世の中、あまり明るいニュースはありませんが前向いて頑張りましょう・・
こちらは久しぶりに音楽テーマの無駄~に長い(笑)記事になります。興味のある方はお付き合いください。
GENSISはとても好きなバンドです。
特にピーター・ガブリエルが在籍していた1970年~1975年についてはプログレというジャンルに限れば一番好きと言えます。
しかしながら現在所持しているGenesisの音源は?と言えばレコード盤が次第に廃れ、CD全盛期になった頃に買い替えた当初発売されたCD盤だけです。
(かろうじて「Archive Vol.1 1967-1975」だけは持っています)
手持ちのCDについてデータを確認しましたが詳しいクレジット等の記載が無く、いつ頃発売された盤であったかさえ分かりません。(最初にCD化されたシリーズです。)
従いまして巷で情報のある「2008年リマスター」などと言う盤は全く聴いたことがありませんでした。
自身、数十年前からハンドルネーム(懐かしい!)で「ゲイブリエル」を名乗り始めて以降、今でも音楽活動する際にはその名前を継続して使わせて頂いているにもかかわらず、この状況はマズいですよ、、、それでもGenesisファンなのかい?と言われそう
今回、思い立ち、手元の書籍やDVDなどを少し整理し、その資金を元手に「2008年リマスター」なるものを少し聴いてやろうじゃないか!となった次第です。
、、ところが、です。
いざ買ってみようとECサイトで情報を確認しても良く分からないのですよコレが。。。一体どれがリマスターバージョンであるのか?1994年(この年にもリマスターは実施されたようです)という以前のリマスター盤も混在して販売されているようだし、、、どれがどれなのか訳がわかりません。
あちこち探して、見ているうちに比較的新しく2023年1月にリイシューされたRHINO(ライノ)=ワーナー傘下のリマスター系に強いレーベルです=盤がこのリマスター・バージョンのようですし、買い揃えるのも楽に出来そうだと気づき、RHINO版の以下5作品をまず購入しました。
『怪奇骨董音楽箱』Nursery Cryme(1971年)
『フォックストロット』Foxtrot(1972年)
『月影の騎士』Selling England By The Pound(1973年)
『眩惑のブロードウェイ』The Lamb Lies Down On Broadway(1974年)
『トリック・オブ・ザ・テイル』A Trick Of The Tail(1976年)
盤のチョイスはピーガブ・ファンならどうでしょうか?
自分の場合、「Genesis」括りだと「Trespass」より「A Trick Of The Tail」なんですよねえ、、、「Trespass」時代は勿論、若いガブリエルもアンソニー・フィリップスのギターも好みなのですがどうしてもドラムがねえ、、いかんのです、、
さて、これらのアルバムは共通して紙ジャケット仕様で、発売はいずれも2023年1月のようでした。
CDのレーベル面は「Nursery Cryme」以外(なぜ?)はレコードでもお馴染みのジョン・テニエル描くところの「不思議の国のアリス」の「マッド・ハッター」でした。
やっぱりこれ描かれていると不思議と落ち着きますよねえ。
音源を一通り聴き、結果、全体的には「なるほどねえ」と音には満足してますが、ここからが本題となります。しかし、17年越しの結果報告になりますね。何やってんだか。
「2008年リマスター」と一般的?に言われているかもしれませんが、実際にその作業にあたった時期は盤により微妙に異なるようです。
スリーブに記載された情報からマスタリング等の作業を行った年を確認すると以下のとおりです。(但し、そもそもこのデータが正しいのか確証はありません。)
「Nursery Cryme」2008年
「Foxtrot」2008年
「Selling England By The Pound」2007年
「The Lamb Lies Down On Broadway」2007年
「A Trick Of The Tail」2006年
古いアルバムの方がリマスタリングの時期が後になっていますが、恐らく、以前発売されたリマスターBOXセットについて、「1970-1975」よりも「1976-1982」が先行して発売(2007年)となったため76年以降のアルバムが先に着手され、逆転現象が生じたと思われます。
作業にあたっているのは次のメンバーとなります。
ミックス担当:Nick Davis(at The Farm Surrey)、アシスタント:Tom Mitchell
リマスター担当:Tony Cousins(at Metropolis Mastering)
今回の購入盤全てでスタッフも作業場所も同一ですので年は違えども一連の仕事の範疇であることが分かります。
