友達の薬屋さんもそうだけど、難しい学問を修めている人は尊敬に値する。
医学、薬学、魔法学。この世には難しい理屈がいっぱいだ。
でも、それを理解し自らのものにしようと努力する人たちがいる。
未知のものを習得しようと研鑽を怠らない人々。そんな人達を見ていると、あたしも勇気が湧いて来る。
ラグーナ遊歩道を、のんびり散歩。
すっかり寒くなってしまった夜の風は、身を切るほどに冷たいけれど。
傷を治療する為に家に閉じこもっていた身には、それも心地よく新鮮に感じられる。
誰もいない水路沿いを歩いていると、どこからか猫の鳴き声が聞こえた。
辺りを見回してみると、白衣を着た男の人がひとり。
その肩に乗った小さな仔猫は、筆舌に尽くしがたいほどの可愛らしさだった。
お医者様風の姿をしたその人の名前はレン。なんでも魔法医、という職業をしているらしい。
以前知り合いのエルフの女の子にしてもらったような傷を癒す魔法を使うのかな?と思ったけど。
どうもそれよりも、薬を処方する方が得手だという。
伝説では、魔法薬エリクサーという薬はどんな傷や病気でも瞬く間に癒してしまうという。
まぁ所詮伝説だから、あるかどうかすら分からないんだけど。
そうそう、仔猫にも無理を言って触らせてもらった。
名前はチェルシー・アンというらしい。
可愛い鳴き声、くりくりした愛らしい瞳。
あたしも猫を飼いたくなってきたなァ……。
レンはなんだか急がしそうで、早めに帰ってしまったけれど。
今度会ったら、ゆっくりお話ししたいな。
遭遇者:レン