『9歳までに地頭を鍛える37の秘訣』 | JOKER.松永暢史のブログ

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『ギフティッド』の大川翔くんのお母さんの大川栄美子氏の新著『9歳までに地頭を鍛える37の秘訣』(扶桑社)という本が届いた。
この本は、読み聞かせの大切さから説き起こし、アナログゲームの役立て方から手先の作業の訓練、自然との接触の大切さについてまで、「前著」同様、家庭でするべきことがもれなく載っている。否、「9歳まで」と限定することで、より明瞭に親のするべきことが示されている。
「子育て成功は母親が9割」といった題の育児書を何冊も目にするが、これは実は、「いくら頑張っても、自らの考えを持たずにメディアにダマされた母親がバカをやっておっては本当に子どもができるようになることはない」という真実をそのまま本に書けないために現れている出版現象とも言えるのである。教育のプロたちは、何人ものできる子とその母親を見て来ている。そうした母親たちに共通するのは子どものアタマの中を観察できるということである。「発達状態」を意識的に観察することができているということである。
これは、同時に親も発達=成長しようとしていることを示しており、そこに主体的に伸びて行こうとする人間的意志があることも分かる。
子どもの教育に、成長や修得の観点の他に、内的向上や発達、そして「高まり」の観点が欠かせないことは言うまでもない。
その基本に幼児期からの読み聞かせがあることをもこの本は明快に示している。読み聞かせは、親も子どもも高まる最初の機会である。
さて、この本を読んで行くと、最後の方に驚くべきことが載っている。
それは以前、『ギフティッド』出版時に、「本には書いていないが、多分この家は焚火とかもしているはず」と当ブログに書いたことが大川くんに知れて、彼が驚いたことをもとに書かれている焚火の素晴らしさの記述である。しかもそこにはこのブログの文章が引用されているのである。
—子どもに焚き火の火を与える体験の大切さを了解できない者は、ほぼ「教育」に関係ない者たちである
「冗談で」を抜きにされるとキツい言い方であるが、普段こんなことを書いておるのかとも改めて思う。
ついに育児書で、筆者以外の人が焚火の大切さについて書き始めた。それも「天才君」に認められた。
「子育て本」の世界で、新たなる名著が生まれてくるのは頼もしいことである。
この本は実は我が国の教育に目をくらまされた世の母親たちに、「目を覚ましなさい!」と優しく伝えるのが本当の目的なのではないか。