(※ややこしいのは1994年のリマスターもNIck Davisが行っていたことでしょうか。Genesisのアルバムでは「We can dance」以降、この方がエンジニアだったかと)
これらの作業はまとめて「2008年リマスター」と呼称されているようですが、実際は作業年は複数に渡り、しかもそもそもマスタリングだけでなくリミックス作業を含んでいるため単なるリマスターでは無いということになります。
※業界では通常はリミックスを伴う場合、その後のマスタリングは最早「リマスター」とは呼ばないみたいです。
リミックス作業は元の音源であるマスターテープを使って各録音トラック(恐らくですが、Nurseryまでが8トラックでFoxtrot以降は16トラック以上を使っているのではないか?と思われます。)について雑音の除去に始まり、イコライジングをはじめとするトラックへのエフェクトのかけ方の見直し、その後更に定位や音圧等のコントロールを行い、最終的に一つの楽曲としてミックスを組みなおす作業かと思います。
当然トラック数が多ければ多いほど手が入る箇所も増えて行き、オリジナルとの違いも大きくなって行くと思います。
従ってあまりいじり過ぎてしまうともはやオリジナルとは異なる作品となってしまう恐れもあります。
以下、ざっと聴いた印象をメモします。
●「Nursery Cryme」
一番思い入れのあるアルバムでもありますが、このリミックスについては自分の中でも賛否があります。
まず各楽器の音がかなり明瞭になっています。楽器同士の音の分離も素晴らしいです。
コリンズのドラムサウンドの聴こえ方は特に素晴らしいものになっています。
ただし、このアルバムに限ってはヴォーカルも含めて一つの「塊」になって鳴っているところが気持ち良い、という側面があり、あまりに分離が良すぎ、それぞれの要素が別々に聴こえることで音楽全体をやや散漫に感じてしまうというパラドックスに陥っております。
「The Muisical Box」
特にこの曲ではガブリエルの声をいじり過ぎかもしれません。、、というか極めて普通にしてしまっている。勿体ないです。
この頃のガブリエルは効果的な録音方法を考え抜き、ヴォーカルにダイナミクスを付けるため、わざとマイクに近づいたり離れてみたりと敢えてオフぎみに歌うフレーズもあったのですが、このミックスでは全て同じようなレベルに持ち上げてしまっており、ガブリエルの真意を今一つ汲み取れていないような気がします。
「For Absent Friends」
素晴らしい曲ですが、なぜかオリジナルアルバムよりもコリンズがリードヴォーカルであることがはっきり分かる仕上がりです。
「The Return of the Giant Hogweed」
これは気持ち良いミックスですねえ、、、コリンズのバスドラがズンズン来ます。
全体のバランスも良いです。フィル・コリンズは本当にドラムが上手いと思います。
Genesis時代、3人になってからは段々と繊細さを失ったプレイになって行き、勿体ないな~と思っていました。
このアルバムに限って言えば「ヴォーカルの毒を取り除く」ことに主眼があるようで、その毒(自分にとってはおいしい毒なのですが)を好んでいるリスナーからは反発を買うかもしれません。
例えば「Harold the Barrel」でハロルドが歌う「If I was many miles from here」から始まる部分はそれまでの狂騒を抑えに抑えた内なる呟きであるのにここの音圧を上げては台無しだよね、と思う。この震えるようなエキセントリックさがガブリエル節なのに。
つまり「Seven Stones」や「Harlequin」のように最初から毒がそれほど無い曲はそれなりに仕上がっており違和感もありませんし、かつ美しい出来映えになっています。
アルバム全体としての評価は難しいところですが、聴く選択肢が増えたと思えばこれもまた楽し、です。こうなると結局、オリジナル音源も手離せませんよね~
●「Foxtrot」
このアルバムのミックスは全体的にかなり高い評価となります。
音の分離が最高ですし、変な弄り過ぎがない。
それでいて微妙に各楽器のフェーダー位置がオリジナルとは異なり、これまでほとんど聴こえていなかった楽器が前に出て聴こえたりしますがそれが自然に納まっている印象です。
「Watcher of the Skies」
ベース音のエッジがくっきりして音圧が高いです。オリジナルよりぐんとドライブ感がありますが却って演奏のアラも目立つかも。タイトに演奏するのが難しい曲ではないでしょうか。
「Time table」
「Gone the carving,And those who left their mark,~」のところでバックにメロトロン系の鍵盤(&フルートorメロトロンのフルート)が聴こえます!
