とあるH/Oで発見したCDプレーヤー. 「CD再生しますが,トレイ開閉不良.」のJUNK品でしたが,トレイ開閉不良なら何とかなるかなと思い保護することにしました.
1987年発売,定価は180,000円でした.
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本機はCDP-555ESDの後継機で,自重18.5㎏とジブラルタルシャーシを採用した555ESDに比べ5㎏も重く,ESシリーズのCDプレーヤーとしては最重量機です.

持ち帰ってさっそく動作確認したところ,トレイは何事も無くスムーズに開閉し,問題ありません.

ありがとうございましたッ! 
((┘゚∀゚)┘アーハッハー☆

で,さっそく開腹~♪
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さすがES最上級機. すっげー金かかってる~.

CDドライブユニットのベースはアルミダイキャスト製で,それを高粘弾性ゲル封入ダブルサスペンションでフローティングしています. そのドライブユニットを支える土台はジブラルタルベースで,音質劣化の原因となる振動や共振を抑えています.
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写真では判りづらいが,Gベースの厚みはスゴイ!!

電源部は,デジタル/アナログ独立ツイントランスで,それにつながる電源回路もデジタル/アナログで分離独立されています.
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デジタル回路用電源部. コンデンサーは,ELNAの16V,12,000μF×2本.

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アナログ回路用の電源部. コンデンサーは,ELNAのDUOREXシリーズ,35V,6,800μF×4本.

本機のD/A変換部は,デジタルフィルターに自社製の8オーバーサンプリング18bitデジタルフィルター「CXD1144」を採用し,D/AコンバーターにはBarr-Brown社の18bitDAC「PCM64」を左右独立で搭載しています.
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右端に見えるのが18bitデジタルフィルター「CXD1144」.
中央付近の銅チップが被されているのが18bitD/Aコンバーター「PCM64P」.
ナゾなのが,両者の間にあるSONY製ICチップ「CXD1305」. CXD1144からデジタル信号を受け取り,あらたにデジタル波形を生成してマスタークロックで整えて信号を送り出す,Victorの「K2インターフェイス」に似た技術なら面白いのだが・・・.
また,左に見える青い可変抵抗器は,最大ビット(MSB)から4SBまでの歪を補正し信号の直線性を高めるためのものだろうか? 
有名な割にはナゾが多いCDプレーヤーである.

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D/Aコンバーター以降の回路は左右独立に構成されており,チャンネル間の相互干渉を抑えています.

底板は1.5㎜銅メッキ鋼板+1.5㎜鋼板の組み合わせとなっており,インシュレーターはセラミック製です.
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底のゴムが外れちゃってますね(汗. (後で着けよう.)

シャーシ構造は,のちのFB(フレーム・ビーム)シャーシに通ずるものとなっています.
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CDドライブユニットとジブラルタルベースがよく分る.

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ジブラルタルベースの巨大さが判る構図.
ピックアップの駆動はリニアモーター方式で,アクセススピードは早い.

で,その音質ですが,高密度で締りの良い低音が印象的です. これには強力な電源部と良質なアナログ回路が貢献していると思われます. また,中音域から高音域にかけてのつながりも良く,音の定位もしっかりとしてS/N比にも優れているので,静寂な中で響くピアノの音が非常に美しく感じられます. 音の解像度も優秀で,20bit機と比較しても引けを取りません. 

さすがSONYが持てる限りの技術と物量を投入しただけのことはあります. 名機ですね.

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トレイは8㎝シングルCD対応. トレイの開閉スピードは速くてなめらか.
ディスクトレイの開口部には特殊ゴム材によるダンパーが設けられ,トレイ収納時の気密性を高めて外部からの空気の振動をシャットアウトする.

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さすがはES最上位機. その気品は今も色褪せることはない.