20090220 日本経済新聞 朝刊

企業急減産、響く
 日銀の白川方明総裁は十九日の記者会見で、昨年十―十二月期の実質国内総生産(GDP)が前期比年率で一二・七%減となったことについて「非常に厳しい数字」と指摘した。そのうえで「一―三月期と四―六月期のGDPは厳しい姿を想定している」と述べ、四―六月期まで厳しい情勢が続くとの見方を示した。
 企業の急ピッチの減産で在庫調整が進み、春以降は減産ペースが緩やかになるとの見方についても「不確実性が高い」と述べた。
 与謝野馨財務・金融・経済財政相は十九日の月例経済報告関係閣僚会議後の記者会見で、景気の現状について「企業から家計への悪化の波及がはっきりしてきた」と述べた。景気の先行きについては「民間の調査機関で一―三月期を楽観視する意見はない」と指摘した。
 二月の月例報告では個人消費の判断で初めて「減少」の表現を使った。与謝野経財相は「不況に比較的強い個人消費に緩やかながら影響が出始めた。政策でも受け止めていきたい」とも語った。

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20090131 日経プラスワン

 東京都内の会社に勤務する二十代の男性。職場の同僚と会社近くの居酒屋で新年会を開いた。大いに盛り上がったが、帰宅してから急に激しい腹痛や吐き気に襲われた。新年会のメニューには貝の刺し身なども含まれていた。新年会までの食事に心当たりはなく、原因はその貝ではないかと思われる。居酒屋に何らかの責任を追及することはできるだろうか。
男性「新年会に行くまでは何ともなかった」
女性「だったら、居酒屋で出された貝のお刺し身が原因じゃないかしら」
 このような場合、居酒屋に苦情を伝える前に、まずは腹痛や吐き気の原因を突きとめる必要がある。なるべく早く病院で医師の診察を受けた方がよい。新年会当日の昼間に食べた弁当が、時間をおいて腹痛などを引き起こした可能性もある。
 原因が分からない状況で居酒屋に苦情を言い、責任を押しつけるようなことをすれば、無用なトラブルを招く恐れもある。原因を明確にするためには、自己流で市販の薬に頼ることも避けた方がいい。食中毒の場合、医師の診断なしには居酒屋への法的な対応も難しいからだ。
 医師は異常を訴えた患者を診察した結果、食中毒の疑いがあると思われる場合は、食品衛生法に基づき管轄の保健所などに届け出ることになっている。届け出を受けた保健所は、食中毒の原因と疑われる料理を提供した居酒屋などの調査をする。
 調査を通じて男性の来店時に居酒屋で食中毒が発生していたと特定でき、実際に発生源の料理を食べていたのなら、男性は居酒屋で感染したと言えるだろう。男性は居酒屋に苦情を言う前に、知り合いの弁護士に相談してみることにした。
男性「新年会に出席した他の同僚らは、特に何ともなかったようです」
弁護士「感染者の数は、食中毒の認定には直接関係ないでしょう」
 食中毒の被害を主張するためには、医師の診察や保健所の調査などの科学的・客観的な証拠が不可欠となる。被害の届け出が少ない場合は発生源を絞り込みにくいという側面があるが、今回の男性のように、食事の場所や内容をある程度はっきりと覚えているのなら、保健所の調査なども比較的進みやすいとみられる。
 製造物責任などに詳しい中村雅人弁護士は「食中毒の症状には個人差がある。同じものを食べても症状の度合いには違いがあるし、時間をおいて異変が出てくるケースもある」と指摘する。仮に新年会に参加したメンバーのうち、腹痛や吐き気などの症状があるのが現時点で男性だけだとしても、被害者の多寡のみで食中毒の認定が左右されることはなさそうだ。
男性「居酒屋に法的な責任を追及できますか」
弁護士「原因が明確なら損害賠償を請求できます」
 保健所の調査などで食中毒の原因が明確になり、居酒屋の衛生管理が問題になれば、料理を提供した居酒屋に損害賠償を求めることができる。治療費用のほか、仕事を休まなければいけなくなった場合は、その間の所得を補てんする休業補償も対象となる。被害の程度が大きければ、精神的苦痛に対する慰謝料を求めることも考えられる。
 中村弁護士は賠償請求の理由として「本来受け取れるはずだったサービスを受け取れなかったという意味では、(居酒屋の)債務不履行を主張する考え方もある」と指摘する。また、「製造物責任法(PL法)の考え方を適用して、調理をした居酒屋の責任を追及していくということも想定できる」という。
 昨年夏に起きた飲食店での生肉による食中毒のケースでは、被害者五人に対し合計七万三千七百円の賠償金が支払われた。内訳は治療費一万八千二百円、慰謝料が三万二千五百円で、被害者の一人には六千円の休業補償が出た。諸経費も一万七千円かかっている。
 食の安心・安全への消費者の要求水準が高まり、外食産業の側も衛生管理を徹底している。万が一、食中毒を起こした場合に備えて、日本食品衛生協会などが、食品会社や飲食店が支払う賠償金を支援する共済制度の拡充にも取り組んでいる。
 商品やサービスの内容に問題があれば苦情や不満を表明するのは消費者の権利だが、食中毒の場合は医師の診断などが大前提だ。治療費や薬代を請求するには診療明細なども必要になる。法的な責任追及は苦情の延長ではなく、請求の根拠を自ら用意して正当な手続きを踏む必要がある。(安川壮一)
 食中毒などで消費者から損害賠償を請求される場合に備え、事業者側も対策を強化している。代表例は飲食関連業者らで構成する日本食品衛生協会が手がけている共済形式の損害保険だ。2006年6月には、店員が顧客の衣服を汚したケースなどにも対応できる「あんしんフード君」を導入した。
 08年4月にはフード君の対象を飲食店や旅館から製造業者や販売店にも拡大。中国製冷凍ギョーザ中毒事件を受け、被害を与えた商品と同じラインで製造された商品の回収費も補償するなど、対策強化に取り組んでいる。

