火星の人 / アンディ・ウィアー | 音楽見聞録

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火星の人 (ハヤカワ文庫SF)/アンディ・ウィアー

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今年もよろしくお願いします・・・
今年最初の記事は音楽記事ではありません。ご容赦を。

「火星の人」は2014年8月に出版されたアンディ・ウィアーによるSF小説です。

<オフィシャルな紹介文>
有人火星探査が開始されて3度目のミッションは、猛烈な砂嵐によりわずか6日目にして中止を余儀なくされた。だが、不運はそれだけで終わらない。火星を離脱する寸前、折れたアンテナがクルーのマーク・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへと姿を消した。
ところが――。奇跡的にマークは生きていた!?
不毛の赤い惑星に一人残された彼は限られた物資、自らの知識を駆使して生き延びていく。
宇宙開発新時代の傑作ハードSF。
アンディ・ウィアーは、カリフォルニアに素粒子物理学者でエンジニアの息子として生まれた。15歳で国の研究所に雇われ、現在までプログラマーとして働いている。
科学、とくに宇宙開発に強い関心を寄せ、作家志望だったウィアーが初めて発表した小説が本書『火星の人』である。『火星の人』は、まず自らのウェブサイトに公開され、その後キンドル版を発売。発売後3カ月で、35000ダウンロードを記録した。
その後、2014年に紙書籍版を発売された。

・・という紹介にもあるとおり無理にジャンル分けすれば「ハードSF」という括りなのでしょうが、軽妙な訳も手伝い、するすると一気に読めてしまう本です。

そして抜群に面白い。

一人取り残された火星で、地球との連絡は完全に途絶、自分が生きていることすら伝える術がなく、次回の探査隊が派遣されるであろう数年後まではとても水も食料も空気ももたない。
頼れるのは植物学者でありエンジニアであるワトニーの知恵のみ。

とにかく主人公のワトニーの人格及び行動力が素晴らしいの一言です。

次から次へと起こる問題(但し、作者も説明しているとおり偶然の産物による物語を盛り上げるためだけの脈絡のない問題は起こらない。)を自分の持つ知識を総動員し、限られた資材を使いこなすことで、なんとか解決し前進を続ける様は正にサバイバルそのものです。

なおかつ重要なのは絶望しかけても決してそこで止まることがないこと。

ワトニーのある種、冷めたような自己認識は筆者の内面描写の足りなさで読者に伝わらないのではなく、優先されるべきものが何であるのかを彼自身が痛いほどわかっている事によるものだと思います。

自己の状況を第三者の視線で冷静に確認できるということは自己分析の第一歩で、かつそれによりその後、極めて正しく妥当な判断を行うことに繋がる。とは以前、心理カウンセラーと話した際にも出てきた話題なのですが、ワトニーは正にこれです。

それに加えてどのような状況になってもユーモアを失わないという人間性。これが結構、肝です。

絶望してしまいそうな状況に遭遇した際、何よりも先行すべきはあらゆる可能性の模索です。

ワトニーはクルーに選ばれたからにはもちろん数々の苛烈な訓練をこなし、その表面的な軽妙さとは裏腹に強靭な精神力を持った心身ともに「ただの人」では無いことは間違いないのですが、絶望する刹那に、それでも、それだからこそまず可能性を模索しようとする姿勢は、これまた宇宙飛行士としての「ライト・スタッフ」(正しい資質)の一つの形なのだろうと思います。

出版早々に20世紀FOXが映画化権を買い取ったそうで、そちらもちょっと楽しみです。

あらすじの説明をしてしまうと非常にヤボなので、もどかしい限りですが、軽く読めてなおかつ面白いというお薦め本です。

これだからSFは止められないね~