新鮮で素晴らしい。これはオリジナルミックスでは聴こえていないサウンドです。
「Supper's ready」
イントロのギター・アルペジオの絡みとバックで鳴る低音(鍵盤かベースペダル)に最高に気持ち良い動きがあります。
全体的にコーラスが強めにミックスされているように感じます。
(その分、リードヴォーカルを少し抑え気味)
このミックス方法はアルバム全体に言えるかもしれません。
●「Selling England By The Pound」
アルバム全体でとにかくアコギ、12弦、エレキのアルペジオ音が生々しく美しい。
美しいとしか言いようがない響きです。
このアルバムのミックスも全体的に響きが豊かで好印象です。
「Dancing with the Moonlit Knight」
バランスが良いです。ピアノのミックスがやや強めでしょうか
「More Fool Me」
コリンズのヴォーカル曲ですが彼の歌よりもギターのストローク音が素晴らしい、、、なんかカッコ良くまとまっています。
「The Battle of Epping Forest」
ガブリエルのヴォーカル見本市のような曲ですが、このミックスではヴォーカルがやや抑えめでバックの楽器が大きめにミックスされているようです。
「The Cinema Show」
これまたきらびやかなアコギの音が秀逸。アルペジオの集大成のような曲です。
正にモアレですね。良いです。「チョコレート・サプラーイズ~」からの展開もOK
ギターアルペジオ、結構高い方のポジションで弾くのは大変なんですよね、コレ。
●「The Lamb Lies Down On Broadway」
こちらも各楽器の輪郭が明確になり全体的に一皮剥けた印象です。
大きく異なるのはドラムのサウンドです。オリジナルではドラムが非常に特徴的な響きをしていて、悪く言えばやや「バタバタ」した音像でした。
そのバタバタを取り去り、うんと普通のドラムサウンドに変化させた印象です。
上品で聴きやすい音なのですが、オリジナルを聴きなれた耳には少し寂しいというか。
普通のサウンドにし過ぎてしまった印象はあります。
全体的なエコーの処理や歪音も上品です、、
アルバム全体的に混じり込んでいたベースラインがよりくっきり聴こえます。
「The Lamb Lies Down On Broadway」
イントロのピアノがオリジナルとは異なりフェードインでは無い!!
当時、マスターテープにはかなり低い音域にず~っとノイズが乗っていたらしく、それを回避するためにフェードインさせていたようですがノイズ除去できたので本来の姿に戻したという事でしょうか。新鮮!
「Hairless Heart」
前曲の「Back in N.Y.C.」からの繋がりの部分などミックスが異なり、オリジナルとは異なる楽器が大きく入ってきます。ミックス違いはこういった箇所が随所に出てくるので聴いていて新鮮です。ガット・ギターの音が綺麗です。
「The Lamia」
エンディングのハケットのギターソロの後ろで鳴っているガブリエルのフルートがかなり鮮明に聴こえます。こんなに吹いてたのね。楽しい。
なお、2025年の3月に発売される予定のラム50周年記念盤はこの2008リマスターではなくオリジナルアルバムミックスをリマスター(マスタリングはマイク・ショウウェルという方が担当するとか=atアビーロードスタジオ)が発売になるようです。また異なる選択肢が一つ増える訳ですね、、、
●「A Trick Of The Tail」は、まとめて
このあたりになるとそもそも結構きれいな音で録音されているのでオリジナルも素晴らしい音なのですが、やはりギターなど生楽器の音は格別に美しくなります。
リミックスにはほぼ違和感ありません。
逆にベースペダル音は小さいのかも?
「Mad Man Moon」の歌バックに入るハケットの恐ろしく素敵なギター・オブリガードが少し小さくなってませんか?ここはば~んと表に出して欲しいな~。
アコギが聴かせ所の「Entangled」や「Ripples...」はかなり綺麗にまとまっており気持ち良いです。
「Los Endos」のベースラインもくっきりして迫力がありますねえ。
という訳で「静寂の嵐」以降も聴いてみたい、、、ですがオリジナルの音質がどんどん良くなっていく時期なので、方法としては捻ったミックスしか残っていないかもしれません。
トラック毎のノイズを除き、各楽器の音を際立たせるだけでも新たにミックスされた音源を聴いた印象はかなり異なると思います。
ただ、音の「塊」が良い場合も確かにあるので闇雲にクリアにしても良いのかは難しいところです。それぞれの好みもあるでしょうし、、
以下は一応Amazonへのリンクを適当に貼っているだけなので、もしも音源を購入する際にはどのversionを希望するのか良く確認してみて下さいませ!(,,HMVの方が分かりやすかった、)