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20090131 日経プラスワン

 仕事以外で使うガソリン代は平均で月いくらか。全国の既婚成人男女に聞いたところ「五千円以上一万円未満」が最も多く、全体の三分の一強を占めた。次いで「三千円以上五千円未満」(二〇%)、「一万円以上一万五千円未満」(一三%)の順だった。
 ガソリン価格は二〇〇八年八月に最高値を付けた後、半年足らずで四割以上も下落。ただ、環境意識の高まりもあって、引き続きガソリン代の節約に努める人は多く、様々な工夫を凝らしている。全体の六割の人が実行するのが「少しでも安いガソリンスタンドを探す」。「車をあまり使わないようにする」(愛知県の会社員の男性、44)との回答も少なくなかった。
 「停車時のアイドリング時間を減らす」「急発進・急加速をしない」と運転の仕方を工夫したり「ガソリン代が安くなるクレジットカードを使用する」と支払い方法を工夫したりすることも、三分の一以上の人が実行していた。
 「外食を減らして、月に五千円ぐらいをガソリン代や灯油代に回した」(大阪府の専業主婦、32)というように、家計費全般をやり繰りする中で、他の出費を減らしてガソリン代を捻出(ねんしゅつ)する人もいた。

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20090131 日経プラスワン

 製造過程で傷が付いた、包装の印刷がずれた――。こんな「訳あり商品」が、インターネット通販で人気を集めている。従来は売り物にならず、捨てられていた切れ端や規格外の商品でも、見た目にこだわらない消費者にとっては、格安で手に入れるチャンス。活用次第で“おいしい節約生活”を楽しめそうだ。

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20090131 日経プラスワン

 「日経PLUS1」は二月七日付から紙面を衣替えします。「親子教室面」を新設、小学校五年生の双子の兄妹を主人公に、分かりやすい説明で世の中の仕組みや“不思議”を解説します。
 テレビ番組表は一週間分を見開き二ページで読めるようにします。「世相見聞面」「楽食探訪面」「頭脳体操面」「ゆとリッチ面」は、一部のコラムを除いて今回で終了します。
 「かんたん美味」はご要望の多かった最終面へ、「日経生活モニター会議」は「家庭六法面」へ移設。毎月最終週掲載の「食の履歴書」は「コトバの鏡」とともに「生活発見面」に、「価格定点観測」は「賢実家計面」で引き続き掲載します。

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