さて、いよいよ試聴です。

機器は以下の通り。


CDプレーヤー:  CEC CD5

プリメインアンプ : soulnote sa1.0 + sa2.0FT

スピーカー:  DYNAUDIO FOCUS110

RCAケーブル:  sapl001さんがヤフオクに出品されているイケ綿ケーブル(1m)

スピーカーケーブル:  吉田苑さんからの頂き物(1.5m)





先ず感じたのは、今どきのハイスピード系サウンドでも昔ながらの芸術的な濃厚サウンドでもない、ごくありふれた普通の音だということ。しかし暫くすると「何かが違う」と感じられ、聴き込んで行くに従い音の出方が極めて自然だと気づきます。要は実際の生演奏に近いサウンドなのです。

オーディオ機器の音質を評価する場合、音のバランス、ヴォーカルと楽器のバランス、スピード感、音の質感、音数の多寡、明瞭度、解像度、情報量、音場の広さや奥行き、定位などなど様々な評価軸を設けて採点しますが、CD5の場合、それらの評価軸に基づいて採点するとすべて""になってしまうのです。

しかし、評価軸を生演奏に基軸に据えると、これが途端に評価点が高くなります。即ち、pianississimoからfortississimoまでの音の強弱、crescendoからdecrescendo、diminuendの音の変化、フォルテ・ピアノやスフォルツァンド・ピアノなどの音のアクセントの付け方、calandoやmancandoなどのテンポの変化など、声や楽器の倍音成分が立ち上がるタイミングや音程と量的変化がごく普通、即ちナマに近く演奏が自然に再現されるのです。


こう言った特性は騒がしい店頭での試聴ではただの大人しい音としか感じられないので、その凄さを感じることが出来ないと思います。


CECらしく、デジタルフィルターの特性を"FLAT"と"PULSE"に切り替えることが出来ます。

"FLAT"は一般的な特性で、20kHz以上の信号を直線的にカット。一方、"PULSE"では周波数帯域で異なる伝達速度(移送特性)を揃え20kH近辺で徐々に減衰させます。 

切り替えて聴くと、"FLAT"では音にエッジが立って高域が寸止まりしているように感じられ、"PULSE"では音の立ち上がりが自然で高域が伸びやかに聴こえます。自分は"PULSE"が好みですね。


偉大なる平凡。

もう少しスピード感が欲しいけど、それで位相が狂ってしまえば元も子もない。兎に角、聴いてて気持ちの良いプレーヤー。

例えるなら、スペック上は平凡な値ながら秀でた上昇力、旋回性能、加速能力などでP-51とも渡り合えた、陸軍の五式戦闘機かな。決してオーディオ誌では評価されないけど、現在の最優秀CDプレーヤーだと思います。