音楽見聞録 -3ページ目

音楽見聞録

単なるリスナーが好きな音楽について勝手きままに書き散らかし。
CDレビュー中心のつもりが、映画や書籍など他の話題も。

Fender

Vintera II 70s Mustang, Rosewood FB, Competition Orange
 

先日入手したこのムスタングベース、購入時より改良・改造を目論んでおりまして、以前もお願いした非常に信頼のおけるBirdcageの新谷さんに今回も依頼しました。


今回は仕事場にお邪魔し、一つずつ確認しながら要望を伝えさせて頂きました。むちゃくちゃ楽しかったです。

新谷さんの楽器や回路、調整全般に関する知識は凄い。

当初こちらからの要望事項は次のとおりでした。

 

ジャック交換

以前のベースでも交換して頂いたHOSCOのPureToneジャック、本当に良いです。あらゆるギターやベースにお勧めできます。

プラグを挿した時の「カッツーン」とくるホールド感がまるで別次元です。

またプラグとジャックの接点面積がかなり大きくなるので信号伝達が効率よくなる効果も得られます。

ボディのザグリ

このムスタングベースはトラスロッドの調整ネジがボディ側にあり、ネジを回すためにはその都度ネックを外さなくてはなりません。

自分は割とロッド調整を行う頻度が高いので、是非ともネックを外さなくてもアクセスできるようにしたいと思いお願いしました。

但し、この改造は見た目が変わるのを嫌がる人は選択できない手段ですね、、、

ポット交換

これについてはとにかくノイズ対策をしたかったのでヴォリューム・トーンともに耐久性・精度ともに高い定番のCTSポットに交換したい、と。

案の定、内部を開けて見るとCTS(現状製造は台湾のようです、、)ではなく、限りなく似せて作られた某国製の部品のようでした。

ここは信頼性を高めるため交換決定です。

その他

ノイズ対策としてキャビティ内に導電塗料の塗布と全体の配線交換、ナット溝の調整などをお願いしました。
 

作業の様子はBirdcageのブログから逐一報告されます。

(これとても良いです!)
また、当初なかった作業については変更の都度確認がなされるので心配はありません。

 

ピックガード裏へのアルミ貼りとか、アース線の延長などが追加となりました。

(ピックアップ問題、これは最後にまとめて説明します)

 

以下がその作業内容の記録となります。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の想定していなかったピックアップ磁極の問題は少々ややこしいのでこちらでまとめます。

(但し、難しくて完全には理解してません。)

自分自身もてっきりムスタングベースのピックアップはプレジション・ベースと同様にハムキャンセルする仕様かと思ってました(RERP(Reverse‑Wound, Reverse‑Polarity)方式=逆磁気+逆巻き)。
事実、現行の製品ラインではその構造のものも多数あるようです。
但し、実際の60~70年代のモデルではそうではなく、伝統的な Mustang の分割コイルは、2つの同一コイル(同磁極)を逆相(out‑of‑phase)配線にすることで、外来ノイズ(共通モード)を相殺できるという考えで作られていたようです。
※面倒なことに製品カタログにはスプリットコイルとは書いてあってもそれがRWRPであるかどうかは記載されていないので楽器を見ただけではそのピックアップがどちらのタイプであるかは分かりません。困りものです。

端的に言えばMustang には Mustang の方式があるという設計思想なのかもしれません。

 

この楽器についていたものも同巻き+同磁極でいわゆるシングルコイルを見た目上2つに分割しただけでスプリットコイルと言ってもプレジションのそれとは異なる仕様でした。


仕様として「意図的にそう作られている」ということです。


従いましてそのまま使用することももちろん「有り」なのですが、ここで少々問題が発生します。

この状態だとまあノイズもそれなりに出ていることに加え、「弦ごとの信号位相のズレ」が発生します。


Mustang のスプリットコイルは E/A(3・4弦側) と D/G(1・2弦側) で完全に分離したコイルになっており、コイルの巻き方向・コイルの磁極(N/S)・配線のつなぎ順(直列の向き)の組み合わせによって、弦信号の絶対位相が“左右で逆転する”状態が起こります。
これは楽器単体で聴けばほぼ問題なくても、DAW で波形を並べた時・他のベース(P/J など)と重ねた時・エフェクト(特にコンプ)などで 弦ごとの音像が不自然になる原因になり得るようです。

つまり今回施して頂いた「片方のコイルの着磁反転+配線反転(RWRP化)」が意味するのは、
1)ハムノイズの相殺(ノイズを低減させたい!という希望)
2)1・2弦と3・4弦の信号位相の不一致解消

(エフェクトのノリ解消・エンジニアさんに迷惑かけない)
という2つの目的に叶うようです。
1)は現状アクティヴベースのみを使っているので非常に気になりますし、2)はレコーディングやエフェクトのノリなどエンジニア的観点からは推奨される作業のようです。(まあ間違ってもレコーディングすることは無いでしょうけど 笑)

まとめますとMustang 本来の非RWRP方式は伝統的ではあるけれど、このまま使った場合のデメリットとして、ノイズ面では安定しにくい、位相が揃わず、録音時に差が出る、今回とりあえず使ってみようかなと思っているナイロン弦で弦アースが無い場合は特に不利になる等があります。

かつ改造による音色についてはそれほど差がある訳ではなく、ノイズが大幅に減少するのであればこれをやらない手はないかと言う結論に至りました。


個人的にはヴィンテージの楽器類には一切興味がなく、またオリジナルストックにも関心はありません。

とにかく良い音が出て、機能的で弾きやすい楽器を使いたいというのが改造の目的です。

この楽器、「Beatles」や「たま」で使うつもりです。