しいけれど、「アアッ、どうしたらいいんだ!」・・・・・つづく


 

会社の名前は『星空商会』。小さい会社だけれど社長は優しいし、お気に入りは事務の奈々子さん。僕より一個先輩で、美人で気が利くし、頭は良いし、伊東美咲に似ているし、あれ?何か話がそれちゃいましたね。まっ、気にしないで下さい。いつもの事ですから(笑)。僕はそんなこんなで営業に回され、少し厳しいヒゲの中年『中山先輩』と外回りです。奈々子さん、暫しの別れ。

(車の騒音)

中山 「アヒル、何をブツブツ言っておるのだ?」

良  「先輩、何なんですか?アヒルって!」

中山 「似ている!お主はアヒルだ。がはは」

良 「ひどいなあ。僕にはちゃんと名前がありますよ先輩!」    

中山 「黙るのだ。お得意先に着いたぞ!」

良  「エッ?『メガネの熊五郎』!」

(ドアを開ける音)

中山 「毎度!いつもウインク、夜空の星を眺め眺めて43年。今じゃサソリに刺されたあの人だあれ?」

中山 「それは『星空商会』、アンタレス中山デース。」

良   「えっ?」

中山先輩、こんなキャラでしたっけ・・・・・




   オープニング曲「貴方のいない部屋」因幡晃。。。。。。。。。。。。

僕の名前は「村崎良」。ただいま22歳。今年大学を卒業して小さな望遠鏡販売の会社に就職しました。世界の人口はどれ位なのか分からないけれど、でも単純に考えて男と女の割合は半分半分。彼女がいない僕ですが、毎日を真面目に過ごしていれば、そのうちいつかは彼女の一人や二人は出来るものと、今まで気楽に生きてきました。でも、僕は女性に声を掛ける事も出来ない臆病者。もう一つ言えば、「平穏無事これ幸い」「障らぬ神にたたりなし」学生時代からそんな調子だから、今まで付き合ったことなど一度もありません。「僕は変わるのだ!」と、心の中では思いながら今までそうしてきたように、いつの間にかまたお願いしているのです。「僕に素敵な女性を紹介して下さいませ。愛しの神様!」-つづく