私に魚遍歴ー18 | JOKER.松永暢史のブログ

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各校成績上位者の共通点は、普段からよく学習し、その上で試験前は徹夜をしてでも必要事項を覚えきるところだった。

普通の生徒に比べて勉強時間が長いーそれが彼らの共通点だった。彼らは「必要」と思ってやっているのだった。これは、見倣わざるを得なかった。

それにしても皆優秀だった。優秀ではないこちらとしては、優秀なくせになぜ塾に来ているのかわからなかった。

そして、そこには私のように子どもっぽいままである中学生はいなかった。皆どこかませた印象を与えた。

私はこれまでとは違う自分にならなければならないと感じていた。

これまでの自分のままでは学校成績は上がらない。

ではどうするか?

私は生活面でいくつかの取り決めをした。

マンガを読まない。テレビを見ない。かつての友達と遊ばない。そして学校ではどうしても必要なこと以外口をきかないことにする。

私は、この最後のことの実行によって、人に比べて大変遅ればせながら、自己コントロールの「意識」を発達させることに成功した。

思いついたことを口にしない。思いつかないようにする。思いついたとしてもそこへ移らない。すると授業が聞けるようになった。

意識的に気が散らないようにすることができるようになったのである。

こんなことは初めてだった。

私が授業中に何も言わなくなったことにかえって学校の教師たちは驚いた。中には「どうかしたのか?」と意味のない質問をする教師もいたが、例によって「別に」とだけ答えた。

富澤は、私がふざけてクラスが爆笑するのを上手に用いて飽きさせない授業を行なった。授業をしているのかふざけているのかわからない時もあった。起立礼などなし。フラ〜と入ってきて、「じゃー始めるよー」。それでもその解説内容は論理的で腑に落ちた。授業が面白い。ここでも自然とあまりふざけないようになっていった。

こうして自分よりアタマが良い生徒に囲まれてそこで揉まれてこれに慣れると、どういうわけかさらにジワジワと成績が上がってきた。

私は、英語科担当の富澤から教科書1課分の英文の和文英訳の課題を出され、これが信じられないことに、できた者から帰って良いシステムで、私は最後の最後まで覚えられずに残されて、帰宅が11時過ぎになって、親が心配した。

しかし、このおかげで、3年1学期の中間試験の英語は95点だった。これには同点のスナダも驚いたが、何せ日本語を見ればそれを正確に教科書通りの英文に訳せるようになっているのであるから当然と言えば当然だった。

綿密に4と3の境を探って、中間得点から高得点結果が必要な教科を絞り出し、初めて徹夜した期末試験ではまあまあの得点をした。

内申点は、オール4で体育だけが2だった。期末で100を取った英語にもなぜか5はつかなかった。3年次の評価はそれまでの学年の総合評価が加えられるということだった。これには参った。単に高得点するだけでは5は得られないことになる。しかし、後で聞いたが、職員室では急速に成績が伸びた生徒の代表として話題になっていたそうである。