今年はなぜだかあまり本が読めていなのですが、ここ最近読んだ本を紹介します。
相変わらず時代ものの作品は全て読んでしまう「西條奈加」ですが、先日ようやく直木賞受賞作の「心淋し川」が文庫化されました!(基本的に文庫しか買わない=買えない 笑)
この作品も相も変わらず奈加節です。
貧しい、暗い、辛い、苦しい、哀しい人々。
物語の舞台は崩壊寸前の古びた長屋に住む住人たち。
近くに流れる淀んだ川。停滞。
登場する人々はとにかく皆が不器用でいびつで。
自ら不幸を招き寄せているのではないかと感じるような心に淀みを持つ人々。
この人たちが他者との関係性の中でそれぞれ変化して行く様が描かれる連作短編集です。
どうあっても結局人間は一人である。
が、それ故に、それだからこそ誰かと繋がる必要があるのだという作者のテーマが垣間見える。
最後の一編で明かされる長屋差配の志十の過去、それまでの短編の登場人物たちのその後も少しだけ書かれる。
物語に横串を通す。
「悲嘆も無念も悔恨も、時のふるいにかけられて、ただひとつの物思いだけが残される。虚に等しく、死に近いもの─その名を寂寥という」
諦観なのか。底知れぬ淋しさなのか。
これも生き方の一つだと感じる。
自分を何かで充填し続けて生きる生き方って、考えれば途轍もなく苦しいですよね、、、
「町田そのこ」
以前紹介した「52ヘルツのクジラたち」で本屋大賞を受賞した作家の「コンビニ兄弟」というシリーズもの、出版社サイドの広告文では、、
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九州だけに展開するコンビニチェーン「テンダネス」。その名物店「門司港こがね村店」で働くパート店員の日々の楽しみは、勤勉なのに老若男女を意図せず籠絡してしまう魔性のフェロモン店長・志波三彦を観察すること。なぜなら今日もまた、彼の元には超個性的な常連客(兄含む)たちと、悩みを抱えた人がやってくるのだから......。コンビニを舞台に繰り広げられる心温まるお仕事小説。
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同シリーズは順調に継続しており、現時点では、以下の3冊が
発表ずみです。とにかく面白い!
コンビニ兄弟—テンダネス門司港こがね村店—(2020年7月)
コンビニ兄弟2―テンダネス門司港こがね村店―(2022年1月)
コンビニ兄弟3―テンダネス門司港こがね村店―(2023年9月)
決してお仕事小説ではないし、上記の内容紹介文ではこの小説の持つ形容し難い面白さは伝わらないかもしれない。
やや予定調和的な部分も含みつつも味わえるカタルシスは半端ではない。
志波三兄弟のキャラクター(主役ではなく、どちらかと言えば狂言回し的立ち位置)はややマンガ的ではあるものの十分魅力的です。
自信ゆえなのか三者三様の突き抜け方をしている。
今後、この三人の内面がどんどん描かれて行くことに非常に期待しています。
何よりも根底にあるのは、作者のマイノリティの立場に置かれた
人間に対する極めて暖かく肯定的な視線です。
結局、人間なんて皆、ほじくり返せばマイノリティなのかもしれない、と思わせてくれる。
皆マイノリティのくせに無理して群れなくても良いし、全てで分かり合い通じ合う必要だってない。
そこにお互いの少しの尊重があれば、世の中はもう少しだけ上手く動くのかもしれない、などと思わせて貰える。
楽しいです。



