なかなか音楽記事の更新ができませんので、またボチボチ読んだ本の紹介と感想などを。
成瀬は天下を取りにいく 宮島未奈
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2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。
コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。
M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。
今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説!
【坪田譲治文学賞】
【「静岡書店大賞」小説部門 第1位】
【ダ・ヴィンチ「BOOK OF THE YEAR 2023」小説部門第1位】
【「読書メーター OF THE TEAR 2023-2024」第1位】
【「中高生におすすめする司書のイチオシ本 2023年版」第1位】
【第17回「神奈川学校図書館員大賞(KO本大賞)」受賞】
【「キノベス!2024」第1位】
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この本、かなり話題になっていたと思います。
ご覧のとおり、様々な賞も受賞してます。舞台となった滋賀県大津市の地域起こしも盛り上がっていた印象です。
物語はそれなりに面白いですが、ちょっと軽すぎるか、、、
我が道を行く主人公の人物像にものすごい既視感があります。
どこかで見た類型的な人物造形だからなのか、過去に同じような主人公の何かを見たのか?
正直、何故ここまで盛り上がったのかちょっと不思議に感じています。^_^;
あした死ぬ幸福の王子 飲茶
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もし、あした死ぬとしたら、今までの日々に後悔はありませんか?
世界的名著『存在と時間』を著したマルティン・ハイデガーの哲学をストーリー仕立てで解説!
ハイデガーが唱える「死の先駆的覚悟」(死を自覚したときに、はじめて人間は本来の人生を生きることができる)に焦点をあて、私たちに「人生とは何か?」を問いかけます。
舞台は中世ヨーロッパ。傲慢な王子は、ある日サソリに刺され、余命幾ばくかの身に。
絶望した王子は死の恐怖に耐えられず、自ら命を絶とうとしますが、謎の老人が現れ、こう告げます。
「自分の死期を知らされるなんて、おまえはとてつもなく幸福なやつだ」
謎の老人との出会いをきっかけに、王子は、ハイデガー哲学を学んでいきます。
老人との対話、かつて自身が暴行を加えてしまった物乞いの少女との交流を通じて、「存在」「時間」、そして「死」について
考える旅に私たちをいざないます。
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これ、未文庫化の書籍です。
ストーリー仕立てでハイデッガーの考え方を伝えて行こうという試み。
どう生きていくべきか、そもそも「べき」という問いかけ自体がおかしいのか、恐らく正解の出ない問題にハイデッガーの思想を演繹して一つの考え方を提示していきます。
(同作者のニーチェの本もそうでした。こちらはもう少しプライベート要素がある内容でこれまた説得力があります。)
飲茶氏の著作は複数読んでいますが、哲学入門として明解で何より軽いタッチで面白いのでとっかかりとしては最高ではないでしょうか?
それぞれの思想の内容をかなりかみ砕いて概要を伝えてくれます。
そんな飲茶氏の作品ですが、以前読んだ中で特に印象深かったのがこれです--
史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち
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最高の真理を求める男たちの闘い第二ラウンド!古代インド哲学から釈迦、孔子、孟子、老子、荘子、そして日本の禅まで東洋の“知”がここに集結。真理(結論)は体験によってのみ得られる!
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東洋的な思想を語る際、仏教は避けて通れないと思います。
個人的にも仏教には大いに興味があり、そこそこ本も読んで来ました。
仏教の流れを語るにあたり、始まりをブッダと龍樹において、その後日本仏教を語るに至るのですが、始祖ともいえる空海、最澄はごくごくさらっとやり過ごした後、その後取り上げる人物が親鸞、栄西、道元となります。
思想的に大きく転換した親鸞、これまた新たな「禅」という方向に舵を切った栄西と道元への流れという意味から考えるとこの人選にはとても納得できるものがあります。(こちらの好みとも合致!)
加えて、何と言っても関連して丁寧に語られる「般若心経」の解釈がなんとも見事で、これまで読んだどの解説よりも腑に落ちる内容であったことが何よりの収穫でした。
お勧めの一冊です。
まいまいつぶろ 村木 嵐
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暗愚と疎まれた将軍の、比類なき深謀遠慮に迫る。口が回らず誰にも言葉が届かない、歩いた後には尿を引きずった跡が残り、その姿から「まいまいつぶろ(カタツムリ)と呼ばれ馬鹿にされた君主。第九代将軍・徳川家重。しかし、幕府の財政状況改善のため宝暦治水工事を命じ、田沼意次を抜擢した男は、本当に暗愚だったのか――? 廃嫡を噂される若君と後ろ盾のない小姓、二人の孤独な戦いが始まった。
第12回 日本歴史時代作家協会賞作品賞、第13回 本屋が選ぶ時代小説大賞 受賞
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感想は次にまとめて、、、
茜唄 今村翔吾
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これは、生命(いのち)の唄。
これは、家族の唄。
これは、愛の唄。
直木賞作家・今村翔吾が魂をこめて描く、熱き血潮の流れる真「平家物語」!
歴史とは、勝者が紡ぐもの――
では、何故『平家物語』は「敗者」の名が題されているのか?
『平家物語』が如何にして生まれ、何を託されたか、
平清盛最愛の子・知盛の生涯を通じて、その謎を感動的に描き切る。
平家全盛から滅亡まで、その最前線で戦い続けた知将が望んだ未来とは。
平清盛、木曽義仲、源頼朝、源義経……時代を創った綺羅星の如き者たち、
善きも悪きもそのままに――そのすべて。
生きるとは何か、今、平家物語に問う――著者
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「茜唄」は今村翔吾による「平家物語」です!
