週刊新潮2/16日号に岸田総理秘書官の差別発言に関する記事が掲載されていました。

 

2/4荒井勝吉総理秘書官がLGBTや同性婚部ついて差別的発言をして更迭された。

前日の夜、荒井氏と記者団とのオフレコ取材で以下のようなやりとりがあったという。

 

記者:世論調査では若い世代を中心に受け入れる人が増えています。

荒井:若い人は社会に与える影響を分かってない人が多いと思います。トイレの問題とかね。経産省でも前にありました。同性婚を認めたら国を捨てる人だっている。

 

ここで話している「トイレの問題とは」性同一性障害と診断された戸籍上男性の経産省職員が「女性トイレを自由に使用できない」として2015年に国を提訴した問題だ。

 

記者:同性婚を認めてもマイナスの影響はあまり思い浮かびません。

荒井:あると思いますよ。受け入れられない人は多いのではないですか。

記者:選択的夫婦別姓と同性婚で、そんなに反応が違うのはなぜなのでしょうか。

荒井:総理の答弁としてはどちらも同じで「社会に与える影響をよく考える必要がある」ということ。総理は政調会長時代、車座になる機会が多くて、選択的夫婦別姓の話もしたそうですけど、反対する人が多かったみたい。別姓だってそうなのだから、心の奥底では、同性婚が嫌って思う人はたくさんいると思う。僕だって隣に住んでいたら嫌ですもん。

人権はもちろん尊重しますけど、観るのも嫌。秘書官連中に聞いたら絶対皆、嫌って言いますよ。

 

と、本当に人権尊重してると言い張る男とはとても思えん発言なのだが、実は彼の妄言は岸田首相の答弁の中身を説明しようとする中で飛び出したものだった。

 

 

つまり、そもそもの発端は、親分である首相・岸田の人権意識に関わる問題なのだ。岸田は国会で同性婚の法制化について「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題」と答弁しており、答弁内容に荒井氏の差別意識が反映されたと疑われても仕方がないわけだ。

そもそも岸田には、軽々と方向転換する傾向があり、特に安倍晋三を支持してきた右翼系議員に配慮しており、

安倍の政権が長年続いてしまった結果、自民党内部ではどんどん右翼系が増加、だから「多様性」などは所詮口先だけで本音は真逆なのである。象徴する人事が昨年の杉田水脈の総務政務官への起用で。彼女は、過去に性的少数者への露骨な差別的発言を行っていた安倍派を代表する右翼議員だったが、批判を受け12月に更迭された。

 

 

 

 

結果的に国レベルの取り組みは遅れ、同性婚やパートナーシップ制度を整備していないのは先進七カ国(G7)で日本だけなのだ。LGBTへの差別を禁じる法律もなく、LGBTに関する法制度の整備状況で、日本は35カ国中34位に沈み、世界的な潮流からは完全に孤立している。    

 

しかしながら、人権無視は国会議員だけの問題ではない。

 

では、国民は少数派のLGBT・同性婚に関してどれほど関心があるのでしょうか。

更迭となった元首相秘書官・荒井の差別発言を受けて共同通信社が11〜13日にかけて全国緊急電話世論調査を行った。

そこで「同性婚」を認める方が良いとの回答は64.0%で、認めない方がよいの 回答24.9%を大きく上回った。

首相・岸田の同性婚導入に関する「家族感や価値観、社会が変わってしまう課題だ」との国会答弁について「適切ではない」とする答えが57.7%だった。

問題は「同性婚を認める方が良いとの回答は64.0%」の内訳で、30代以下の若年層が最も多くて72.5%が賛成、40〜50代の中年層が57.9%、逆に60代以上の高年層が46.6%と賛成が50%を切り最も低い。高齢者は保守的で昔ながらの因習的考えを持ち続ける人が多いのだろう、ここで国会議員の大半もこの年代だから無関心層が多いのもわかるというものだ。なお、男性より女性の方が認めることに賛成する人が多いというのも興味深い。

 

話は変わるが、昨年開催の東京オリンピックにおいて人権無視事件がゾロゾロと出ていたのである。

 

