BIG BIG TRAINの記事が2本続いたので、調子にのって更に続きを。
今回はギタリストのデイヴ・グレゴリー(Dave Gregory)に注目です。
デイヴは2020年の秋に、11年ほど在籍してきたバンド「BIG BIG TRAIN」からの離脱を表明しましたが、本人のサイトの記事をよくよく読んでみると、あくまでもツアーメンバーとしてはもう同行しない、という事は語っているのですが、希望的観測をまじえて考えるならば、録音メンバ―としてはバンドに残る意思があるようにも思えます。
そのとおりであれば非常に嬉しいのですが、、、
1952年生まれのデイヴは、長尺で緻密、体力的にキツイ過酷なツアーに嫌気がさしてしまったのかもしれません。
そもそも以前に所属していたバンド「XTC」も、途中からライブ・ステージをやらなくなったバンドでしたし。
個人的な希望ではデイヴのステージでのギターを聴きたいですねえ。
ほんと素晴らしいプレイなので。
さて、まずはXTCまで歴史を遡りです。
1979年1月中旬に、デイヴの元に当時米国にいたAndy Partridgeから、XTCのオーディションへのオファー電話があったそうです。
そこからとんとん拍子で物事は進み、2月の頭にはもうBBCスタジオでレコーディングセッションを行っています。
以降、デイヴは1979年から1998年までの約20年間、XTCのギタリストとして活動し、それぞれが名アルバムと言える「Black Sea」、「English Settlement」、「Skylarking」、「Oranges & Lemons」などを発表します。
「Mayor of Simpleton」 by XTC
この曲もドラマー脱退後の時代で、ライブは基本行っていない時代のものです。
ちなみにこのアルバムではクリムゾン人脈のパット・マステロットが全編でドラムを叩いています。(コレはご本人にも確認しました!!)
XTCは基本的にアンディ・パートリッジの勢い一発、気持ち良いテレキャスターのカッティングとコリン・ムールディングの歌うようなベース、そして二人の最高な歌声でサウンドが構築されていますが、デイヴはこれらの隙間を見事に埋め尽くす職人芸で、カラフルな音色を加えています。アレンジのセンスも素晴らしい。かっちり構築されたソロや歌バックで鳴るオブリガードのメロディなど最高です。こういう部分も含めて本当に巧いギタリストだなと思います。
デイヴは12弦のエレクトリックをプレイするのも好きなようで、この印象的なサウンドは色々な曲の随所で聴くことができます。
また、ギター以外にも鍵盤とバックコーラスも担当することがあります。
XTCは活動途中で非常においしいサイドプロジェクトとして、85年~87年に「The Dukes of Stratosphear」を立ち上げます。
デイヴも「Lord Cornelius Plum」という変名でもちろん全面的に参加しています。
XTCのメンバーが変名で、ビンテージ楽器を使って!67、68年のサイケデリックサウンドを演奏する!テイクは2回まで!という単純明快なコンセプトが楽しいプロジェクトでした。
但し、その出来は、もはや趣味の域を超えています。
かなりの完成度を誇る名作を産み出しました。最高にカッコ良くて楽しい!
「You're My Drug」 by The Dukes of Stratosphear
デイヴは、これらのバンドの他にも1980年には「Peter Gabriel」の「Ⅲ」にゲスト参加し、「I Don't Remember」と「Family Snapshot」で演奏しています。(ピーガブは文句なく最高です!)このちなみにアルバム、JAMのポール・ウェラーも呼んでます。
「I Dont' Remember」 by Peter Gabriel
XTCの分裂後も「Johnny Hates Jazz」(懐かしい!)や「Louis Philippe」、「Mark Owen」、マリリオンのヴォーカリスト「Steve Hogarth」とのプロジェクトなど次から次へと声がかかります。
※ここ日本においても、「Dr.Strangelove」のアルバム「Way Out」収録の「Like A Sunflower In My Memory」でオルガンを弾いたり、「Saeko Suzuki」の「Studio Romantic」収録の「Something In The Air」でストリングスのアレンジを担当したり、鈴木慶一さんのサントラに参加したりしているらしいです。(すみませんこれらは情報のみでほぼ聴いてません。)
多才ぶりを発揮していますね~。
本家Big Big Trainでは Rickenbackerを始めとする12弦ギターやJerry JonesのElectric Sitarを弾いたり、ステージ上ではこれら以外のビザールなギターも使いまくります。頻繁にギターを交換するタイプのようです。
特筆すべきはどれも音が素晴らしいこと。
楽器として機能している(させている)のが感動的です。
ギタープレイは非常に安定していてリズムも速弾きも申し分ない。音も気持ち良い。
その上でアレンジャーとしての資質も持ち合わせた素晴らしいギタリストだと思います。
「Keeper of Abbeys」 by Big Big Train
歌バックで流れるデイヴの12弦エレクトリックはこの曲の屋台骨を作っていると思います。
中間インスト部ではレイチェル・ホールの弾くフィドルと並びでエレクトリック・シタールを演奏。
エンディングに向かってはサスティーンの効いた気持ちの良いトーンのギター・ソロ、とこの曲でもデイヴは大活躍です。素晴らしい。
3月末くらいに2009年のアルバム「The Underfall Yard」のリイシュー盤が出ました!(入手出来たのは今週になってから、、、)
全編リミックスの他、2枚組のものでは旧曲を新たに録音したものや、新録された新しいマテリアルも収録されています。
先ごろバンドを脱退した、ダニー・マナーズとレイチェル・ホールのバンドでの最後の仕事ということになります。
(この二人の離脱は非常に厳しい!悲しい!)