史実に基づく時代小説を書く場合、通常「事実」は曲げられません。そこを曲げてしまうと都合の良い創作になってしまい興ざめです。
それほど多くの事実が記録として残っていない場合を含め、事実と事実をつなぐあらゆる隙間を作者の想像力・創造力が埋めて行くことになります。
これは極めて難しい作業かと思います。
人物の性格描写から行動の意味付け、人間同士の関係性など。
勿論つなげるだけではダメでそれを物語まで昇華させなければなりません。
今村翔吾はとにかくこれらが非常に巧みで、登場人物を生身の人物として生かしきることが出来ていると思います。
人物の肉付けが考え抜かれたものであるが故、一つ一つのセリフも読み手に説得力を持って迫ってきます。
「お見事」としか言いようがないレベル。
これに比してしまうと先の「まいまいつぶろ」はまだまだ甘い印象があります。
登場人物が少々書き割の背景のような感じがしてしまうのです。
言いたいことは伝わってくるし、心情もわかる、テーマもわかるけれど物語として今一つ肩入れできない。
肩入れできないのは人物の存在感に距離を感じるから。
役割が先にあり、そこに人物を当てはめた印象です。
今村氏の場合は、まずはその人物を描き、次第にその役割が嵌っていくような書き方なのです。
村木氏はまだまだ人工的な硬い感じがします。
これが小説のテクニックなのかな、と思います。
コメンテーター 奥田英朗
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トンデモ精神科医・伊良部シリーズ最新刊!
打ち切り寸前のワイドショー番組制作チームは、状況を打破すべくコメンテーター探しに奔走中。昔気質な上司の方針で「美人女医」を連れて来るつもりが、手違いで色白で太った精神科医・伊良部一郎が出演する羽目に。彼の自由すぎる発言が、令和の悩める人々を笑撃&震撼させる! 大人気の連作短編集シリーズ、待望の第4弾。
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伊良部先生と看護師のマユミちゃん。
奥田氏は本シリーズの2作目「空中ブランコ」で直木賞を受賞しています。
第3作の「インザプール」から一体どれくらい時間が経ってしまっただろう、、、そうです続編登場!です。
それにしても相変わらず楽しめるシリーズです。ぜひ継続してくれないかな、、、
奥田氏は色々なジャンル作品を生み出してきます。上手い。
そういえばキャンペーン、応募したらシール当たりました!!
家族じまい 桜木紫乃
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【第15回中央公論文芸賞受賞作】
「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」。
突然かかってきた、妹からの電話。
両親の老いに直面して戸惑う姉妹と、それぞれの家族。
認知症の母と、かつて横暴だった父……。
別れの手前にある、かすかな光を描く長編小説。
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いやいや、、桜木さん、また重い作品ですよ。
読んでも絶対にスッキリはしません。
けれど上手い。文章は冴えまくっているのではないでしょうか?
、、重いけれどなんて世界が充実して息づいていることかと思う。
丹念な描写。
名手でしょう。
未来 湊かなえ
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「こんにちは、章子。私は20年後のあなた、30歳の章子です。あなたはきっと、これはだれかのイタズラではないかと思っているはず。だけど、これは本物の未来からの手紙なのです」
ある日突然、少女に届いた一通の手紙──。
家にも学校にも居場所のない、追い詰められた子どもたちに待つ未来とは!?
デビュー作『告白』から10年、湊ワールドの集大成となる長編ミステリー、待望の文庫化!!
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イヤミス(読後イヤな気持ちになるミステリー)の女王、湊かなえ氏をすごく久々に読みました。
これも絶対に「楽しい」気持ちになる類の本ではありません。
しょうもない人間たちがこれまでもというくらい出てきて、案の定しょうもない事態を引き起こし、誰かが苦しんでいくことになるという負のスパイラス構造。
ミステリという点からはどうかなと感じることもありますし、展開にやや力技的な部分も感じますが読みごたえは十分です。
これ、来年映画化するんですね、、、
汝、星のごとく 凪良ゆう
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第20回本屋大賞受賞作!
シリーズ累計100万部突破!
あなたと生きる、その痛みごと。
著者2度目の本屋大賞を受賞した『汝、星のごとく』が3年の時を経てついに文庫化!同じ空の下であの星を見上げよう。そして、また出会おう。あまりに切ない運命を、繊細な心理描写で描いた著者最高傑作。
風光明媚な瀬戸内の島で育った暁海(あきみ)と母の恋愛に振り回され転校してきた櫂(かい)。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人が恋に落ちるのに時間はかからなかった。ときにすれ違い、ぶつかり、成長していく。生きることの自由さと不自由さを描き続けた著者がおくる、あまりに切ない愛の物語
【2023年本屋大賞受賞作】
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わたしはその気になれば、いつでも、どこでも、軽やかに、あちら側へと行けると知った。
だから急がなくていい。
けっして揺らがない大きな理の中にわたしたちは在り、それぞれ懐かしい人影と確かな約束を交わしている。
この達観ともいえる心境に至るまでの痛みの積み重ねと心の変遷がそれは丹念に描かれます、、
ヒトは出自を選ぶことは出来ません。誰かと変わることも出来ないし、全てを己が背負っていくしかない。
ほんの少しで良いから深く一息つける場所が何処かにあればと願うところです。
耐えるために生きている訳ではない、としても人生は結局それの連続ですよね。。
凪良ゆう氏、BL時代は全く知らないのですがそれ以降の作品はハスレがありませんねえ~毎回楽しませてもらってます。
ここから派生した物語「星を編む」、早く文庫化してくれないかな。これは読むのが楽しみでしかない。











