作文指導(by マッツ) | JOKER.松永暢史のブログ

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3人兄弟の長男である小6のサッカー少年と授業をした。音読指導を初めて3ヶ月が過ぎ、その間にサイコロと作文の指導も行った。受験をする気はないそうで、陽に焼けた精悍な顔と、子どもらしい表情と輝きを保った瞳。こういう男の子に育てたいと思う親も多いことだろう。
いつものように初めのうちは話をして、それをきっかけにやりたいことを決めるスタイル。すると、「今日学校で面白いことがあった」と珍しく長々と話し始めた。まだまだ拙いが問答すれば話の内容は分る。できるだけ上手に話させて、会話力を高めようとする。これも大切なことである。私はメモを取りながら話を聞く。話は、6時間目の授業中にゲームやり過ぎで対人的に言葉や行動が粗暴な友達の話だった。この友達は、ケンカが弱いくせにすぐに「死ね!天に召されよ!」と言って周囲の人を蹴る。これが大暴れをしたことの顛末であったが、登場人物が6人もいてなかなか話が複雑である。話を聞いた後、「ではこれを作文化しよう。こんなことを文章化できれば、怖いもの無しだぜ。」と言って突如作文の授業に入った。人物描写、入り組んだ会話とかなり高度な要素が含まれる。しかも人に読まれた場合、誰が書いたのか分らないように三人称文体で書き進める。本人は書きながら可笑しくてたまらないらしく、笑いをこらえ切れずに字が書けなくなることもある。たぶん作文を書くことがこんなに楽しいと思ったことはこれまで一度もなかったことだろう。書く題材がある時に即座に書く習慣がつくと、日常的に周囲をよく観察する作家的習慣にも繋がる。学校通常では身に付きにくい観察力を高めること。自分自身の経験も含めて、私は作文を書くことがここに繋がるのが大きいと考えている。この後読み合わせと加筆を三回ほど繰り返して、タイトルを入れて完成。約1時間の作業である。彼はこれをパソコンで打ち込んでプリントアウトし学校で友達に見せるという。もしこれを面白がった友達も次々に作文を書くことが広がると本当に楽しいと思う。親が付けたくてたまらないが、どこでもつけることができない記述力が、こうしたことをきっかけについて来る。
この授業の前に、テスト結果が思った程よくなくて落ち込んだ中3女子から、「今日学校でこの前書いた作文が県で認められて入選しました。」とうれしい電話連絡もあった。これは私が読んだ時、「これは入選ものだ」と予言したものだった。作文が認められて落ち込みはどこかへ消えてしまったとのことだった。活力のある文章習慣をどんどん広げたいと思う。