 

昨年2月に女性蔑視発言で東京オリンピック組織委会長・森喜朗が引責辞任したばかりだったのに、切れ目なく問題が持ち上がったのだ。

開閉会式の演出を統括するクリエーティブディレクターの佐々木宏が、ふくよかな女性をブタに例える演出を仲間内で提案していたというのだ。

 文春によると、佐々木は昨年3月、五輪開閉会式の演出メンバーに送信したLINEで、開会式に出演予定の渡辺直美にブタの仮装をさせ、「オリンピッグ」として登場させるアイデアを披露した。「オリンピック」と「ピッグ=ブタ」をかけた演出プランに、女性メンバーが「容姿のことをその様に例えるのが気分よくないです」などと返信。批判が相次ぎ、撤回したというわけだ。

 

さらに極め付けの人権蔑視事件が、昨年東京五輪の開会まであと1日と迫る中で起きていたのだ。

 

東京五輪開会式・閉会式のショーディレクターを務める小林賢太郎がお笑いコンビ「ラーメンズ」時代に、ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)をコントのネタにしていたことが分かったのだ。

そして動画がSNSなどでも拡散され、ネット上が騒然と大炎上した。

 

このコントは、1970年4月から1990年3月まで放映されたNHKの人気教育番組「できるかな」をパロディにし、小林が「ノッポさん」に、相方の片桐仁氏(47)が「ゴン太くん」に扮している。

 

9分ほどのコントの中盤、番組企画案を話し合うという演出の中で2人が以下のように会話を交わすシーンが出てくる。

 

ゴン太くん:来週、何やるか、決めちゃおうね。何やる?

ノッポさん:ああ、じゃあ、トダさんがさ、ほらプロデューサーの。「作って楽しいものも良いけど、遊んで学べるものも作れ」って言っただろ。そこで考えたんだけど、野球やろうと思うんだ。いままでだったらね、新聞紙を丸めたバット。ところが今回はここにバットっていう字を書くんだ。いままでだったら「ただ丸めた紙の球」。ここに球っていう字を書くの。そしてスタンドを埋め尽くす観衆。これは人の形に切った紙とかでいいと思うんだけど、ここに人って字を書くんだ。つまり文字で構成された野球場を作るっていうのはどうだろう?

ゴン太くん:いいんじゃない。ちょっとやってみようか。ちょうどこういう人の形に切った紙がいっぱいあるから。

ノッポさん:本当?ああ、あの「ユダヤ人大量惨殺ごっこ」やろうって言った時のな。

ゴン太くん:そう、そう、そう、そう、そう。トダさん、怒ってたなあ。

ノッポさん:「放送できるかっ!」ってな。

このようにユダヤ民族虐殺が笑いのネタにされたのにもかかわらず、このコントの会話の後には観客から笑いが起きている。

人の形に切った紙がたくさんあるという会話の流れの中、ナチスによる「ユダヤ人大量惨殺」という言葉に「ごっこ」という接尾語を付けて遊戯にたとえてしてしまっている。

人類の悲劇であるホロコーストが、まるで「鬼ごっこ」や「電車ごっこ」と同じような遊戯の言葉で呼ばれるなどもっての外だろう。発想自体がおかしくないだろうか。

 

たとえ昔の芸人時代のコントの一場面であっても、ユダヤ人大虐殺を笑いのネタにするような人権感覚の持ち主が東京五輪の開会式・閉会式のショーディレクターを務めていることに世界はいったいどう思うだろうか。

 

逆に広島や長崎について同じようにジョークに使われた場合、日本人はいったいどのように思うのだろうか。

 

日本人の人権意識に関わる問題で日本人がいかに人権問題に鈍感な民族かということだ。

 

問題発覚時、オリンピック組織委員会会長の橋本聖子が記者会見で「これは外交上の問題もあると思っている・・・」とコメントしたが、ユダヤ人揶揄で国際問題になると言いたかったのだろうが、これは外交上の問題ではなくて人道上の問題なのだよ!橋本おばさん。