年に一度のお祭りが開催されている。
―――といっても、夏にはフィエスタ・グランデがあったけれど……それはそれ、これはこれ。
皆が思い思いの仮装をして街を練り歩く様子は、まるで異世界に潜り込んだかのような錯覚を覚える。
あたしも遅れちゃいられない。楽しもう、今しかないイベントなのだから。
散々迷った末に、あたしは故郷の村でお祭りの時に着る衣装を作ることにした。
エプロンと丈の長いワンピースに、リボンやレース飾りをつけたものだ。
街のオシャレな人達の衣装に比べたら、泥臭いというか……垢抜けないのは否めないけど―――
やっぱりあたしのお祭りの衣装といえばそれしかない。
―――バブーシュカで猫耳を誤魔化せるという利点もあるし。
そんなこんなで衣装をギリギリまで作っていると、ガルーダがいつもの格好で迎えに来た。
自分はもう仮装を楽しむ歳じゃないから、とかなんとか言っていたけれど。
こういうお祭りに年齢制限も何もない。彼を無理矢理部屋に押し込めて着替えをさせた。
果たして出てきたのは、髑髏面の恐ろしげな幽霊船長。
本当に深海から幽霊船を率いて現れた亡霊のようで、あたしは思わず本気で驚いてしまった。
……隠していた猫耳が飛び出てしまうほど。
彼に慰めてもらって、お祭りに参加する為に街へ行く。
生えてしまった猫の耳と尻尾は暫く治らない。恥ずかしかったけれど、彼は隠さなくていいと言う。
彼がそう言うなら、もう隠さないようにしよう。
どんな姿になっても、あたしはあたしだから。―――それを恥じる必要はない。
―――そうだよね?……ね。
遭遇者:ガルーダ