弘瀬金蔵の行方 | 渦ノ壺

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こちらはサックスと歌と俳句と絵画にかまける渦ヨーコ(俳号ギネマ)の頁です。
活動情報、日々の呟き、戯言、見たこと、聞いたこと…等等。
ぐるぐるずるりと記して参ります。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、ご存知でない絵金ファンの方には、
非常に興味深い事と思いますので、ここにご紹介いたします。
(絵金さんに関係なく、幕末史がお好きな方は必見かも!)


松田智幸氏著 史料紹介土佐藩郷土・岩井孫六『江戸日記』
-幕末期土佐藩の政治動向を活写した新史料


の中に、絵金さんの御名前が登場します。


これは、土佐の香我美郡王子村の郷士・岩井孫六正路さんという方が
安政三年八月一日より臨時御用の勤番で江戸まで行った時の、一年間余りの記録を
幕末史研究科の松田智幸氏が取り纏めて発表したものです。
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岩井孫六『江戸日記』は、幕末にご興味がある方でしたらかなりの楽しさで読み進められます。
皆様ご存知の、幕末に活躍したあの方、この方の御名前が沢山出てくる上に、
文章が面白く、一気に最後まで読まれる方もいらっしゃることでしょう。


その内容は個人的な日記や覚書、公文書の控などで、孫六さんの私生活が生き生きと綴られています。
それだけに、当時の光景が目の前に広がるような、また、今同じ時代を生きている様な錯覚すら覚える、

不思議な感覚に陥ります。
日記中、“呑ンデ寝ル”という記述がとっても多いです。さすがお酒好きな土佐のお方です。


さて、孫六さんご一行、江戸から土佐へ帰る際に上方へ立ち寄ります。
その際、当時上方に住んでいた絵金さんに会いに行きますが、絵金さん本人は播州に旅行に行って

いてお留守。いや~誠に残念!!・・・という記述が、全40頁中の36頁目に載っています。

読んでるこちらまで残念!という気持ちになります。
「あ~せっかく来たのだから会いたかったのになあ…」と、まるで自分の事のように(笑)


そして、この孫六日記は、記録がほとんどなく、空白の十年と言われていた絵金さんの消息を伺える、

貴重な資料にもなりました。
絵金蔵の蔵長・横田氏も、最近のご講演でこの事を話されているようですので、確かなものなのでしょうね。


絵金さん、やはり上方に長くいらっしゃったんですね~。
上方、播州は小屋芝居が盛んな処。芝居見物や看板絵などを描いていらっしゃったのでしょうか。


資料は、岩井孫六, 江戸日記, 孫六日記,等で検索しますと、PDFで見られます。
大学や研究室の資料データベースですが、その中の一つを貼っておきますので、
ご興味のある方は是非ご一読されてみると面白いと思います。


https://soar-ir.shinshu-u.ac.jp/dspace/bitstream/10091/12061/1/sakamotono0402.pdf