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│01│山見博康の「社長が広報を兼ねる」……広報は身だしなみ演出家
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■広報とは人も会社も好かれること

去る5日にダイヤモンド社から『人に好かれる法』と『だから嫌われる』の2冊を同時出版しました。
広報は「身だしなみの演出家」であり、その真意は、社員そして会社が人に好かれるように、好印象をもってもらえるようにメディアを通じて活動することです。 
そのためには、いかに確固たる自分を確立し、姿勢を正し、態度を律し、いうべき亊をいうべき時にいうべき人にタイミングよく表明することです。 

『人に好かれる法』は、1949(昭和24)年、つまり今から60年程前に近藤信緒(本名池田敏子、池田書店創業者・著述家)という女性が書いた教養書で、当時50万部以上も売れた大ベストセラー。

戦後の精神的に荒廃していた全国の青少年に希望を与え生きる指針を示したのです。私はこれを30年前つまり30歳位の時に手に入れ、深く感銘を受けて座右の書として大切にしていたものです。 

このすばらしい本を現代の人たちにもぜひ読んでもらいたいと、3年前ダイヤモンド社に復刻をお願いしたところ、今にも立派に通用するとのうれしい回答。
この度私が編者になって復刻が実現したものです。 
人に好かれることは太古の昔から万人の願いです。皆さまも本書から広報人の要諦、人間としてのあり方について多くを学ぶことができましょう。 
その本の最終章にある『人に好かれる法50カ条』を、2年前から私のメルマガ『至誠の咆哮』にて自分なりに解説していましたが、それも「面白い」と今回の同時発表が実現したのです。
(現在、百ケ条に挑戦中) 
この50ヵ条は人との接し方人間としてのあり方に関しての留意点ですが、人間の根底にある心の部分に迫ったもので、広い意味で広報担当の心得集ともいえましょう。各条の最後に記した標語も独創的な特徴です。 

例えば「第8条話上手聞き上手」では「見ザル、聞かザル、しゃべりザル・・・だから嫌われる」あるいは「第22条慰め上手」では「目つきで傷つけ、言葉で傷つけ、仕草でも傷つける・・・だから嫌われる」などです。 


◎人はハダカで歩かない

人は、ハダカで生まれる。人間の祖先である猿や動物も同じく不変普遍、未来も変わらないものです。動物は産毛がしだいに太く長くなって寒暖の気候から身を守り、肌が厚く・固い皮となって外敵から身を護る。 
人は産毛が生え、皮も厚くはなるが環境や外敵から防御できるまでにはなりません。そのため赤ちゃんにおしめをし、衣服をつけるのです。 
人が服を着る重要な理由は他にも、「社会的な規範」と「羞恥心」の二つがあります。いずれも人間社会しかありません。国には国の、地域には地域の、また所属する団体や企業にはそれぞれ規範・慣例があります。 sd 
私たちはそのどこかに属し、きまりに順じて生活しています。成長につれてTPOを考えて服装を整えます。動物と異なり、人には羞恥心や自尊心もあります。そこで、他の人によりよく見られたいという欲求から、身だしなみを気遣うのです。「人はハダカで歩かない」のです。 
動物と人間の根本的な違いの1つは羞恥心、人には恥じ入る心があることを忘れてはなりません。人には見せられないものがあります。それは、頭脳と恥部です。 
◎会社はハダカで歩けない 
会社はハダカで生まれる・・・つまり起業し、法人と呼ばれ権利・義務を持ちます。成長につれて社内ルール・護るべき規範を作るのです。年月が経つうちに、企業存続のために、知られたくないことや隠さなければならないことが出てきます。隠すべきことは、特許・製造ノウハウのようなコア技術や戦略の核心部分であり、また経営の機密事項でしょう。恥部もできます。情報公開といっても自ずと限界があるのです。つまり、会社もハダカでは歩けないのです。 

人間が気候や環境・外敵に対して服装を変えるように、会社も外部環境に応じて、一定の服装をして歩く必要があります。TPOに基づいて適切な服装(ドレスコード)を身に付けなければなりません。 

「情報公開」「透明性」とは、ハダカになることではなく、人と同じように適切な身だしなみを前提にしているのです
す。自分の倫理観にそってより美しく見せることは、あたかも女性がパーティに際し
て、念入りにお化粧をしてチャームポイントを引き立たせ、もっとも気に入った服装で着飾り、注目を浴びたいことと何等かわることはないのです。 

むしろ、本来の自分の姿をより素晴らしく見ていただく趣旨であれば望ましいこと。会社をそのように見せることが広報の役割なのです。 

■身だしなみが必要 

通常のビジネスでは、社会と会社のしきたりにそってTPOに応じて服装を整えます。作業着・スーツ、時には礼服を着る。クールビズもする。ビジネスの常識の範囲でよりよく見せようと身だしなみを整えるのです。 

ところが、過度によく見せようと厚化粧をし、カツラをかぶり整形手術までしてごまかします。それは書類の改竄や虚偽申告という危険ゾーンに足を踏み入れ、さらには粉飾決算や脱税という死のゾーンに落ちていく愚行です。 

会社も人と同じく急所があります。企業存立に関わるコア技術や、機密のノウハウは見せられません。情報漏洩は命取りなのです。過度の薄着は内部情報のリーク推奨と同じ、会社の存続に関わります。 

情報公開といってもハダカを見せるわけにはいきません。そこで適度の薄着と礼服の間できちんと身だしなみを整えて仕事すること。そこでグレイゾーンをどのように考え、対処していくかに会社のあり様が表れるのです。 

つまり、企業としての倫理観や思想に左右されるのです。広報人とは、会社の活動をいかにTPOに応じて適切に美しく見てもらうかという仕事をもついわば超一流の「ファッションコーディネーター」であり「身だしなみの演出家」なのです。 
なお、今月から私のメルマガ『広報の達人になる法』を始めましたので、ご興味ある方はこちらもご覧下さい。

また、2月から「山見博康(バリューインテグレーター)の『善言励言』」 
( http://ameblo.jp/valueintegrator/ )というアメブロも適宜発行していますので、お知らせします。